
かわぐちかいじの空母いぶきを読んでいる。
かわぐちかいじと言えば沈黙の艦隊で、高校の頃、布団にうつ伏せになりながら読みまくり、下に敷いていた枕で胸が痛くなったのを覚えている。沈黙の艦隊は、核ミサイルを搭載した潜水艦を潜ませるという核の時代の新たな安全保障制度の提案だった。ここでは、国対国が想定されている。
しかし、時代は国対国の戦争から、テロの時代に移っていく。自爆覚悟のテロ組織にとって核の抑止力は働かない。沈黙の艦隊のアジェンダ設定は時代遅れになった(連載は1988年から1996年で終了しているので当然ではある。)。
空母いぶきは、中国軍が尖閣諸島と沖縄の離島を占拠し、尖閣諸島の領有権を日本に認めさせようというプロットである。こういう問題提起は、非常にタイムリーでクリティカルだと思う。一般人は想像することするの困難さから、漠然とした不安を感じるだけだが、空虚な左右の対立、スキャンダルだけの国会論争、マスコミのずれたアジェンダ設定を見るに、虚構の果たせる役割りを(エンタメ交えて)果たしている。さすがだと思う。
一方で、政治・外交・軍事が複雑に絡み合うこの問題をどこまで描き切れるか怪しい。ジパングを途中で挫折したのは、やや現実感に欠ける気がしたからだ。協力の恵谷治氏は今年の5月に亡くなったようだ。6巻まで読んだが、どうなるだろうか。期待半分不安半分。困難な仕事だがチャレンジしただけでも素晴らしいと思うが、描き切ってほしい。
どうでもいいが、この1巻に出てくる女スパイが色っぽい。おそらく日本人で中国のスパイってのがまた...左は在日中国大使館の駐在武官。ほとんど女性が出てこない漫画だ。
Posted at 2018/11/18 18:23:50 | |
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