2016年11月26日
義姉へ
今日はあなたが彼岸に旅立った日ですね。
兄が旅立ってから気丈に元気に頑張っていたあなたが、まさか亡くなってしまう程に体を悪くしてしまった事が未だに信じられず悔やまれます。あなたが天国に行ってしまった夜、恐ろしいほどに現実感が無く、夢の中のように茫然とした感覚は昨日の事のように覚えています。その晩、都会では珍しく冬の星座が輝いていた中で「あの星のひとつが姉貴なのかな」と思うのが精一杯でありました。
思えば初めてあなたに逢ったのは私が小学生くらいでしたでしょうか。当時思春期に入った私は「え!弟!?可愛い~女の子みたい!」という初対面のあなたの言葉に「うぜぇ…」と思うと同時に、「うちの兄みたいな変わりモンと付き合うとは奇特な人ダネ」という誠に申し訳ない感想を持ちました。
結果的に「美人薄命」そのものを辿ってしまった訳ですが、「うぜぇ」と思うと同時にあなたは本当に可愛らしくて、もしかするとこんな可愛い人が姉になるかもという期待感を持った事も事実でした。その後本当に姉になるまでの間も「うぜぇ」を通り越す程に私を可愛がってくれました。ある時私の忘れ物をなぜかあなたが学校に届けてくれた時、「あの人誰?」と騒然となった事は今初めて明かす事実です。これまた何故か兄が居ない日に映画に連れて行ってくれた時、あなたは私の洋服を悶絶する程に可愛い~と褒めてくれました。あれは母が気合を入れて「とにかく可愛くしないとね」と気合を入れて厳選した服で、一部女の子の洋服だった事も舞台裏の話です。あの時「何でも好きなもの食べていいよ」と言われた言葉に甘えて、一番お高いものを注文してしまってごめんなさい。
姪が生まれてからは恩返しの意味でも姪の面倒をよく見たもので、その為かものすごく懐かれてまたまた「うぜぇ」と思ってしまったものです。そんな時もあなたは「本当にごめんね。でもね、きっとこの子が大きくなった時に必ずいいことがあると思うから、少し我慢してねお願い!」と言いました。今になってその言葉が的中してしまった事は、こんな将来を予見していたのかと思うと泣けてきます。
きっと一番の心残りだったと思う姪ですが、今はあなたの面影をコピーしたかのように可愛らしく育ち、我が家で共に暮らしております。「いつか必ずいいことがあるよ」と言われたように、我が家のひまわりのような存在になってくれました。仕事も自分のやりたかった事をして、可愛いものに囲まれています。今は気になる男性は居ないと嘆いているようですが、この子は私の家から立派に嫁に出しますので心配しないで下さいね。
加えてもう少しで車の免許を取ります。この間「お母さんが生きていたら乗せてあげたかったな」と言っておりました。きっと運動神経は悪くないので無茶な事はしないと思いますが、どうぞこのひよっこドライバーを守ってやって下さいね。その為に安全な車を与えますから。
あなたのお母様は数年前に他界されたので、もうそちらで逢われていると思います。お父様はご実家でお元気に過ごされていて、年に一度くらいですが私もお邪魔させて頂いてます。私のようにあまり関係の無い者に対しても歓待して下さる姿は、やはり人恋しいのかも知れません。
私の母が歳を重ねてから、多少は嫁と姑で苦労されたのではと思います。私の母は良くも悪くも「奥様」である為に現実社会とは隔絶された世界で生きて来た人なので、そのギャップは多くの人に誤解を与える事も多かったように思います。それが心残りだったので最後に謝ります。
ま、遠い未来できっとまたお逢いすると思います。その時はまた色々とお話ししましょうね。
と極めて私的な内容になってしまいましたが、思えば大人になってからはあまり義姉と顔を合わす機会が少なかった為に、私も色々話す事が出来ませんでした。それが心残りで、思い立った命日に何かカタチに残しておきたいので義姉への手紙を思いつきました。
「Once Again」は私の大好きな曲で、今は逢えなくなってしまった人の顔を思い出すとこの曲を聴きたくなるのです。
Posted at 2016/11/26 09:35:23 | |
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