嗜好という要素を抜きにすれば、2018年現在新車で販売されている車の中はどれも良い車です。
この「良い」というのは主にハードの部分にありますが、車の価格が上がれば上がる程にソフトの部分が大切になるような気がします。従って品質や走りの部分で不満になるような車はもはや存在せず、どの車を見ても「これで良いんじゃないの?」と思える以上、以前ほど車に触れた事を書く意欲が萎えておりました。
そんな中で先週はこの車を自身の手で200㌔ほど走らせる機会がありました。

ホンダのフラッグシップサルーン、レジェンドハイブリッドであります。レジェンドといえば私的には2代目のハリソン・フォードがCMキャラクターの「スーパーレジェンド」と呼ばれるモデルが一番の完成形で、今でもレジェンドと言えば2代目の印象が強い車です。

サイズは全長4995mm、全幅1890mm、全高1480mm、ホイールベース2850mmとEセグメントとFセグメントの中間サイズと言う感じでしょうか。

パワーユニットはV63、5のSOHC24バルブ+モーターを7速ATで制御して、FFシャーシベースの4WDで走らせるという成り立ちの車でした。

まずは車の外周をぐるっと回って観察すると、あまり特徴のあるスタイルだとは思えませんが多くの人に好かれそうなデザインです。但しこのHエンブレムをバイエルンのプロペラマークや「L」マークに付け替えたとしても多くの人は気が付かないのではと思える程に無難に纏まったスタイルです。

今のクラウンと同様のタッチパネル画面が独立したタイプの操作部でした。やや煩雑な印象もありますが、慣れの問題なのでしょうか。

このあたりの内装デザインは、外観以上にBMWのそれにしか見えませんでした。
実際に走ってみると、やはりホンダらしく高回転域を得意としたエンジン特性を持っており、発進時に分厚い低速トルクでノーズを持ち上げるような分かりやすい高級車の動きはありませんでした。この車の意図は100%ドライバーズカーなので、自分で運転するユーザーの好み=高回転まで回るエンジンという発想は決して間違っていないとは思いますが、このクラスの車にとっての「良い物感」はスタート時の10メートルの動きで決まるものだと思います。その10メートル間での静粛性とトルク感は非常に重要で、そうした意味ではやや残念に思います。
いざ走り出すと巨大なボディでタイトなコーナリングも器用にこなします。それも新しいレクサスLSの後輪操舵のような人工的な味を感じさせないところは流石技術屋さんの面目躍如という感じです。
感心したのは足回りの動きで、車の重さで路面の凹凸をフラットにさせるタイプのものではなく、その凹凸を受けていなす「仕事をするサスペンション」なのでした。この辺りはまさにBMW7シリーズのそれで、このお値段の車の足回りとしてはかなり好印象でありました。

19インチの大口径タイヤ&ホイールも履きこなしています。
全体的にはやや荒削りな印象もありますし、このクラスとしてはタンクの容量が65リッターと小さ目なのも気になります。が、目指すところは100%ドライバーズカーであり、レクサスLSのようにスポーツサルーンとフォーマルサルーンのように相反する部分の両立を狙っていないだけ明確なキャラクターであるとは思いました。
が、これだけの内容を持ちながらも「どこかの何かに似ている」という部分だけは実に残念で、昔のレジェンドはちゃんとホンダのサルーンとしての個性を持っていた事を考えると惜しい感じがします。
最近マイナーチェンジされたようですが、ホンダの販売店には展示車も試乗車も用意されていないケースが多いと聞きました。これは見るより乗ったほうが良い車なので、これまた残念に思うのでありました。

手動式のリアサンシェードがワンアクションで三角窓部分も動くのは感心しました。

このクラスならサンルーフの臓物をもう少し隠して欲しいです。
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2018/03/11 12:07:47