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2025年09月05日 イイね!

旧車とエンジンオイルのシールゴム収縮・膨潤問題

旧車とエンジンオイルのシールゴム収縮・膨潤問題(興味のない方の為に)初めに結論:

「最新の規格の通ったオイルであれば試験済みなので心配いらない」

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オイルの素材や添加剤等のカタログ値を見ると、時々「アニリン点」という言葉を見ます。

【アニリン点とは】

アニリン点とは、試験試料とアニリンを(熱を加えて)混ぜたあと、冷却していく過程で何℃で分離するかを示す値。

…で?それが何?

はい。
実務的な面で言えば、

・アニリン点が低い
 →シールゴムを膨潤させる

・アニリン点が高い
 →シールゴムを収縮させる

とのこと。

ちなみにアニリン点は芳香族の多い・少ないで変化するそうです。

鉱物油は不純物が多く芳香族が多い→アニリン点が低い

精製・生成された合成油は芳香族が少ない→アニリン点が高い


このことを踏まえ、ここから先はAIに聞いてみました。
いつも私がお世話になっている先生はDeepseekです。
ファクトチェックはしていませんので話半分で聞いてください。



【各種ベースオイルのアニリン点】

典型的な値の範囲で、

グループI(鉱油) ... 90〜100℃
グループII(水素化処理) ... 100〜110℃
グループIII(VHVI) ... 110〜125℃
GTL ... 125〜140℃
PAO4 ... 120〜125℃
PAO8 ... 125〜130℃
POE(エステル) ... 40〜70℃

との事。

昔は「PAOはシールを収縮させてオイル漏れを起こす!」なんてよく槍玉に挙げられていたものでしたが、こうして数値で見るとGTLもかなりのものですね。

次に…



【エンジンに使われるシールゴムの種類】

熱環境の緩やかな箇所(オイルパン等)
→NBR(ニトリルゴム)やACM(アクリルゴム)

熱環境がやや厳しい箇所(クランクシールやカムシール)
→ACM(アクリルゴム)やFKM(フッ素ゴム)

熱環境が厳しい箇所(ターボチャージャー周り等)
→FKM(フッ素ゴム)

最近のエンジンは、化学的に安定しているFKM(フッ素ゴム)に全般置き換わっているケースも増えてきてるそうです。

逆に昔のエンジンはNBRが主体で、鉱物油時代は相性が良かったようです。



【各種ゴムとアニリン点の関係】

シールゴムによって、収縮・膨潤しやすい物もあれば、安定している物もあります。

そのへんを表したグラフがあります。

※縦軸が変形、横軸がアニリン点


引用:パッキンランド


まず、FKM(フッ素ゴム)はグラフの傾きが小さく、アニリン点に依らず安定していることが分かります。

一方で、NBR(ニトリルゴム)は傾きが大きく、さらされる油脂のアニリン点によって収縮・膨潤の幅が大きいことが分かります。

ACM(アクリルゴム)もNBRとほぼ同じ傾きですね。



【NBR(ニトリルゴム)は100℃付近で最も安定する】

かつて(今でも?)シールゴムの素材の代表格はNBR(ニトリルゴム)でした。

そのゴムが収縮もせず膨潤もしない丁度良いアニリン点が大体90℃〜110℃。

先ほど各種ベースオイルのアニリン点を比較しましたが、グループIやIIの鉱物油のアニリン点は…はい、ちょうど100℃前後でしたね。
とても相性が良かったのです。



【合成油の悪評】

そんなバランスで成り立っていた30〜40年前当時、新進気鋭のベースオイルとして突如PAOが現れました。

彼は航空業界でも名を馳せていたとして車業界にも鳴り物入りで参加。

鉱物油の苦手としていた低温流動性に優れていた事が、当時センセーショナル(なCM)に取り上げられました。

が、使用したユーザーを通じてまたたく間に全国に悪評が広まりました。

「化学合成油を入れるとオイル漏れを起こすぞ」と。



【原因はアニリン点とNBR(ニトリルゴム)の相性だった】

結果だけを以って「化学合成油は---」と断じてしまうのは簡単ですが、その原因を辿ると問題の本質はアニリン点だったようですね。

アニリン点の高いPAOに晒される事によって(ニトリル)ゴムが収縮し、隙間からオイルが滲んでいってしまったのです。



【各業界の対策】

その後オイルメーカーも当然対策を打ち、アニリン点の低いエステルを配合したり、エステルは高価なのでもともとDIパッケージにリン酸エステルやその他極性化合物を微量加えたりする事で、近年の不純物の少ない(アニリン点の高い)ベースオイルに対応しているそうです。

ちなみにアルキルナフタレンについては、(私が扱うメーカーの物だと)粘度によってアニリン点が大きく異なります。
粘度の柔らかいものほどアニリン点は低いです。

また、車メーカーもリスクの高い箇所にはFKM(フッ素ゴム)の採用を増やしていく等、お互いにできる範囲でリスクヘッジを進めているようですね。



【各規格での試験メソッドの有無】

オイルには規格が存在しますが、その規格内容の中にはシールゴムへの適合試験はないのでしょうか?

結論:
API規格 → あるが数値的な評価は無い
ACEA規格 → 定量的な評価あり
JASO規格 →   〃

という感じで、APIの規格には「問題あり/なし」のような大雑把な感じのようです。

一方でACEA規格やJASO規格ではきちんと数値で確認・評価するから確実性が高いと言えますね。



【まとめ】

・(芳香族の多い)鉱物油はアニリン点が中間位で、エンジンによく使われるシールゴムとの相性が良い

・純度の高いグループIII以上のベースオイルはアニリン点が高く、シール収縮傾向が強い

・ポリオールエステルやアルキルナフタレンのグループVはアニリン点が低く、シール膨潤の作用が強い傾向。(粘度により一概には言えないことに注意)

・NBR(ニトリルゴム)はアニリン点の影響を強く受けるため、オイルとの相性確認が必要

・最近のエンジンでは高級車を筆頭に安定性の高いFKM(フッ素ゴム)に置き換わってきているのでより安心

・オイルの規格でシールゴム適合性を見る試験メソッドがあるため、最新の規格を通ったオイルであればまず問題ないと見て良い


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あーめっちゃ長くなった。
しかも結論が「特に気にしなくて良い」に帰着っていう。

今回の内容をもうちょっと読みやすく書き直してHPに載せてます。
https://www.verior-oil.org/post/20250907
内容は一緒ですけどこれよりは読みやすいと思う。
Posted at 2025/09/06 00:30:28 | コメント(1) | トラックバック(0) | 勉強 | 日記
2025年09月02日 イイね!

新しい自家用車 兼 仕事車 兼 旅車が到着した




車両 ... F24型 日産アトラス ダブルキャブ
年式 ... H21年(2009年)
型式 ... PDG-SZ4F24
エンジン ... ZD30型 3.0Lディーゼルターボ DPF付
駆動方式 ... 4WD(切り替え式)
変速機 ... 5速マニュアル

-





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ディーゼル・マニュアル・四駆ってことで、エンジンオイルはもとより、ミッションオイル,デフオイルもテストできるので楽しみ。





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なお、バス(リエッセ)はパワステの故障によりポンプを交換したものの、下回りの腐りの酷さから油圧経路のパイプが破裂したことにより、きりがないと判断して廃車とすることにしました。

今年中にこのトラックの荷台に積む新しい住処を新築して、快適な旅に出られるよう頑張ります。
Posted at 2025/09/02 18:07:02 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年08月19日 イイね!

[オイルレビュー]GR Endurance 0w-20




先日交換したこのオイルのレビューを忘れないうちに書きたいので、走行距離毎に追記形式でしていきたいと思います。

被験車:ホンダ エディックス(NA 2000cc 5AT)

メモ:交換時168,479km

【交換〜750km】
 最高。レスポンス,滑らかさ、ともに申し分なし。
高回転まで非常に滑らかに回るし、低回転時の出足も良くて非常に好感触。
この価格帯(2500円/L)では白眉の出来。


【750km経過】
 心なしか陰りが出てきた。
交換直後に感じていたようなアクセルレスポンスが、若干感じられなくなってきた。
とは言えまだまだ滑らかさは健在。


【1,200km経過】169,719km
 あの鋭かったレスポンスはすっかり影を潜め、全体的にやや平凡な感じになってきた。
でも試しに高回転回してみても雑味はなく気持ち良く吹け上がるので、まだまだ好感触。


【1,600km経過】170,073km
 ザ・平凡。
すっかりそんな感触のオイルになりました。
滑らかさは一切消えたと言って差し支えないと思う。

出足の良さを感じさせていた鋭いレスポンスもなくなり、伸び側も、2速6,000rpm位まで引っ張ってみると以前よりエンジンノイズが大きい。

その後アクセルオフで回転が落ちるのをじっくり観察していると、3,000rpm位まで落ちるとエンジンノイズがだいぶ減る。
高回転側はもう期待できなさそう。

後はこのまま平凡な感覚がずっと続いていくのだろうか。

メーカーは5,000km以内の交換を推奨しているけど、まだその半分も経過していないうちからこの劣化具合だもんなぁ。


【2,400km経過】170,859km


先日青森まで泊りで家族旅行に出かけたので距離が伸びました。

ちょっと評価が変わって、「悪くないじゃん」ていうのが正直な感想です。
と言うのは、劣化の下降線が下げ止まりました。
前回の1,500km走行程度が底打ちみたいで、そこからはフィーリングの変化はありません。
その辺は流石ノンポリマーと言ったところですね。

エステルの効果が切れて残りはベースオイルの性能となりましたが、使われているVHVIも悪くないのか、街乗り&高速で走っている分には全然いい感じです。

粘度の柔らかさによるフィーリングも手伝っていると思いますが、まぁこのまま続けば良いよねって感じで。

ただそうは言っても考えるのがコスパ。
これ2,500円/Lですからね。
基本的には一発勝負のレース用としてすぐに交換する前提で使うのが好ましいとは思います。
なんてブルジョワジーw

ヨーロッパメーカーのオイルなら2,000円/Lも出せばそれなりに耐久性の高いオイルは選べますから、やはり好き好んでGRを選択する理由は乏しいかな。
Posted at 2025/08/19 00:35:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月08日 イイね!

【物は試し】GR Endurance 0W-20 にオイル交換

【物は試し】GR Endurance 0W-20 にオイル交換先日のブログで、コメントにてGR Enduranceをぜひ一度使ってみてほしいというお話があったので試しに買ってみた。

本当はかみさんのBクラスに入れるつもりだったけど、オイル容量が5.2Lあるのに対して、GRのオイルは1L単位で売ってないのでめんどくさくてやめた。

代わりに私が普段乗っているエディックスの方に入れることにしました。
BE3 20Xなので、ちょうど4Lでぴったし。
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とは言え、こないだ6月に交換したばかりだし、1年使い続ける予定なので、抜いたオイルは容器にとっておきました。
どうせGRオイルの方は寿命短そうだし、そしたらまた後で使おう。

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あ。そういえば生まれて初めての0W-20だな。

このオイルを使ってみての使用レビューはこちら。
https://minkara.carview.co.jp/userid/3602924/blog/48608810/

- - - - - - - - - - - - -
次に家内のベンツBクラス(W246)も交換。
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こっちは去年の6月に交換していたので、1年2ヵ月経ちました。
距離数は大したことないけど、めちゃくちゃチョイ乗りが多くて(特に冬場は)超シビアコンディションだったと思います。
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抜いたオイルは…?
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ちゃんと粘り気あるし色も大して黒くないな…。
なお、使っていたオイルはShell Rotella T6 5W-40でした。


んで今回入れ代えるオイルは、当然自分が製造・販売しているVeriorです。
ベンツで純正指定が229.5(5W-40)なのですが、Veriorのベースにしているオイルもその認証が取れているので同程度以上の性能です。
Posted at 2025/08/08 13:51:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | オイル | クルマ
2025年08月02日 イイね!

粘度指数の捉え方(参考)

粘度指数の捉え方(参考)私のブログを読むような方であればオイル選びの際には商品スペックにも目を通していると思いますが、その一つが粘度指数ですよね。

聞き飽きているかもしれませんが、粘度指数について簡単に説明すると、「温度による粘度変化」を示す値になります。

単純に、粘度指数の値が
低い → 低温で硬く、高温で柔い
高い → 低温で柔く、高温で硬い
と捉えることができます。

下のグラフを基に言うと、「粘度指数が高いほどグラフが平たくなって粘度が安定する」ということです。


ただしこれは基準値から見た話ですので、例えば20W-50のような硬いオイルは、粘度指数が高くても低温時はそれなりに硬いですので、「絶対的ではなく相対的な指標」という意味合いです。



┃粘度指数がずば抜けて高いオイルは高性能と言えるのか?



エンジンオイルは低温時に柔らかいほど良く、高温時に硬いほど良いわけですが、それを実現するための代表的なアイテムが「粘度指数向上剤」、つまり高分子ポリマーです。

低温時にはオイルの流動性を妨げず、逆に高温時には流動性に抵抗をもたらすという、なんとも(良い意味で)都合の良い性質を持っています。



「じゃぁ粘度指数が軒並み280~310なんていうとびぬけた数値を持った某純正GRオイルは超最高じゃないですか!」

「…あれ? GR純正でもNA用のCircuitは粘度指数310だけど、ターボ車用のEnduranceは165しかないぞ。」

「より厳しい環境で使うターボ車用オイルの方が粘度指数が低い。よく読んだらノンポリマー処方って書いてる。しかもこっちの方が高価。」

「なんで粘度指数高い=ポリマー足した方が安いの? つーかなんで310とかまで粘度指数を求めたの? じゃぁ165だと低いの?高いの?なんかよく分からんくなってきたぞ?」

GRオイルに限らず、粘度指数に関してこんな感じのことを思った方も多くいるのではないでしょうか。



┃粘度指数向上剤のデメリット


前段で書きました。「粘度指数は相対的な指標」だと。
あくまで基準値からどれくらい変化するかという指標。

基準値...。

そういえばベースオイルの区分のグループI、グループII、グループIIIとかって、何の要素で分けられてましたっけ?

はい、粘度指数ですよね。

(引用:AZ)

グループVは別として、ベースオイルの性能を決める一因は「粘度指数の高さ=性能の高さ」と言えます。

なぜなら最初に書いたように、粘度指数の高さは粘度の安定性の高さだから。

でもそれは素材(ベースオイル)での話。

粘度指数向上剤を使って数値を上げるのは話が別。

なぜか。

粘度指数向上剤にはデメリットがあるから。

1.ピストン運動によってせん断される
 →効果が無くなる=粘度指数が低下する

2.高温で酸化・分解する
 →分解生成物がスラッジ(汚泥)になる
  →スラッジを処理するために清浄分散剤の消耗を早める
   →オイルの寿命を縮める

3.その添加分がもったいない
 →粘度指数のためだけに、ものによっては10%前後かそれ以上添加されているので、もし少量or無添加にできればその枠を別の物に使える


なので、デメリットを消すためには初めから粘度指数の高いベースオイルを使えばそれ以上はあまり上げる必要がない。

高価なオイルほどSDSを見ると添加剤割合が小さい理由もそれ。

粘度指数向上剤の劣化による性能低下の懸念が無くなればオイルの寿命も伸ばせるし。

逆に粘度指数の低いベースオイルを使っている場合は補うためにどうしても粘度指数向上剤が必要。
なぜなら、劣化を見込んでも一定期間はマージン(安全率)を確保しておきたいから。



私は高耐久であることが良いオイルという価値観を持っているため、短期間交換を前提としたオイルには興味がありません。

その意味で、新油時の評価値としての粘度指数やHTHSはほとんど気にしなくなりました。

もし公的に劣化試験が義務付けられてその評価値が出るようになれば、もっと業界のレベルも上がる(底上げされる)だろうにね。
Posted at 2025/08/02 05:27:18 | コメント(2) | トラックバック(0) | オイル | 日記

プロフィール

「[整備] #アトラス [F24アトラス]シフトノブ交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/3602924/car/3771507/8396141/note.aspx
何シテル?   10/12 10:13
夫婦と息子で3人暮らし。 岩手県で住宅会社をしています。 2025年からオリジナルのエンジンオイルの製作・販売を始めました。 https://verio...
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