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イイね!
2016年11月19日

浅草「金寿司」再び

最近、浅草によく行きます。

浅草という街は夜が早い所で、日没が16時台のこの時期は昼間の観光客の姿が消えます。そしてこの人もまばらな夜の仲見世から浅草寺や、裏路地の隅から隅まで歩くのが大好きです。

さて、10/7のブログで、浅草の金寿司さんの事を書きましたが、これに関しては良い意味で私の周りの反響の大きさに自分でも驚いています。やはりただ単に高級で美味しいだけのお店は現代の車と同じで、「美味しかった。おわり。」というありきたりのつまらない内容になってしまいます。色々な意味で賛否両論あるお店ですが、やはり単に「お店が汚い。おわり。」では済まない何かがあるお店ということがご覧下さった皆々様にご理解頂けたのかなと嬉しく思います。

で、私はお酒を一滴も口にしないのですが、事もあろうかお酒大好きな4歳年上の先輩に「そのお店連れてってよ」と熱烈な?リクエストを受け、何と再び金寿司さんに突撃して参りました。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ではありませんが、入りにくい扉も一度開けてしまえばどうということはありません。私は終始お茶で先輩はビールで今日の宴の始まりです。

「今日の美味しいもので適当に」との注文に、件の女将さんは「今日は貝づくしね」と出たお通しは

大きな白ばい貝でありました。勿論国産で、ここまで大きくなるのに5年かかるそうです。この煮かた加減といい硬すぎず柔らかすぎない食感は絶妙でありました。

続いてはうなぎではなくあなごの肝が出て来ました。

うなぎの肝は見た事ありますが、あなごの肝は初めて見ました。少し濃いめの味付けですが、素材の持っている濃厚さにピッタリでありました。

続いて赤貝のヒモです。

これは刺身がわりにわさび醤油で頂きましたが、仄かな苦みと食感がイイ感じです。

女将さんが「今季初めて買って来たの」と北海道厚岸の焼き牡蠣の登場です。

女将さん曰く「広島産も良いんだけど、ここまで大きな牡蠣は厚岸でないと取れないのよ。今度はこれをフライにしても美味しいんだよ」との事です。口にした感想は、もう何も言う事はありません…

これはお寿司のネタ用に茹でたんだけどと登場したのが

茹でたての海老です。寿司用の海老でここまで歯ごたえが残っているものは珍しいです。


この後にぎりが続きますが、どれも素晴らしい鮮度と昔ながらの赤酢のシャリはやはりランチとは別物であります。特筆すべきは上の平貝で、レアに炙った所に海苔が巻かれています。この平貝のお味はもちろんなのですが、巻いてあるだけの海苔の香りが口の中でファッと広がるのです。こんな海苔を使っているお店はそうそうありません。

その後で同じ平貝を炙らない生の状態で握ったものが出てきて、女将さんは何故か「生は美味しくないから比べてみて」と笑っています。食してみると決して美味しくないとは思いませんが、炙ったほうが香りも食感が増してジューシーなのでした。

この平貝、こんなに大きな殻なのですね。

そういえば今日はこんなものもあるよと出てきたのは

四万十川の川のりです。実に爽やかな香りが鼻孔をくすぐり、そのままでもイケますしほんの少し醤油をつけてもグッドです。


椀物は九十九里産の蛤で、さっきの川のりを散らすといいよと言われ早速試します。川のりと柚子の香りは疲れた胃袋が喜ぶような優しいお味です。

この後も少し握りを頂きましたが、この「塩を振る」「炙る」「隠し包丁」などは本物の江戸前の仕事でありました。「ウチは古くからやってるなんて言えませんよ。だってせいぜい昭和入ってからでしょ?ほかは明治からやってるお店がザラだもん」と吉行淳之介や池波正太郎といった文豪と向き合って来た女将さんは謙虚に語りますが、これって普通に考えたら凄い事だと思うのです。

19時に入って22時半までの滞在中に数名のお客さんが入って来ましたが、どの人も50代から60代と思しきスーツ姿のジェントルマンが一人で静かに飲んでいるという客筋の良さにも驚きました。もしかすると皆さん時代小説ファンの方なのかも知れません。普通に会話の中に「池波先生は…」なんて言葉が出てくるだけで嬉しくなります。

最後のお会計で、これだけのものを注文したにも関わらず大いに安いのにも驚きました。ミシュラン三ツ星の寿司店の1/6と言えばどれだけ安いかお分かり頂けるでしょうか。

そんな訳でネタに驚き、江戸前の仕事に驚き、値段に驚くという驚きの連続でしたが(その前に店の汚さにも驚いてますが)、そのネガな部分を受け入れられるなら素晴らしいお店でありました。

「毎日の事だから、市場が豊洲に行ったら店を閉めようかと思うのよ」と女将さん。丁度ニュースで移転が来年末に伸びるというニュースが流れていたので、その頃までは大丈夫だと思われます。

寿司と言えば、少し前に銀座の「S」や赤坂見附の「H」に行く機会がありました。確かにどちらも素晴らしい寿司を出していて、ミシュラン高得点は伊達じゃないだけの事はありました。が、そもそもにぎりずしの文化は江戸の屋台が発祥であり、大店を構えて客単価30,000円の値段というのは何か違うような気がします。どちらの名店も滞在時間はあっという間で、恐らく時間単価で言えば世界一高い食事処だろうと思います。加えて写真を撮れるような雰囲気にあらず、味はともかく食事が楽しくないのでありました。例えるなら、こういうお店に常連として通う事は、年間1000kmも走らないフェラーリを毎年買い替えるのと同じで虚しさだけを感じます。従って「美味しい。おわり。」以外に面白い事が書けませんので、これもまた高い授業料と割り切る事に決めたのでした。

江戸の心意気までは、フランス人にゃ分かるめぇ。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2016/11/19 11:29:34

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この記事へのコメント

2016年11月19日 11:51
こんにちは~

まだ行けていない、こちらの名店。。。

年内に必ずいってきま~す!
コメントへの返答
2016年11月19日 13:47
こんにちは。

これはですね…
100点満点中で店の汚さだけでマイナス90点なのですが、出てくる魚と女将さんの気風の良さがプラス120点なのではと思いました。

誰にでも積極的にはオススメしませんが、是非お試し下さい。
2016年11月19日 17:47
昼はやってます?

次回は是非お連れください♪
コメントへの返答
2016年11月19日 18:03
基本昼もやってますので、ご一緒しましょう(笑)

お店はともかく観光客に毒されていない浅草という感じですね。
2016年11月19日 20:37
こんばんは。

銀座等の超有名店は確かに凄いのでしょうけれど、一人3万円超というのは会社関係の接待とかでしか使えませんよね(^^;

色々な客層を狙うお店が多々有るかと思いますけれど、食事が楽しく無い!というのは値段云々以前の話じゃ無いかと・・・・

浅草でも色々なお店が有るかと思うのですけれども、このお寿司屋さんの様な良心的なお店が浅草には多そうに思いますね(^^;

コメントへの返答
2016年11月19日 21:37
こんばんは。

超有名店…やはりそれなりの裏付けもあり、美味でもあるとは思います。が、それだけ高く取っ手りゃ美味いの当然じゃんと思うのです。

色々な価値観があるので一概には言えませんが、最近そういうのは違うような気がして斜めに見てしまうんですよね…

浅草の全盛期はやはり昭和50年代でして、今のスカイツリーや外国人観光客とは全く違う文化がありました。その頃の記憶を感じるお店を楽しめるのも、今後そう長くないように思います。
2016年11月19日 22:20
手仕事の良さと心意気...なんというか英国車vsドイツ車&スーパーカー、みたいな話のように読んでしまいました.

川海苔入れた蛤の椀もの...身体に染み渡りそうですね(笑).
コメントへの返答
2016年11月19日 22:48
流石!鋭いですね。これを書いてるうちに、全く同じ事を考えておりました(笑)

川のり、四万十川でも年々採れなくなっているようで、ここのお店は余程しっかりした仕入れルートを持っていると思われます。
2016年11月19日 23:48
ミシュランには粋の点数が・・・・・無いでしょうね

コメントへの返答
2016年11月20日 7:28
日本人の覆面調査員もいるらしいですけど、その中にも「粋」を理解出来る人は居ないでしょうね。

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「今日が9連休の最終日でございます。

休みというものは2日でも9日でも短く感じるもので、このまま年末まであっと言う間に過ぎるのでしょう。この連休中は殆ど外出はしませんでしたが、休みなのに仕事の日と変わらない疲れを感じるのは不思議なものです。」
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