前回のブログの最後に書いた、到着待ちのオイルが届いた。
エンジン薪割り機の作動油として使うために買った、シェルのテラスシリーズの最高峰。
シェル テラスS3(粘度46)
作動油の世界にも当然ながらピンキリあって、より優れた作動油はスラッジの生成が少なく長寿命とのこと。
てことでこのテラスS3はSDSを見ると100%GTLの化学合成油となっています。
ただベースオイルがGTLって部分はすごいとして、もっと大事なのは添加剤の方。
カタログを見てもしきりにスラッジの生成が少ないことをしつこいくらいにアピールしています。
それだけ作動油にとってスラッジの存在が作動油の寿命を縮める主たる要因なのでしょう。
なので作動油における添加剤の組成について調べてみたところ、スラッジの生成を少なくするためには無灰型の酸化防止剤が求められるとのこと。
無灰型耐摩耗性油圧作動油の添加剤
https://jalos.jp/jalos/qa/articles/008-145.htm
この酸化防止剤。オイル業界においては【ZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)】が定番中のド定番でして、エンジンオイルだけでなく作動油においても同様に広く使われています。
ただ、こいつが配合されていると時間経過での劣化とともにスラッジと化してしまって、それが目詰まりを起こしたり潤滑不良の原因となったり。
先のリンク先のページから図を抜粋すると、指数関数的に劣化が進むことがわかると思います。
つまり酸化防止剤の寿命なわけなので、それ以降はオイルがどんどん酸化してしまう。
逆に、長寿命なオイルを作るためには他の添加剤に置き換えることになる。
先のリンク先のページにも表がありましたが、代替となるのが主にアミン系。
(裏技として、このアミン系の酸化防止剤は単体で使用するよりもフェノール系の酸化防止剤と混ぜることで効果倍増するという相乗効果もある。)
ですが一方で、ZnDTPの利点は酸化防止だけでなく、保護被膜(トライボフィルム)が生成されることで摩耗防止剤&極圧剤としての働きもある非常に多機能な添加剤だということ。
短寿命やスラッジなどのデメリットはあれども、一つの添加剤で多くの性能をカバーできる合理的で低コストな利点は、多くのオイルが採用する理由としては確かに納得のいくものです。
逆に、ハイエンドを除いた殆どのエンジンオイルが3000kmも走れば劣化を感じるってのは、この辺の影響が大きいと考えると辻褄が合いますね。(もちろん他の添加剤の劣化要因もある。)
しかもその添加割合にしても、ZnDTP単体でどうこうじゃなく、どうせ添加剤メーカーのDIパッケージを工夫無しにただ入れてるだけだろうし。(ベースオイルにこのパッケージを入れたらAPI:SP規格適合品の完成です!!みたいなお手軽さ。専門知識0でもOK。)
ちょっと付加価値を足したければそこにモリブデンを添加したり、ハイエンドを演出したければエステルをちょこっと添加したりとかその程度でしょ。(←加水分解対策の添加剤はちゃんと入れてんの?)
一部メーカーの内部の方とお話したけど、なんかなー。そんなもんだっけよ。
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オイル | 日記
Posted at
2024/07/27 12:04:58