ファン・パブロ・モントーヤがル・マンに挑戦する意義

当たり前ですが、レーシングドライバーも「スポーツ選手」な訳で、世界中で催される「レース」というスポーツに果敢に挑戦し、自らの実績を積み上げていくというのもプロとしては大事なことだと思うんですが、特にＦ１の世界では、他のカテゴリーに参加してはいけないという契約に縛られることも多いようです。もしそこで怪我でもしたら大事だからです。

今より大らかだった時代、世界的なレーシングドライバーは世界中を股に掛け、あらゆるレースに果敢に挑みました。フォーミュラ、スポーツカー、ツーリングカーを駆り、パーマネントサーキットでも、オーバルでも、公道レースでも、アクセルを踏み続けたのです・・・。
「世界三大レース」というものがあります。モータスポーツに詳しくない方でも、名前だけは聞いたことのあるビッグレースです。即ち、モナコＧＰ、ル・マン２４時間、インディ５００。

私が何が言いたいのかといいますと、、アマチュアを含めると星の数ほどいるレーシングドライバーの中で、「Ｆ１でチャンピオンを取りたい」「ル・マンで勝ちたい」「メーカーのワークスドライバーになりたい」等々、色々と聞きますが、「世界三大レースを制覇したい」という、そこにそこはかとないロマンも感じさせる、この途轍もない目標を掲げる言を聞いたことがないのがちょっと残念です。

先に書きました通り、現役のＦ１ドライバーがル・マンやインディ５００だけスポットで乗るのは契約上大変難しいでしょう。そもそも、ぱっと乗っていきなり優勝というのも、なかなか想像出来ません。
今の時代の現実的な順番としては、Ｆ１を降りた後にフランスとアメリカを目指すことになるかと思うんですが、そもそもモナコを制するということ自体が、高い高いハードルな訳です。

この偉業を達成したのは、過去に一人しかおりません。モナコを５度も制し、６６年にインディ５００で勝ち、７２年にマトラを駆りル・マンの覇者となったグレアム・ヒルその人です。もうそれから４１年も経ってしまいました・・・。

３つの内、２つを制した人は過去に６人だけいます。その中で唯一の現役が、現在アメリカのナスカーに参戦中のコロンビアの英雄「ファン・パブロ・モントーヤ」です。モナコＧＰ（０３年）とインディ５００（００年）を制して、後はル・マンということになります。
この件に関して、ご本人が何と発言してるか、どう思っているか、というのは極東に住むいちマニアの私には分かりませんが、多少大仰かもしれませんが、記者会見を開いてでも、

「私は過去にモナコと５００を制した。私のレーシングドライバーとしての力を証明するために、そして現役生活の集大成として、ここ数年内でル・マンを狙う。勝てるマシンが限られている以上、そのシートを射止めること自体が大変なチャレンジだが、私は自分の能力を信じている。ナスカーの契約は大らかなので、シーズンを戦いながらまずはアウディかトヨタでのテストの機会を得たいと思っているが、場合によっては、ヨーロッパに活動の拠点を移すことも視野に入っている。」

なんてコメントを聞けたら、モータースポーツ界における４０数年振りの偉業を達成してもらうために、心底応援するでしょうね。