長嶋茂雄。その男は,昭和を…いや,日本を代表するヒーローだった。
幼いころの記憶に,MVP受賞だろうか?ミスターが,リボンのついた巨大なキーを,誇らしげに掲げていた姿がある。
光を受けてきらめくそのキーは,栄光の証。
選ばれし者だけが手にする勲章だった。
そんな象徴にさえされるクルマのキー。
それは,単なる備品のひとつに過ぎないが,不思議な力を持っている。
ディーラーでキーを手渡された瞬間,エンジンの音より先に,心の中でファンファーレが鳴る♪「俺のクルマになった」と。
家のカギを持つ者が,その家を自由にできるように…
クルマのキーはオーナーの証であり,新たな門出の号砲でもある。
さて,私が最初に手にしたキーは,ヘッド部分にニャロメのイラストが描いてある合カギだった。
中古のセリカで,純正のキーもなければ,プラスチックの被覆もされていなかった。
乾燥した日には静電気が火花を散らし,手荒い歓迎をしてくれる。
夜,そっとクルマに近づき,ビクビクしながらドアを開ける自分は,どう見ても車上荒らし。
クルマに乗るというより,職質一歩手前だった。
オーナーという響きにはほど遠いが,それでも凄く嬉しかった思いがある。
アルテッツァのときは,当時,珍しかった内溝キー。
たしかトヨタ車としては,クラウンと共に初の試みだったはずだ。
未来を感じ,あたかもタイムマシンに乗っているかのように,見せびらかした。
ワーゲンのジャックナイフキーでは,意味もなくブレードを飛び出させ,アウトバーンなんて行ったことなかったのに,ドイツの不良気取り。
メルセデスのスマートキーは,「キーレスゴー」とオリジナルネームまで付け,モデルチェンジのたびにデザインも変わる。
誇らしげに光るスリーポインテッドスター,でも型落ちになると,ポケットから出せないという,副作用つき。
他にも,ポルシェのミニカー型キーやアストンマーティンのクリスタルバー,アルピーヌのカードキーなど,各メーカーは一風変わったキーでオリジナリティを競っている。
そして,今回のケータハム・セブンのキー。
妙にギザギザである―――
とにかく,ギザギザ。
近くで見てもギザギザ,遠くで見てもギザギザ。
ノコギリみたいで「絶対,キャンプで重宝するっしょ」というレベル。
これまで様々なキー遍歴を持つ私にしてみれば…
「今どき,こんなのありかよ」と思わず口に出たが,同時にふっと笑ってしまった。
あの長嶋茂雄が掲げた巨大なキーに,一番近いのはこのギザギザかもしれない。
最新式のスマートキーよりも,よっぽどオーナーになった実感が湧くのだから…
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