昨晩気がついたんですけど(遅い!)、今回、みんカラの皆さんが、
「ゼロスポーツ復活!」という記事を書かれていました。
…よく聞くと、こんな感じ。
3月1日に自己破産したゼロスポーツは、電気自動車事業を除くアフターパーツなど全事業について、「株式会社ゼロスポーツ」の社名を踏襲し、6月1日より営業再開することを明らかにした。
今回の再建にあたっては、旧ゼロスポーツ社員からの「ゼロスポーツを復活させたい」という思いを引き継ぎ、スポンサーを得て実現したとしている。
アフターパーツ事業の「ZERO/SPORTS」、ゼロスポーツ直営店の「ZEROMAX」、リニューアルゴルフカート事業の「ECO CART」の3事業を開始、従来の業務を全て引き継ぐ。
アフターパーツ事業のZERO/SPORTSは、スバル車向けを中心に500品目を上回るアイテム、全国のスバルディーラーを始め国内外7000店舗での販売実績、北米を中心とした世界19か国への輸出実績がある。国内ではスバル系アフターパーツメーカーとして定評を得ている。
ゼロスポーツ直営店ZEROMAXは、ゼロスポーツ商品のアンテナショップとして展開。販売だけでなく、ハイレベルな整備技術や優れた商品知識を持つスタッフによるプロショップとして、頼りになる店づくりをめざす、としている。
リニューアルゴルフカート事業のECO CARTでは、全国250を超えるゴルフ場と地理引きをおこない、昨年まで提携のエコカート製造工場15工場が全国で稼働していた。近年ゴルフ場の経営環境が厳しくなる中、新車同様に再生するエコカートは注目を集めていた。
6月1日の営業再開に合わせ、同日より本社に併設する直営店、ZEROMAX東海本店も正式にオープンする。神奈川県の南関東店については7月1日にオープン予定。
ゼロスポーツは破産後、保有する各事業の譲渡先を模索していた。中島徳至前社長が推進していた電気自動車事業については4月25日、愛媛県の渦潮電機が引き受け先となっている。
《宮崎壮人》
ゼロスポーツ、アフターパーツなど3事業で再建 6月より営業開始 レスポンス
しかし。
…ワタクシの最初の感想。
「は????
破産会社が
『ふっかつ』????」
破産手続開始決定が下り、管財人が就任した会社が、そのまま営業するために存続することはありえないからです。
以下のように、手続きを取り下げればともかく、既にそれは不可能。また、現在手続き中の会社は、
清算目的でのみ存続が許されている訳で。
なのに、
同じ「株式会社ゼロスポーツ」ってどゆこと??と思った訳です。
破産法
(破産手続開始の申立ての取下げの制限)
第二十九条
破産手続開始の申立てをした者は、破産手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、第二十四条第一項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、前条第一項の規定による保全処分、第九十一条第二項に規定する保全管理命令又は第百七十一条第一項の規定による保全処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
(法人の存続の擬制)
第三十五条
他の法律の規定により破産手続開始の決定によって解散した法人又は解散した法人で破産手続開始の決定を受けたものは、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなす。
皆さん、
ふっかあ~~~~~~~っつっ!!と仰るので、アタマが混乱しました。
で、ワタクシも、小なりとはいえ、この手の手続きを生業としているのだから、
公開されている情報から、とりあえず判断してみよ~!と思い立ち、調べてみました。
まず、
現在の「株式会社ゼロスポーツ」の発表。
プレスリリース
次に、
旧「株式会社ゼロスポーツ」の概要。
株式会社ゼロスポーツ|会社概要←※昨日まであったリンクが消されていますね。もはや消滅会社だからでしょう(5月28日修正)。
これらを見て、ワタクシの更なる感想。
「ふっ…認めたくないものだな…
若さゆえの過ち
というものを…」
「…表現の一部(2文字)に誤りがあるのではないか?」というクレームは受け付けませんので悪しからず(笑)。
…やれやれ。
冷静に見れば、これだけで、大体のカラクリが分かるじゃん。
この二つを見て、何か気がつきません??
たった一文字の違いで、今回の全てが分かる。
答え。
本店所在地。
旧「株式会社ゼロスポーツ」は、
岐阜県各務原市大野町6丁目101-①。
新「株式会社ゼロスポーツ」は、
岐阜県各務原市大野町6丁目101-②。
つまりね。
『株式会社ゼロスポーツ』という同じ名前の別々の会社が、同じ「岐阜県各務原市大野町6丁目101番」に二つあるということなのです。
昔の商法だったら、
類似商号禁止にあたり、こんな設立は認められませんでした。
現在の会社法では、
「同一の住所」に「同一の会社の目的」を持つ「同一商号」の会社は設立できないことになっており、
一文字違えど「違う住所」なので、こんなことも可能な訳です。
…ここまで露骨なのは聞いたことがありませんけどね(笑)。
※ただし、不正競争防止法があり、商号に規制がある。通常、わざとこんな会社の設立を嫌がらせでやれば、
間違いなく訴訟沙汰である。
おそらく、旧ゼロスポーツの社屋ビルの中には、
番地が二つに跨っているのだろうと思います。
それで、こういう会社の設立が許される、という訳で。
では、何でわざわざ??
これ、
M&Aと倒産法手続きを利用した典型的な事業再生の手法なんですよねぇ。
過去、自動車業界は、特に
民事再生を利用して、新しい会社に脱皮させるスキームをよく使いました。
今回は、ワタクシもあまり見たことが無い、
自己破産を利用したスキームを使っていた訳です。
だからちょっと混乱したんですよね。
すなわち。
自己破産を申し立てて財産散逸を防いでおいて、管財人が任命されたら、新会社(またはスポンサー)から事業譲渡の申し入れを行い、そっくりそのまま新しい会社に事業を移してしまう、というやり方です。
と思って、朝、ニュースを調べたら。
↓こんなのが出ていました。
マツバラ興業:新「ゼロスポーツ」設立 EV部門除く全事業--各務原 /岐阜
毎日新聞 5月27日(金)11時12分配信
各務原市の鋳造材料販売会社「マツバラ興業」(松原史尚社長)は今年3月に自己破産申請したベンチャー企業「旧ゼロスポーツ」の電気自動車(EV)部門を除く全事業を譲り受け、26日、新会社「ゼロスポーツ」の設立を発表した。新会社は6月1日から営業を開始する。
新会社「ゼロスポーツ」は資本金1000万円。新社長には旧ゼロスポーツの元執行役員、三沢秀佳氏(53)が就任した。元社員を10人程度雇用し、同市大野町の旧社ビルと、旧社のアフターパーツ事業「ZERO/SPORTS」や直営販売店「ZEROMAX」などの事業とブランド名を引き継いだ。ゼロスポーツ直営店はひと足早く28日から営業を始めるという。
マツバラ興業の松原社長は「各務原市が生んだゼロスポーツという灯を消したくなかった」と再建に乗り出した理由を説明。新会社の三沢社長は「地元にご支援をいただき、責任の重さを感じている。旧ゼロスポーツの精神や社風を変えず、社員が一丸となってお客様に恩返ししたい」と決意を語った。
旧ゼロスポーツは94年設立。EV事業を展開したが、資金繰りが悪化した。EV事業は4月、愛媛県今治市の船舶用電気機器メーカー「渦潮電機」が買収した。【立松勝】
5月27日朝刊
ゼロスポーツ“継承” 地元のマツバラ興業、EV除く全て
岐阜新聞2011年05月26日10:08
鋳造材料の調達、販売などを手掛けるマツバラ興業(各務原市那加浜見町、松原史尚社長)が、ことし3月に自己破産申請した電気自動車(EV)ベンチャー、ゼロスポーツ(同市大野町)のEV部門を除く全事業を譲り受けることが25日、分かった。マツバラ興業は近く、受け皿として同じ名前の新会社「ゼロスポーツ」を設立し、旧ゼロ社の元社員を雇用、事業やブランドを受け継ぎ、実質的に旧ゼロ社の再建を支援する。
マツバラ興業は、自動車部品や油圧部品の鋳物メーカー「マツバラ」(同市那加浜見町、松原史尚社長)を有するマツバラグループの持ち株会社。
新生ゼロスポーツは資本金1000万円で設立。社長には旧ゼロ社で小売事業などを統括していた元執行役員三澤秀佳氏(53)を充てるほか、元社員約10人を雇用。本社ビルも譲り受け、同じ住所地で事業を行うことができる。
これにより、旧ゼロ社のアフターパーツ事業「ZERO/SPORTS」や販売店「ZEROMAX」、ゴルフカートのリニューアルなどの各事業はブランド名とともに残ることとなった。松原社長は「各務原市が生んだゼロスポーツという名前をなくしたくなかった」と話している。
28日から販売店「ZEROMAX」の営業を開始。6月1日から新生ゼロスポーツの経営を本格スタートする。旧ゼロ社社長の中島徳至氏は「これまで積み重ねてきた企業価値を認めていただけた。元社員の再就職もまとまり、ほっとしている」と話した。
旧ゼロ社は1994(平成6)年設立。カーパーツの卸小売を主力にEV事業も展開。今年3月、岐阜地裁に自己破産を申し立てた。EV事業は船舶用電気機器の渦潮電機(愛媛県今治市)が譲り受けた。
…何だ。
やっぱりそうか。
ここまで見ているとよく分かるのは、
『復活』というより『事業と技術の存続』という方が合っているのではないか、という事ですね。
とここまでは、単なる事実の問題。
このニュースを含め、
EV問題からこの破産劇に至るまでをどのように考えるのか?は、皆さん次第です。
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自動車関連 | 日記
Posted at
2011/05/27 13:19:16