
昨日のコンチネンタルGTの後に短時間ではありますがファントムに乗ってみました。
こちらもベントレー同様にドイツ資本となったメーカーの車ですが、こちらのほうがドイツ的な価値観は影を潜めているような気がします。VWが新たなベントレーユーザーの開拓に視野を向けたのに対し、BMWは過去のロールスというブランドに敬意を持って現代風に翻訳している感じがあります。
嘗てはどちらも素晴らしい歴史を持つメーカーでありましたが、ドイツ資本に吸収される直前のロールス/ベントレーは、お叱りを承知で申し上げればセドリック/グロリアと同じバッジ・ビジネスだったと思います。それがベントレーがターボモデルを登場させたあたりからベントレーはドライバーズカーでロールスはショーファーカーとして認知されるようになって今日に至るという感じでありましょう。
しかし「こんな大きな車が!?」という異論を承知で私なりの感想を申しますと、現行ファントムはドライバーズカーであります。
勿論EWB(エクステンデッド・ホイールベース)と呼ばれるロングボディはショーファー専用と思いますが、このファントムはビックリする程軽い身のこなしをする車です。前後の重量配分も流石BMWだけあってほぼ均等に近い数値を持っていて、この手の大型車としては「曲がり」が苦手科目ではありません。
後方視界は決して良くはありませんが、街中では視点が高いので見通しが良くて周りの車が寄って着ません。少しアクセルを踏み込めばモーゼの十戒で海が割れるが如く前方が開けるという、色々な意味世界で一番安全な車と言えるのではと思います。
正直な所、室内も広いですがアッ!と驚く程の広さではありませんし、観音開きのドアも使い勝手は?であります。(閉める時だけ自動)しかしBMWはそれを承知でロールスの様式美というものを忠実に再現する素晴らしい仕事をしたのではないでしょうか。iドライブや最近のBMW特有のウィンカーレバーはファントムも同じであり、この辺りとハンドリングの良さはBMWならではの感じです。
お値段は5000万円弱くらいと未知の世界のお話ですが、こちらも先日発表されたゴーストが今後の主流となって行くようで、こちらで3500万円くらいとのお話でした。
降りた後で「ロールスって何だろう」と考えた時に、「これが欲しい!」と思う人ではなく、これを必要とする生活を送っている人達の道具なのかもしれないと思いました。当然日本には本当の意味でのセレブリティはいないと思いますが、世界に目を向ければとんでもない人達が沢山います。そういう人達が惜しげもなく使う事が前提なら、この価格も納得出来るというものです。
新生ロールスと新生ベントレー、私はBMWの解釈に賛成であります。
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Posted at
2009/11/08 15:45:55