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130. USJを劇的に変えたたった一つの考え方 4点
USJの何を変えたのか?著者はこの質問を度々受けてきた。変えた項目はブランドの定義から価格、CM、イベントなど数百は列挙できるとしたながらも、「消費者視点という価値観と仕組みにUSJを変えた」ことが、本書のタイトルに対する答えである。
「何を当たり前な」という人もいるだろうし、私もそうだったと思うが、現在ではそれがいかに困難かよく分かる。部門間・個人間の利害やしがらみを断絶し、企業全体を「消費者にとって価値があるか」という価値観だけに向かってドライブする。それも政治的権力ではなく、一人一人を説得して「人を動かす」。サラリーマンならそれがいかに「めんどくさい」仕事であるかが分かるだろう。そして、そんなことやらなくても毎日は何となく過ぎていくのだ。

働きマンも「人を動かす」ことができていないことに気付く。
よく聞く「技術思考」もそうだ。
「電機・半導体」大崩壊の教訓では、「筆者は蛸壷の中で自己満足な技術開発に引きこもり、マーケットを無視した過剰品質・過剰技術を追求するのをやめ、マーケティングを強化せよという。マーケティングの本質は「変化を捉え、それに応じて自らも変わること」。」と私が書いている。※
そんな中学生が聞いても当たり前と思えるようなことができない。著者はそれをやった。ゴリゴリ社内で揉めたことだろうが、「目的」の設定と「戦略」の立案は、人を動かすことに大きく寄与したことだろう(というか、それがなければ動かない)。日本企業には戦略がない。逆に言えば、ポテンシャルはあるということかも知れないが、いくところまで行かないと変わらない、という諦観が頭をもたげる。
※半導体メーカーはユーザーニーズを積極的に掴もうとした。むしろユーザからの過剰とも思えるような要求に応えようとしたことが、イノベーションのジレンマに嵌ってしまったと著者はいう。この場合、ユーザーの表層的なニーズを追ってしまい、より本質的な、ユーザすら気づかない本質的な価値をそれを見抜くインサイトがなかった、と言うことだろうか。
以下、余談
その他、ちょっと感心した点で言うと、クリスマスイベントのTVCMを変えたエピソードがある。それまでは「昼はこんな楽しみがある、夜はこんなことが楽しめる」といった説明の正攻法だったが、それを「子供と本気で楽しめるクリスマスは、あと何回もない」と言う子を持つ親のインサイト=消費者が自分でも気づいていない欲望。「いつか君が大きくなってクリスマスの魔法が解けてしまうまでに、あと何回こんなクリスマスが過ごせるかな...」と言うキャッチで売った。
その他にも目的→戦略→戦術、といったよく見る構造でも、著者の経験を元にした血肉の通った事例が紹介されている。例えばユニバーサル・ワンダーランドを建設したときの目的は「ファミリー層の獲得」、ハリーポッターは「関西依存の集客体制からの脱却」。それらの上位に位置する大目的は「過去最高集客1,100万人を大きく超えること」こういう事例があると、そういう感じでいいんだと分かる。
Posted at 2020/07/30 00:18:12 | |
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