
車にとってエンジンの存在って何だろう?と考えてみました。
極論すればフェラーリのようにエンジンが主役の車もあれば、レクサスLSのようにエンジンは黒子に徹する車も存在する訳で、その車のキャラクターを決める極めて重要な要素がエンジンという事は当たり前の事なのでしょう。
そんな中で個人的にベストなエンジンを考えた時に真っ先に浮かぶものは、BMWのストレート6とフェラーリのV8、そしてこのジャガーのV12ではないかと思うのです。このV12、私が20年くらい前「大きなエンジン=速い」と短絡的発想しか持たない頃に乗った時には正直理解不能でありました。時はバブルの頃で、どちらかと言えばフィーリングよりも絶対的な速さが優先される時代ではありましたが、どことなく儚げな印象が頼りなく感じた事は事実であります。
しかし2011年の今、改めて乗って見ると未だ嘗てこのV12以上に気持ちの良いエンジンは他に存在しないのではと思われるほどのフィーリングを持っています。
この繊細でありながら湧き出てくるようなパワー感を知ってしまうと、車にとって絶対的な速さを追求する事がいかに意味を持たないかを痛感してしまう程の乗り味で、それでいてところどころでエンジンが自らの存在を主張するエゴイスティックな一面も見え隠れする奥の深さが楽しめます。
外観的にも実に複雑な造作に感じますが、これはまさに発動機というよりもパイプオルガンのような存在で、このV12を奏でるドライバーはフルオーケストラを自由自在に指揮する快感を味わう事が可能です。そんな訳で私的に「良いエンジン」とは、時速40km/hでの走行に於いてもそのキャラクターを感じる事が出来るもので、追い越し車線を卒業した今は現行車種で魅力的に感じる車が少ないのも事実であります。
以前聞いた話ですが、某大メーカーの国内専用のサルーンは信号ダッシュの速さが一番大切だそうです。新型になって発進加速が少しでも遅いと「前に出ないじゃないか!」と中高年ユーザーからのクレームの嵐が寄せられるようです。その結果、メーカーとしては不本意ながらも信号ダッシュに重点を置いた車を作るようですが、何だか本末転倒な印象が拭えない感があります…
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2011/05/05 17:45:04