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118dには4気筒ディーゼルターボのM47TUが搭載されています。
このユニットは、120d、123d、318d、320dと共通ですが、出力が抑えられて燃費重視の設定が与えられているようです。
1995cc、最高出力143PS(105kW)/400rpm、最大トルク300Nm/1750rpmのエンジンで1385kgの車体を引っ張ります。
最高速度は210km/h、0-100km/h加速は8.9秒、EU-Drittelmixに基づく公称燃費は21.3km/Lをマークします。

乗り始めた頃は、まだアタリも出ていないせいか非力な印象を受けたのですが、12000kmを走行してこなれてきたようなのでインプレッションを綴ってみようと思います。
主に、130PS 310Nmのスペックを持つAudi A4(B6) 1.9TDI（以下A4）との比較になります。

加速性能
A4では2000rpmぐらいにトルクの盛り上がりがあり、3200rpmぐらいで再びトルクピークを感じるという印象でした。
また、アクセルに対する反応もダイレクト感があり、ディーゼルの運動性能もバカにできないなと感じたものです。
これに対して118dは1500rpmから滑らかにトルクピークを感じさせない吹け上がりを見せます。
しかし、2500rpm以下からアクセルを踏み込んで加速しても、トルクの立ち上がりがワンテンポ遅れる感じがあります。
組み合わされる6速ギヤボックスがA4よりも若干高めに設定されているようで、加速時にはシフトダウンを要する場面が多いです。
スポーティに走るならばシフトアップポイントを3500rpm以上に上げて、2500rpm以上をキープするのが良さそうな感じです。
でも、ディーゼルエンジンでこういう走り方ができるというのも新鮮ですね。
ディーゼルって高回転域では燃焼速度が追いつかないせいかザラザラとしたエンジンフィーリングがあるはずなのですが、それを感じさせないのがBMWのディーゼルです。
無負荷状態での吹け上がりは思いのほか軽く、まるで自然吸気のガソリンエンジンを思わせます。
おかげでシフトダウンした際にも回転をあわせやすく、ヒールアンドトゥも面白いぐらいに決まるので楽しいエンジンですよ。

巡航性能
A4は200km/hで巡航中も、そこから加速できそうなトルク感が感じられました。
実際には220km/hぐらいで頭打ちしてしまうのですが、少しの登り勾配でも200km/hをキープできました。
118dは、平坦な道では220km/h＋αでも巡航キープできるのですが、２～３％程度の登り勾配で失速して、フルスロットルでも180km/hぐらいまで落ち込んでしまいます。
6速200km/hではエンジンはだいたい3200rpmで回っています。
5速に落とすと、イエローゾーンぎりぎりの4000rpm強まで回してなんとか200km/hを維持できます。
加速性能といい、高速巡航性能といい、エンジンのパワーはA4より上で車体は100kgぐらい軽いはずなのにこのパワー感のなさは一体どこから来るのでしょうか…
欧州の高速道路では、120～140km/hで巡航するシーンが最も多いです。
118dは6速で2200～2400rpmといったところなのですが、この条件下ではアクセルの踏み加減に注意を注がないとすぐに10km/hぐらいの範囲で速度が上下してしまいます。
こんなときはクルーズコントロールが重宝します。
郊外の幹線道路では70～120km/hで巡航します。
だいたい110km/h以下ならば5速、100km/h以上ならば6速を選んでエンジンを1800～2200rpmで回すと快適に走れます。
街中の大通りでは60km/h前後で流れています。
60km/hならば4速で1800rpmで運転するのが、スムーズに流れに乗りながらも、踏み加減に敏感に反応しない快適さが得られます。
もしもこのクルマを航送して日本に持ち帰ったら、きっとほとんど4速までしか使わなくて、高速道路でだけ5速に入れる程度になってしまうでしょうね。

静粛性
さすがに車両本体価格だけで25,000ユーロ（400万円）するクルマだけあって、不満なんて出ないぐらい静かです。
7万キロ走った車と比べるのは酷ですが、A4では3000rpmを越えた辺りから　も゛ーー　とこもるような音になり「あ、やっぱりディーゼルよね」と感じていました。
118dはレッドゾーンの4800rpmまできっちり回してもスポーティなイメージのサウンドを維持してくれます。
もちろん外で聞くとディーゼル特有の　ガーッ　というメカニカルノイズが聞こえますが、乗ってしまうとうまく押さえ込まれているようです。

燃費
内蔵されている燃費計によると、わたしの乗り方では平均17.1km/Lを記録しています。
週日は街乗りのみで、週末は片道300kmの遠出をする使い方です。
特に燃費素行を意識することも無く、毎度毎度全開走行をするわけでもなく、アクセルの付きがいいギヤと回転数で走っています。
待ち乗りオンリーの５日間で記録させた平均燃費は14.8km/Lでした。
おそらく日本の道路事情の下で乗ると15km/L前後に収まるのではないでしょうか。

総評として、これまでのディーゼルエンジンのイメージで乗ると意外に感じる部分が多いエンジンで、とてもよくできた面白いユニットだと思います。
自然吸気の1.6Lガソリンエンジンと騙されても気が付かないかもしれないようなフィーリングです。
惜しむらくは1.4tもあるボディですね。
最近ラインナップに加わった123dのパワー感もいかほどなものか試してみたいこのごろです。