
今から25年くらい前、日本でセダン派生の「4ドアハードトップ」が大流行していた時期がありました。
その代表と言えるのはカリーナEDあたりかなと思いますが、居住性よりもスタイルを重視した低い4ドアモデルは飛ぶように売れまくり、評論家からは「セダンの本流にあらず」と酷評されていた記憶があります。
初代となる先代のCLSが登場した時、真っ先に思い浮かべたのはカリーナEDで、イメージカラーのワインレッドや流麗なデザインのカッコよさに惹かれ、もう少しでディーラーにオーダーを入れる寸前まで行った経緯のある車です。(家族に4人乗りを大反対されてですが…)
その頃CLSには次のモデルがあるのか疑問でしたが、売れに売れたCLSにはちゃんと新型が用意されておりました。今日はその新型を、いつもの日本橋三越さんの内覧会で観察して参りました。
全体的にCLSのアイコンとも言えるサイドのシルエットに変化はありませんが、どちらかと言えば無駄の無いエレガントな先代に比べると今様のマッチョな雰囲気に変わった印象です。大きさに関しても数センチの拡大に留めたようで、まさに正常進化という感じのモデルチェンジかと思います。
私的に今回の新型で一番進化を感じたのは内装の質感で、特に標準モデルのレザーシートのデザインはクラシックなロールスロイスのように縦縫いのパターンが魅力的に感じました。ただ標準モデルとAMGでシフトレバーの形状が異なり、標準はコラムレバータイプなのに対してAMGは通常のフロアシフトとなっています。私的には通常のフロアシフトのほうが好きですが、このコラムレバーはDレンジでエンジンを切るとNになって、そのまま運転席のドアを開けるとPレンジに入るというシステムが付いているそうです。その進化には感心しますが、果たしてそこまでの過剰なシステムが必要なのか疑問に思います。
今日は実際にドライブはしておりませんが、恐らく走りに関しては全て電子制御で完璧なものに仕上がっていると思います。その完璧具合は人間の嗜好が入り込む余地が無いほどのもので、素人に近いドライバーが乗っても相当な速さで車重をものともせずに痛快な走りが楽しめることでしょう。そしてその結果「オレは運転が上手い」や「オレ様は偉い!」と勘違いした痛いドライバーが公道をスラローム走行する様が目に浮かぶようであります!?
こういう事を書くと「時代錯誤」と言われる事を承知で申し上げるなら、私自身にとって尊敬に値するメルセデスはW126のSクラスまでだと思っております。この辺りのメルセデスはSに限らず、きちんと部品の交換さえ行えば末永く付き合える車だったのですが、このCLSを見ていると「3年後の車検時には乗り換えたほうがいいかも…」と思えてなりません。
その昔、カリーナEDを酷評した評論家さん達はCLSを見て何を思うのか聞いて見たいところです。
Posted at 2011/05/22 16:10:12 | |
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