R1というクルマ①
投稿日 : 2022年06月28日
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スバルR1は、2005年1月4日に発売されたモデル。
キャッチコピーは「SUPER (SMALL) CAR」。
大人2人が快適に乗れるワンルーム感覚のキャビンで、時に2+2シーターとしても使えるユーティリティと、軽自動車ならではの経済性を実現。
エクステリアのチーフデザイナーは田中明彦氏。
「R2というクルマ」でも説明しているが、アンドレアス・ザパティナス氏は初期のカタログに顔を出してはいるものの、R1・R2のスタイリング完成後に就任したスバルのチーフデザイナーなので、このクルマとは何も関係ない人物である。
R2と同じく、デザイン優先とした"ワンモーションフォルム"に、スバルの礎である飛行機をモチーフにした“スプレッドウィングスグリル ”を取り入れた個性的なデザインを採用するが、微妙に差別化が図られており、ドアミラーやアンテナおよびスバルCIマークを模ったバックドアオープナー以外はR1専用部品と、実は似て非なるクルマである。
とくにリヤゲートは、スポイラーと一体にした形状を再現する為に、射出成形による樹脂製にする程のこだわりだ。
また、左右のドアは傾きながら斜めに開く前傾式ドアヒンジを採用しており、上側と下側のヒンジをオフセットさせる事で、ドアが後方&上方へ向かって大きく動き、小さく開いても上体を出し入れ出来るように工夫されている。
全長2195mm、全幅1475mm、全高1510mmからなる2ドアハッチバックタイプのワゴンで、取り回しの良さを得る為R2比較で全長が110 mm、ホイールベースが165 mm短縮されている。
★基本データ
全長✕全幅✕全高(mm)
2195✕1475✕1510
室内長✕室内幅✕室内高(mm)
1505✕1225✕1175
ホイールベース(mm)
2195
トレッド[前/後](mm)
1295/1285
最低地上高(mm)
155〜160
車両重量(kg)
800〜840
最小回転半径(m)
4.4~4.5
燃料タンク容量(L)
30
ブレーキ
フロント:13インチベンチレーテッド・ディスク式
リヤ:リーディングトレーリング・ドラム式
スタビライザー
フロント17Φ
★標準装備品
フロントフォグランプ、電動格納式リモコンカラードドアミラー、独立3眼エレクトロルミネセンスメーター、マニュアルエアコン、インテグレーテッドCDプレイヤー&AM/FMチューナー[2スピーカー]、ジャージ&トリコットシート、運転席シートリフター、助手席マルチユーティリティシート、運転席&助手席バニティミラー(照明付)、電波式キーレスエントリー、運転席シートベルト未装着ウォーニングランプ&ブザー。
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寸法縮小は剛性向上に寄与。 基本的にはR2と同じ骨格構造を採用しているが、レインフォースメントとストラットタワーを結合する補強部材を追加し、フロアの後端部を165mmカット。 2ドア化による構造変更とともに、上質なクルマへの更なる熟成を徹底している。
静粛性にもこだわり、フロア部のインシュレーター(ウレタン製熱溶着シート) を全面変更。 位置と形状を見直すとともに使用量を大幅に増強。 トーボードにもウレタン表皮を追加するなどして、エンジンルーム内からの透過音の吸収も徹底。 エンジン側の液体封入マウントの採用と相まって、 加速騒音ではR2比較で2~3dB低減した。
フロントサスペンションはL型ロアアーム・ストラット式、リヤデュアルリンクストラット式で、基本的にR2と同様のモノを採用。 しかし、サスペンションの取り付け部分の剛性は更に向上させている。例えば、リヤのクロスメンバーとの取り付け部に使用するボルトナットには締結剛性の高いタイプを使用している。
フロントサスペンションには、NAエンジンでも直径17mmの中実スタビライザーを装備。 同時期に販売されるB型R2ではSグレードのみの装備で、直径18mmだ。 バネレートをソフトに、ダンパーの減衰力を強めに変更、 フロントバンプラバーもヴィヴィオと共通する短いモノが採用され、縮側ストローク量を10mm程稼いでおり、ブッシュにも専用チューニングが施されている。ホイールベースは短縮されたが、これらのチューニングにより、しっとりと落ち着きのある乗り味を実現している。
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「R」は、新デザインの15インチアルミホイールに155/60R15タイヤ、シルバー塗装加飾付きホーンパッド、レッドメタリック塗装インストルメントパネル加飾、インパネシャワーライト(運転席&助手席)を装備した、標準的なメイングレード。
DOHC16バルブにAVCS(アクティブ・バルブ・コントロール・システム)エンジンが搭載され、その組み合わせとしてi-CVTが設定されていた。
また、R2「R」と同じくi-CVT車のエコモード制御は、info-ECO機能としてオート切り替えされるが、4センサー4チャンネルABSは標準装備された。
ボディカラーは、ベリーレッド・メタリック、チタニウムグレー・メタリック、アメイジストグレー・メタリック、トパーズ・イエロー、シルキーホワイト・パール(15,750円高)、オブシディアンブラック・パールの6色が設定される。
オプションは、2灯式HIDハイ&ロービームランプ(光軸調整スイッチ付)、SRSサイドエアバッグ、UVカット機能付濃色ガラス(リヤクォーター・リヤゲート)、レザー&アルカンターラセレクション、オーディオレス仕様、ADDZESTサウンドシステムMD+CDプレイヤー&AM/FMチューナー[サブウーファー付5スピーカー]が用意されていた。
<基本データ>
型式
2005.1~2005.10
2WD:i-CVT/CBA-RJ1A3AD
4WD:i-CVT/CBA-RJ2A3AD
エンジン
EN07D(直列4気筒DOHC16バルブAVCS-EGI)
圧縮比
10.5
54ps/6400rpm,6.4kg・m/4400rpm
トランスミッション
i-CVT
車両重量
2WD・i-CVT:800kg 4WDて・i-CVT:840kg
最小回転半径
4.5m
メーカー希望小売価格
2WD:i-CVT/1,260,000円
4WD:i-CVT/1,369,200円
※オーディオレス仕様は26,250円安
※寒冷地仕様は5,250円高
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「i」は2005年7月12日に追加された、賢い人向けのエントリーグレード。
「R」と異なるのは、まず搭載されるエンジンがR2「i」と同様のSOHC8バルブのEN07E型にされている他、R2「R」と共通の14インチアルミホイールと155/65R14タイヤを装着し、ボディカラーはアメイジストグレー・メタリック、シルキーホワイト・パール(15,750円高)が落とされて、4色に絞られている。
内装面では、インストゥルメントパネル加飾が「R」グレードのレッドメタリックではなくR2と共通のフロスティパールに変更されており、ドアのアームレストも無塗装黒とされた他、インパネシャワーライトが落とされて、ホーンパッドのシルバー加飾が省かれている。
メーカーオプションのHIDおよびレザー&アルカンターラセレクション、SRSサイドエアバッグの設定は無い。
<基本データ>
型式
2005.7~2005.10
2WD:i-CVT/CBA-RJ1A3BB
4WD:i-CVT/CBA-RJ2A3BB
エンジン
EN07E(直列4気筒DOHC8バルブEGI)
圧縮比
10.5
46ps/6000rpm,5.9kg・m/5200rpm
トランスミッション
i-CVT
車両重量
2WD・i-CVT:800kg 4WD・i-CVT:840kg
最小回転半径
4.4m
メーカー希望小売価格
2WD:i-CVT/1,134,000円
4WD:i-CVT/1,243,200円
※寒冷地仕様は5,250円高
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R1の為の構想モデル達①
左はR2と共通した、初期構想モデルをリセット後の第2次構想モデルで、シンプルなタマゴ型フォルム。ここでデザインの方向性が決められた。
真ん中の基本デザインの認証モデルでは、R2と共通のフロント周りでデザインされている。これは当初、ヘッドライトやフロントフェンダー、バンパーをR2と共通化する計画だった為である。
インテリア初期案では、インパネをR2と共通化しつつ、メーターを3眼タイプにデザインとした他、荷室もR2と同様にゲートの敷居から一段下がったところに荷室フロアを作り、バックレストを倒すとフラットになる常識的なタイプだった。
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基本デザイン認証モデルでフェイスデザイン以外はほぼ決まったが、そこからR2との商品性の違いを明確化すべく、R1独自の顔が模索された。発売が1年遅いという期間を活かし、幅広い案を検討している。
最終的には、03年の東京モーターショーに出品されたR1-eのデザインを取込み、デザインされたものが採用された。
インテリアは、R2との差別化の為に様々なカラーコーディネーションを検討して決められたようだ。
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「R1-e」は、2003年10月に開催された第37回東京モーターショーに電気自動車のコンセプトカーとして参考出品されたモデルで、東京スタジオが開発途上のR1の骨格をベースにデザインしている。
全長×全幅×全高=3330×1550×1420mm、ホイールベース2195mm。全幅は軽自動車より広いが、全長は65mm短い。シートレイアウトは2+2。
高性能電池とモーターを採用し、排出ガスのないゼロ・エミッション・ヴィークルとすることで、ヒートアイランド現象などの都市環境問題に対応。
電池はNECラミリオンエナジー(株)が開発した、自動車用マンガン系リチウムイオン組電池。従来のニッケル水素電池に較べてエネルギー密度が高く、小型軽量化が可能だという。
モーターからの出力は減速ギアを介して駆動。AT車のようなイージードライブが謳われる。P-N-R-DのATシフトレンジに加え、回生ブレーキを強く作動させるBレンジを設定。
坂道や車庫入れがしやすいよう、クリープ制御を採用するなど、日常での使い勝手にも配慮していた。
勘違いされがちだが、このR1-eはあくまでも市販車とは別に開発されたショーカーなので、生い立ちが違う。その為、全幅は軽自動車枠を超えているし全高も低くされている。
ただ、市販車もコレと同じく10mm低く設計してくれてたら…という意見は多かったようだ。
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R2は素敵なミセスをメインターゲットとした、新価値を提唱したデザイン優先の軽自動車だったが、R1は一段とパーソナル性を強調しており、完全な2+2というシートレイアウトからも、デザインにこだわる若者のエントリーカー、または独身男女、子離れ世代2名乗車を基本とするセカンドカー等として割り切られていたのがわかる。
R2よりも遮音性に優れ、ステアリングレスポンスと回答性の良さ、スタビリティの高さ、同エンジン搭載グレード比較で10kg軽量に仕上げられている。
「スペース効率の追求よりも、デザイン先に有りき」、「エモーショナルで個性的なデザイン」で開発したR2のイメージを、更に昇華させたスペシャルティな3ドアモデルがR1なのである。
保守的な実用MTの搭載はなく、i-CVTのみの設定なのも、スペシャルティにこだわったせいだろう。
そんなR1というクルマ、皆さんはどう思いますか?
では、また…。
気が向いたら、②に続く…かもしれない。
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