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今から３４年前の貴重な映像ですが、１１０サニーによる出走４台のＬＣ（レディスカップ）レース、このレースで３位に入った小池伸子さんがチェッカー後、ピットでマシンから降りた姿が２分３６秒で見られます。

小池伸子さんと聞いて思いつく方は、８０年代のモータースポーツをよくご存知の方でしょう。彼女はマイナーツーリング、スターレットグランドカップ、グループＡ等ハコ車による様々なカテゴリーで、優勝にはからまないまでも、中位から上位での成績を残し続けました。

調べますと、彼女はこの前年にレースデビューしたばかり。女性のみのレースで出走４台中、前と僅差の３位と微妙な順位。しかもＬＣトップのタイムですら、通常のＴクラスに入ってしまえばほとんどドベです。
トップに入った方は、自分も周囲も大変喜んでいます。逆にビリだった方は足元もよろけ気味で、気まずい表情です。
私が知らないだけかもしれませんが、トップと４位の方のお名前を見ても、その後レースにはお出にならなかったのではないでしょうか。少なくとも言えることは、小池さんの実績には遠く及ばないことだけは確かです。一方は、ある一時いい思い出を残しハンドルを置き、一方は、恐怖との戦いでもあるレースの世界を垣間見ただけでハンドルを置き、そして、小池さんは・・。

私は、２分３６秒から４２秒までのたった６秒間の中で、ヘルメットを脱いだ一瞬だけちょっとはにかんだ笑みを浮かべた以外は厳しい表情の小池さんの中に、「こんな不甲斐ないレースをしてて情けない。自分で自分が腹立たしい」と、煮えくり返る思いでいる闘志といったものを感じる気がするのです。そして、その気持ちをこの後十数年間持ち続けて、燃焼させていったのではないでしょうか。スキルと闘争心を向上させ、海千山千のハコ使いと熾烈な戦いを続けていったルーツが垣間見れた気がします。

“ラスト･トミー”という名で知られる英国人、ハリー･パッチ氏が昨年、１１１歳でお亡くなりになったことによって、第一次世界大戦に従軍した経験のある人間がこの地球上よりいなくなりました。
氏は、対戦中最も悲惨な戦いの一つであった「パッシェンデールの戦い」にも従軍し、そこで生き残り、戦後９１年を生きました。

同じようなことを考えますと、あと二十数年で、第二次世界大戦に従軍したことのある人間がこの地球上よりいなくなるでしょう。
ある歴史上の出来事を体験・経験した人たちは、それから数十年経てばこの地球上からいなくなってしまう訳で、過去、そうして悠久の歳月が正確にこの地球上に流れていって、これからも正確に、時に非情に流れていくのでしょうね・・。