4月になって、街で新入社員のスーツを見ると圧倒的に黒が多いように思います。
私が社会人になった頃は礼服以外の黒いスーツはあまり一般的ではなく、濃紺の無地が多かったように思いますが、最近はかなり黒いスーツが一般的になったのだろうと思います。
私自身はオンでもオフでも、あまり黒い服は着ません。スーツもほとんど紺とグレーが中心で、今ならコットンのベージュのスーツが入る程度で、冬のコートも冠婚葬祭用のチェスターフィールドが一着あるだけです。
そんな訳で車に関しても個人で選ぶものは今まで黒は買った事がありません。それは自分自身の手で黒いボディを最高の状態で維持する自信が無いという事が最大の理由で、恐らく一般的な個人ユーザーにそれを求める事は事実上不可能と考えるからです。逆にあまりにも汚れが目立たないシルバーも避けているのですが、それは手をかけてもあまりメリハリを感じない事もあります。
そんな中で今回社用車として購入したクラウンですが、この色コード202ブラックと呼ばれる今様のパールが入っていないソリッドのエナメルブラックです。恐らくアルファードの黒も同じ塗装で、センチュリーの「神威」と呼ばれるブラックも塗装方法やトップコートが異なりますが同様のもので、ブラックとして見たらこれほど美しいブラックも他に無いのでしょう。
が、いつもメンテナンスを担当して下さるドライバーのM氏曰く「202ブラックは運転手泣かせの色で、優しく拭き上げないとウェスを動かしただけで簡単に傷が入ります」というお話でした。
よく「黒は塗装が柔らかい」と言われますが、どんなカラーでもトップコートには同じクリア塗料が使われている訳で、黒だけが柔らかいとは思えません。恐らくは他のカラーでも同様の傷が入るのでしょうが、それが目立たないだけなのかも知れません。最近は熱を加える事で軽い拭き傷くらいは短期間に復元する事を謳った「セルフリストアリングコート」という塗料が使われているようですが、少なくとも現状でその効果を確認する事は出来ませんでした。
更に「エナメルブラックはガラスコーティングをしたほうが塗装が硬くなります」という事で、今回はディーラー施工の高価なコーティングを施工しておりますが、この高価なコーティングを持ってしても「塗装を硬くする」効果はありません。そもそもコーティングで塗装面の硬度を飛躍的に変化させる事は無理で、どんなに高価なコーティングであっても普通に傷は入ってしまうものです。
で、このコーティングが施された表面を見ると、普通はガラス系コーティングには油分を感じないものですが、ほんの少しワックス的な油分による艶が見られ、直射日光が当たると若干のギラつきが確認出来ます。恐らくこれは雨天時の撥水性をメインに考えられたコーティングであり、数年後の撥水保証を謳っている事からも屋外保管のユーザー向けであるように考えられます。
また新車ディーラーさんは共通で「新車時の塗装面が最高」と思っているお店が大半なのですが、レクサスのように出荷時から慎重な扱いをされている所は別にして、在庫車であれば屋外保管というケースも充分に考えられます。そうなると保護シートで覆われていないガラス部分などに細かいウォータースポットと言われる雨染みが見られ、「新車状態が最高」と考えるディーラーではこれを除去するだけの作業を行わずに、一番細かい最終仕上げ用のコンパウンドでバフをひとまわり掛けた状態でコーティングを塗布しているので、美観という面で価格ほどの期待は出来ないというのが正直な感想でありました。
まあここまでの作業クオリティをディーラーに求めるのは酷かも知れませんし、これほど重箱の隅を突くようなユーザーはあまりいないのかも知れません。が、10万円オーバーという価格を考えると、これはどう考えてもその道の専門業者の仕上がりに比較してレベルが落ちる仕事であり、立派な箱に入ったメンテナンスキットなどの付加価値で価格を上げていると思わざるを得ないのであります。
そこまで言うなら「乗らずに室内に飾っておけ」という声もあるでしょう。確かに車は石が飛んで来たりと傷が入らないで乗る事は不可能なものです。ただ、撥水効果や防汚性よりも美観に重点を置くユーザーさんにはディーラーのコーティングはあまりお勧め出来ないものだと思いました。
因みに2年前にコーンズでベントレーの新車時のコーティングが今回とほぼ同じお値段でありましたが、こちらは流石に高い仕上がりレベルであった事も付け加えておきます。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2018/04/15 11:15:16