ここ数日間はとても涼しい日が続く東京ですが、来週からは暑い日が帰って来るようで憂鬱です。
月に一度、今月の日本橋三越さんの展示販売会は、涌井ミュージアムさんからベントレーのクラシックモデルでありました。

この2台には50年の違いがありますが、どちらもベントレーのオープンモデルである事が共通です。

こちらは1949年製のマークⅥで、アボット社というコーチビルダーによるワンオフで2500万円です。

このウッドの復元に関しては見事であります。ステアリングの角度も、送りハンドルを知らないドライバーには乗りこなせないでしょう。

スパッツで隠れたリアタイヤがエレガンスです。この車はかなり日本に永く住んでいた個体で、この価格のほとんどがレストア代というだけあって完璧な状態です。2009年に六本木ヒルズで行われたコンクールドエレガンスに出品されています。

こちらは2000年製のアズールマリナーです。少し前にお話があったのはこの車で、走行4000㌔で2100万円になります。多くの方は「この金額は高い」とか「ヤフオクならその半額以下であるよ」となると思いますが、それは大間違いです。この車の車重は2.6㌧あって、走らなくても保管しているだけで足回りには相当な負担が掛かってしまいます。この時代のベントレーで一番コストが掛かるのはその足回りで、それを過剰なまでにコーンズで整備し続けて来た個体で、その間のコストを考えれば仕方ないお値段かと思われます。

ノーマルのコンチネンタルRよりも若干リアフェンダーが張り出しています。因みにこの車のエンジンは、何故かコンチネンタルTスペックのものが載ったスペシャルオーダーものだそうです。

ものすごく贅沢な素材で、ものすごく手間暇かけた内装の質感に圧倒されます。本当の意味でハンドメイドされたベントレーは、この時代のものが最後になるのですね…
その昔、日本の資産家がゴッホのひまわりを購入し、自分の死後はその絵も一緒に荼毘に付して欲しいと発言して世界中から大顰蹙を買った出来事がありました。そうした絵画を購入する事は、単なる所有欲だけではなく、自分は一時預かりで最良の状態を保って後世に残すという義務があると思います。
この2台のベントレーを見ていると全く同じ事が言えるようで、単純にイイ車が欲しいという欲求で購入する事は、車に対して失礼に思える気がしました。勿論クラシックベントレーの扱いに慣れたコレクターの方ならともかく、私ごときの手には負えない事を悟って更なる精進の上にリベンジしたい車でありました。
そんなことを考えた昨日の晩、ウチの近所にこの車のあの方がお見えになりました。

セバスちゃんさんと、顔なじみのイタリアンのお店で車の話や音楽の話で時間は過ぎて行きました…
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2012/07/22 12:52:09