先週に引き続き、仕事で池袋のサンシャインに参りました。約束の時間よりも大幅に早く着いてしまい、アムラックスで時間を潰していたのですが、展示されているセンチュリーをじっくり見る事が出来ました。
センチュリーといえば、私が幼稚園くらいの頃に我が家で乗っておりました。確か当時は3400ccでフロントのみエアサスが装備されていたモデルだと思いますが、そのシルバーに黒のレザートップ、ホワイトリボンタイヤという姿は鮮明に覚えています。この車を買った時に父は45歳くらいだったと思いますが、この車を買った時の周囲の反応は「とうとう気が狂ったか」という感じだったようです。
さて、今のセンチュリーですが、先代のV8モデルよりも初代の顔立ちに近い印象です。

リアスタイルも一見すると大きな変化はありません。変わらない事が美徳の車なのでしょう。

以前ウチの車のお話の際に申し上げましたが、私はセダンは3BOXという言葉に忠実なスタイルを好みます。そうした意味では間違いなく3BOXの見本のようなスタイルだと思います。このスクエアなスタイルのお陰で、車輌感覚が非常に把握し易いです。
上質ではありますが、当然ながらエンターティンメント性を感じさせないドライバーズシートです。ポジションもシートバックを立てて背筋を伸ばしてステアリングを握る事が必須です。
助手席の一部が抜けてオットマンになる装備です。これの元祖はY30セドリック/グロリアのVIPだったと思いますが、センチュリーの後席の住人にはあまり使って欲しくないかも…
バリヤフリー化されたような乗降性の良い後席ステップです。昨今の車はボディ剛性確保の為にサイドシルが高くなる傾向がありますが、この車にとってはバリヤフリーのほうが優先順位が上です。
リアのグリップがドアと同じくらい長~いです。
この引き上げ式のインナードアハンドル、初代から変わっていません。
国内唯一のV12エンジンです。片側バンクだけでも走行可能です。都市伝説かも知れませんが、この車は100km/hでバック走行が可能だとか…
カタログで謳っている「ウィンドゥサッシュはお乗りになる方の額縁」という言葉通り、敢えてクロームではなくマットな仕上げなのでしょう。
さて、このセンチュリーですが、これまでハイヤーでリアシートに乗る機会はありましたが、一台の車として観察する機会はありませんでした。現在の車輌価格は約1200万円との事ですが、以前センチュリーが作られる過程を読んだのですが、ここまでの手作業を考えるとこの金額は控え目なのかも知れません。ただ個人的に感じたのは内装に「和」の部分をもっと演出しても良いのではと思うのです。
例えば天皇陛下がお乗りのセンチュリーは特別仕様でシートに西陣織が使われています。儀礼的な場面で登場する御陵車のセンチュリーロイヤルにはそれに加えて和紙を模したルーフライニングや、御影石をステップ部分に使用されているそうですが、通常に販売されるセンチュリーからは日本文化よりもどことなく事務的な印象を受けるのです。
以前にハイヤーで乗車した際の静かさは驚愕する程で、恐らく法定速度内であればこの車に敵うものは存在しないと思います。会社の役員車としてセンチュリーからレクサスLS600hlに乗り換えても、またセンチュリーに戻るという話をよく耳にしますが、この2台は全く車の性格が違うので、比較は無理だろうと思います。
さて、この素晴しき日本で最高峰にあるサルーンをどのように解釈すれば良いかは、私如きでは正直分かりません。何年か前に、内閣総理大臣専用車はレクサスの600hlになったので、恐らく我々が一番テレビで目にするのは陛下がお乗りのセンチュリーだと思います。実際のところ、その棲み分けが一番分かり易いのですが、服装で言えば紋付袴やモーニングコートが日常的なアイテムの方にはこの車が必要なシチュエーションが多々あると思います。そうした方には恐らくロールスロイスのファントムを持ってしてもこの車の代役を務める事は難しかろうと思うのです。
なので、車であって車でないという稚拙な感想しか思い浮かばないのですが、実際に自分自身がこの車を購入して最低3年は使ってみないと分からない世界でありました。もちろんその際は熟練のショーファー氏が必要になるのでしょうが…
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2012/10/02 22:05:15