エンジン始動テスト
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
さて、今のところデル美ちゃんの症状としては、クーラントのお漏らしとスターター不良。
もちろん、点火はしていません。
まずはクーラントをなんとかせねばなりません。
冷却水を全部抜き、チャンバーとプラグを外して中の様子を伺うと、燃焼室内への流入はなさそうです。
となると、ホースの接続部でしょうか?
怪しいのはシリンダーヘッドのサーモスタットのホース接続です。というわけで、各クランプを増し締め。
あと、ヘッドガスケットからのセンも考えられます。なんといっても、安心と信頼のメイド・イン・チャイナですしね。
悩んだところ、応急的に液体ガスケット併用を選択。
シリンダーガスケットとシリンダーの間に薄く液ガスを塗ることに。
ガスケットの硬化を待って、再びクーラントを入れてみます。
さあ、どうだ?
…
……
ぽたっ
アカンかー…
ガスケットとサーモスタットじゃないとすると、あとは…
あ、いてました。
水温センサー、サーミスタ。
よくよく見てみると、サーミスタのボルト周りがしっとり湿ってます。
キサマか!
そういえば、ここのボルト、配線付きなんでソケットが使えないくせに、21mmとレンチも持ってないサイズだったので、モンキーレンチ(安物)で締めてたんですよね。
試しにボルトを緩めてみると、
ゆるっ!
全然締まってへんやん!
ということで、サーミスタをしっかりと締め直してお漏らし治療完了です。
2
お次はセルモーター。
導通していたので、モータ自体は壊れておらず、通電した瞬間にガチョンと飛び出すはずのピニオンギアが飛び出てこない状態。
指で動かすと回転と同時に飛び出すギミックは生きているので、どこが悪いのか調べるためとりあえず、バラしてみます。
モーターが回っているので、不具合はピニオンギア単体と踏んで、外したギアをパーツクリーナーで洗浄して戻してみますが、相変わらず、ひょーんとモーターが空回り。
仕方ありません。
こういうときのための部品取り!
セルモーター修理はまたの機会にして、部品取りエンジンからセルモーターを取り外し、バッテリーに直結!
あ、手順に注意ですよ。
まず、バッテリーの短絡防止のためマイナスをセルのボディアースに接続しておきます。
で、プラスに繋いだコードをセルのプラス端子に接触させます。
このとき火花が結構飛ぶので、灯油とかガソリンとかが周りにないことを確認してください。
あと、感電防止のためゴム手袋など電気を通さないグローブを装備しましょう!
では、いざ! 動け、セルモーター!
バチっ!
火花とともに元気よく回るピニオンギア!
きちんと飛び出してます!!
生きとったんかいワレ!
いやー、良かったぁ!
デル美ちゃんはセクシーでしゃれおつなマシンなので、キックペダルなどという無骨な装備はないんです。
つまり、セルが死んだら毎回押しがけ!
ここは、何としてでも、死亡中のセルモーターの蘇生に挑戦したいところです。
とにかく、デル美ちゃんにはこの動くセルモーターを装着して、再び始動テストです!
3
始動テストの前に、プラグの通電確認しておきましょう。やり方は簡単。
シリンダーから外したプラグを再度プラグキャップにはめて、エンジンブロックに押し当てながら、セルを回して、火花が飛ぶか確認するわけです。
プラグのネジ部分がマイナスアースになっているので、クリップコードなどでボディアースと繋いでも大丈夫です。
では、セルのスターターテストも兼ねて参りましょう!
イグニッションオン!
セルスタータースイッチオン!
キュルルルルンっ
やたー!
ちゃんとフライホイールも回っています!
回っています、が!!
プラグの火花が飛んでねぇ…
プラグは新品ですから、つまりはプラグまで電気がいってないワケですな。
電気系統が苦手なワタクシ。
一生懸命、整備マニュアル(英語)の配線図とにらめっこしつつ、接続の不備がないか一つひとつ点検します。
すると、気になる記載を発見!
「発電機のベースプレートを▲のマークに合わせて取り付けます(意訳)」
……え?
そんなの気にしてなかったけど?
うーん、コレが原因とは思えませんが、どうなっていたか気になります。
というわけで、1度しか出番がないと思っていたフライホイールプーラー、再登板です。
4
フライホイールを外すのも2回目ですから、作業はスムーズです。
プーラーを使ってサクッと外したら、中の発電機のコイルも取り外し、ベースプレートを確認します。
あ、やっぱりズレとるやん。
というわけで、プレートを正しい場所に設置し直して、またコイルとフライホイールを組み直します。
さあ、これでどうだ?
イグニッションオン!
セルスタータースイッチオン!
はい、ダメー。
違うそうじゃない、ってか。
まあ、エラーをひとつ解消できたのは収穫です。
接続が問題ないなら、疑うべきは点火用のイグニションコイルです。
フフフ…
実はこんなこともあろうかと、既に某中華エキスプレス的な通販で、怪しいコピー品を手に入れてますので、コイツに差し替えてみましょうかね?
というわけで、イグニションコイル一体型のCDIからプラグコードを抜きます。
コピー品を見ると、どうやらネジが突き出ていて、そこにプラグコードをグリグリ突き刺して接続する感じてす。
ということで、既存のプラグコードを取り外し念の為、導通チェックしときましょう。
…
……
死んどるやないかい!
犯人を見つけました。
どうやらプラグキャップが死亡していたらしく、ここで
止まってました。
一筋縄ではいかないデル美ちゃん。
急いで近所の2りんかんまで、プラグキャップを買いに走ります。
5
2りんかんの売り場でプラグキャップを眺めます。
いやぁ、懐かしいですね。真っ赤なコードがカッコいいNGKのレーシングプラグコードとか、いろいろあったんですが、デル美ちゃんとの相性がわかりませんので、取りあえずなんの変哲もないキタコのプラグキャップを購入します。
あと、ついでに必要になりそうな消耗品類なども買い足して、再びデル美ちゃんのもとへと急ぎます。
購入したプラグキャップもねじ込み式なので、既存のものをプラグコードから抜き、新しいものに交換します。
さて、3度目の正直なるか?
新品のスパークプラグキャップにプラグを差し込み、シリンダーブロックにプラグを押し当てつつセルを回します。
すると…
火花確認!
よしっ!
点火系の準備はバッチリです!
というわけでプラグをシリンダーヘッドにセットし、キャップを取り付けます。
クランクは問題なくするし、圧縮もある。
液体ガスケットでシーリングもした。
点火確認もOK。
これで目覚めないはずがありません。
祈るような気持ちでキーを回します。
イグニッションオン!
セルスタータースイッチオン!
スポポポポポポポ
オン!
スポポポポポポポ
オーンっ!
スポポポポポポポポポポポ
ダメですね。
圧縮はしてますが、点火しません。まだ混合気が行ってないのでしょうか。
それとも別の原因があるのでしょうか?
6
と、ここで思いつきます。
混合気が行ってないなら、シリンダー内で発生したらええんちゃう?
そう、ガソリンに2ストオイルを混ぜた混合燃料をシリンダーに直接ぶち込んだら、嫌でも火が着くはずです。
つうわけで、プラグを外し燃焼室内にスポイトでガソリンを数滴落とし、再度プラグを取り付けます。
さあ、これでどうだ。
いくぞーーっ!
イグニッションオン!
スタータースイッチオン!
キュルルンっ!
ブオォォーーン!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
サイレンサーどころか、シリンダーの排気ポートからももうもうと白煙を上げ、デル美ちゃんが覚醒!
すげーっ!
つか、うるせぇ!!
チャンバーの取り付けがあまいせいで、爆音です。
しかし、歓喜は一瞬で溶け、脳内に異変というか、違和感を覚えます。
ブオォォぉぉぉぉーー!!
そう、何もしてないのに回転数が上がっていきます!
ヤバい。
本能的にアラート発動し、気づけばイグニションスイッチをオフにしてました。
あ、焦ったぜ…
でも…
おはよう、デル美ちゃん!!
寝起きに強烈な一撃をくれましたが、確かにデル美ちゃんのエンジンが始動しました。
なんというか、長かった戦いにいよいよ、終止符を打つときが見えた一瞬です。
ここまでくれば、あとはセッティング。
目標のエンジンの復活は目前です。
というわけで、目覚めたデル美ちゃんの声をもう一度聞くべく、再びセルを回します。
キュルル……
ルルル…
ル……ル……
ル………
え?
何?
どしたの、デル美ちゃん?
セルを回しても勢いがありません。
それどころか、徐々に回らなくなっています。
まさかの、セル回しすぎてバッテリー切れ?
嘘でしょ、と思いつつ電圧を図ると12.2v。
やや低いですが、セルが止まるかというと、それほど低くはありません。
もしかするとセルモーターの不調?
早くも危惧していた事態に陥ったか?
仕方ありません。
デル美ちゃんをジャッキから下ろし、広い場所に移動します。
そう、押しがけです。
クラッチを握りながらバイクを押して走り、クラッチを繋いで初期の動力を得る始動方法です。
やっててよかった、chocozap!
chocozapでの走り込みも、このときのためと思えてくるほど。
デル美ちゃんのハンドルを握って立ち、クラッチを切ります。
ミッションを2速に入れ(1速だと重いので…)デル美ちゃんとともに走り出します。
そして勢いがついたところでクラッチをつなぎます。
目覚めよ、デル美ちゃんっ!!
ズザザーーッ!!
こ、後輪がロックだとぉーっ!!
慌ててスタンドを立てて、後輪を回します。
ガッチガチに固まってます。
も、もしかしてこれは…
ギアをニュートラルに戻して、フライホイールを回します。が、ビクともしません。
そ、そんな…デル美ちゃん…
こうして、長い眠りから目覚めたデル美ちゃんは、再び眠りについたのでした。
続きます
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