昨日のフィアット500とは正反対の、大きなサルーンのお話です。
大きなサルーンが本当に売れない昨今、新しくなったレクサスLSの受注は順調な様子です。この種の車の場合、多くは個人名義ではなく法人名義でのリースなので、丁度入れ替えの時期に重なるケースもあるとは思いますが、Sクラスや7シリーズの販売不振に比較すればまずまずの好調というべきでしょうか。
そんな新しくなったLS460のロングは発売時に乗った様子を書きましたが、その新ラインナップで気になったグレードが600hのF SPORTでありました。従来もバージョンSZというスポーティーなグレードが460には存在しましたが、600hのスポーティーバージョンは今回初登場でありまして、今回東京23区内に1台しかない600h F SPORTをディーラーさんが用意して下さいました。

顔付きはブラックアウト部分が多くなって、グリルも格子からメッシュ状のものになっています。

リアに関しては通常のモデルとあまり相違点はないようです。
さて、動力ユニット関係のお話はこれまでに何回もお伝えした通りですので割愛させて頂き、今回はその気になる足回りに関して注目してみました。

ノーマルの18インチに対して、こちらは19インチが標準になります。鍛造ものでとても質感の良いホイールです。
もともと600hの足回りは460に比べるとやや硬い印象がありましたが、大型サルーンならではの路面の凹凸を車重で潰してフラットにするタイプの乗り味でした。そしてこの新しいグレードの引き締まった足回り、個人的にはこれがノーマルタイプでもいいくらいに思いました。LSの足回りは路面の入力の収束が遅い事を書きましたが、その点が単なる派生車種とは思えないほどに改善されています。以前のモデルでもスポーツやノーマルの切り替えがありましたが、それを使ってもあまりメリハリを感じませんでした。ところが今回のノーマルとスポーツSとスポーツプラスにはハッキリと違いがあり、一番ハードなものでも以前のトヨタ車のスポーツ系にありがちな突っ張るだけの感じは改善されています。
ブレーキに関しては以前のバージョンSZを引き継いでブレンボ製のものを装着していますが、今回はブレンボのお仕着せではなくLSに相性の良い内容をトヨタ側の要望で作ったようです。このブレーキ、街乗りでの初期制動に関しては恐らく最強と思われるブレーキでありました。ただ若干効きが過剰な印象もあるので慣れが必要でしょうか。

ガソリンの460に搭載された8速ATに対し、600は無段変速式になっています。が、今回この無段変速にパドルシフトが組み合わされているのですが、これを操作してもガソリン車ほどの挙動の変化を感じる事はありませんでした。

このF SPORTにはウッドパネルではなくアルミのパネルが装着されます。私的にはこれはやり過ぎで、やはりウッドパネルが欲しいところであります。
嘗て旧日本海軍で、戦いの主軸が航空機中心に変化した時代でも、あくまで大艦巨砲主義を唱える軍人も多かったと聞きます。その終焉と共に登場したのが戦艦大和・武蔵だったのでしょうが、このLSを見ていると大艦巨砲主義の終焉と被るものを感じます。このLSは恐らくこのまま5年生産されて次期モデルへとバトンタッチされますが、今回の内容はこのままあと5年持ちこたえるには充分な内容だと思われます。恐らく時期LSのハイブリッドにはV8ではなくV6+モーターという組み合わせになるので、大きく贅沢なLSをお好みの方には今回のモデルは最後の「買い」のチャンスと言えそうです。
国内販売が始まった頃のレクサスと違い、今はハード面も確実にドイツ勢にじわじわ近付いた感があります。レクサスがイタリア車やイギリス車などの嗜好性の強い車と同じ土俵に上がる事は考え難いですが、同じ土俵のライバル達にとってはこのディーラーのホスピタリティと性能を両立された時はかなり脅威になると思われます。
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2012/11/18 16:07:57