男性にとって自分の彼女のお父上に「お嬢さんを下さい!」と口にする場面は、恐らくは人生で5本の指に入る緊張の瞬間ではないかと思います。
実は私の場合、妻と交際をスタートさせて2か月後くらいに「そろそろご挨拶を…」というタイミングで義父の胃癌が見つかって、その後一か月後に急逝してしまった為、何と最初のご挨拶は亡くなられたお顔との対面になってしまいました。
結果的に「お嬢さんを下さい!」という緊張の瞬間を経験しないで今に至る訳ですが、これは言う側も言われる側もその瞬間は複雑なものではないかと想像します。
さて、我が家のクラウンエステートはその義父が購入した車ですが、新車購入から僅か一年ほどで亡くなってしまった為にほとんど乗らずに残されてしまった可哀想な車でありました。

その当時は「車をどうするか?」という問題も出てきましたが、売却しないという答えは簡単に出ました。それは残った義母が家業を続けて行く上での矜持みたいなものもあったと思います。
で、義父の生前中から旧知の方々が去年あたりから「あのクラウン譲ってくれないかな…」という声が何件かあったようで、義母はもちろん手放すつもりは無かったようですが、便宜上「娘の旦那がものすごく手を掛けて乗ってるみたいだからねぇ…」と丁重にお断りしてくれたようです。私自身も手放すつもりは毛頭ありませんが、17年目の車に対して「お嬢さんを下さい!」的な言葉を頂いた事に対しては決して悪い気はしません。
で、車検から帰ったクラウンエステートですが、今回も油脂関係の交換のみでどこも悪い所は見つかりませんでした。ただ走行の少ない車の宿命で、ややバッテリーの電圧が低いので充電した事と、ワイパーブレードをおまけで交換した事くらいで諸経費込みで13万円弱で完了しました。
恐らくこの車もジャガーも、どうにもならない程の状態を迎えるその日まで持ち続けて1オーナーで天寿を全うする事になるだろうと思いますが、新車から17年の時間は本当に光陰矢の如しであります。
ところで私は子供が居りませんので「お嬢さんを下さい!」のシチュエーションには無縁と思っておりましたが、妹のような娘のような姪が転がり込んだ事で状況が変わりつつあるようです。
家族全員「こんな面倒臭い人に姪御さんを下さいって言いに来る男の子は可哀想だわ」と言われております。面倒臭い人は否定しませんが、その時どんな心境になるものか想像も付きません…
今日の帰り道、ジャズ大好きのドライバーのM氏の選曲で聴いた「Cocktail for two」。天才アートテイタムの演奏ですが、確か初代シーマのCMで聴いたような記憶があります。車窓から眺める少し暮れた都会の風景を一枚の絵に見せてくれるような素敵な曲でした。
Posted at 2017/01/31 20:11:27 | |
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