
浅野いにおを最初に知ったのは、おやすみプンプンだった。といっても、読んだのではなく、たしか東武東上線に広告が出ていたのだと思う。なので、存在は知っていたが、広告からではどんな漫画なのか全く分からず、ずっと読まずに来ていた。少し前だが漫勉で取り上げられていて、デッドデッドデーモンズ…が面白かったので、おやすみプンプンも読んでみた。
結論から言えば面白かった。星で言えば4つあげてもいい。しかし、なぜだか全面的には肯定しにくい。
一言で言えば「女々しい」といったところだろうか(この言葉は蔑視か?)。気弱で自堕落で甘えん坊で自意識過剰で引きこもり。それはいいが、そんな男に救済が=女性が常に向こうからやってくる。最後はお母ちゃん(に似た女性)に救われるというのは決定的で、本来忘れられるべきは愛子ではなく、母親ではないのか。母親に救われる物語に意味があるだろうか?いやしかし、そんなのはどうでもいいのかもしれない。優しすぎる、純粋すぎる。そんな人間が現代に生きるということ「普通」に生きることが、切実でロマンチックだ。いや、愛子は映画を観て、お茶して、買い物する「普通」を望んだが、プンプンは日常を拒否し、非日常を望んだ(正確に言えば非日常を盲目的に肯定することで、このどうしようもない日常を否定した。だから、愛子に会いたいと同時に会えてしまっては困るのだ。)。そして、最後は日常を受け入れ、非日常を=愛子を忘れることを選ぶ。もう一度愛子に嘘をつく。デッドデッドデーモンズでもそうだが、浅野いにおは「いつもの放課後」のような退屈で平坦な日常を描く。最後数巻の逃避行は日常を相対化させるのに十分な緊張感と美しさと切なさがある。もうむちゃくちゃで整理つかない小並感だが、一応書いておく。これからネットで解説を探そう。
Posted at 2016/10/10 02:18:24 | |
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