
先日モデルチェンジされた新型エルグランドが目標を上回る販売台数で好調のようです。
こうした高額の車は最初の立ち上がり時は好調なものですが、こうした利益率の高い車種が売れる事はメーカーとしても喜ばしい事だと思います。
先日日産の営業さんが月末の請求書を届けてくれた際にエルグランドの試乗車で来社されました。私自身はこの手の車が必要な生活環境ではないので今ひとつ関心がなかったのですが、折角の機会という事で後学の為に30分ほど走ってみました。
まずはこの車、各部のディテールは完全にキープコンセプトという感じを強く受けます。但し先代までのモデルにあった威圧感みたいなものが薄らいだのは車高が一気に低くなった事が関係しているようです。実際にドライバーズシートに座ると従来のミニバンのポジションよりは通常のセダンをイメージする姿勢が演出されています。最近のセダンはサイドウィンドゥの天地が低くなった為に深いバスタブに浸かったような感覚のものが増えましたが、何とこのエルグランドはそこまで通常のセダンと同様の感覚が演出されていました。これは車体剛性を稼ぐ為のものか演出の為の意図かは謎ですが、私的にはこの手の車は走行性よりも車高の高い広々感のほうが大切なようにも感じるのですが…。
この試乗車は2500でしたが、感覚的に「遅い!」とまでは申しませんが流石にこの車重にはパワー的にも燃費的にも若干辛いものを感じました。やはりバランス的には3500がベストなのでしょう。ブレーキに関してもミニバン特有の「カックン!」と停まるものではありませんが、やはり私はこの車で高速をぶっ飛ばす勇気はありません。
実際に街を走った感覚は、大きささえ慣れてしまえばクラウン以上にイージードライブの極みであります。とにかく動作のすべてが楽なのですが、この「楽」さというのはどこか自宅で寛ぐ時のジャージ姿を連想するのであります。
唯一気になったのがシートで、これまでルノー以降の日産のシートは国産で一番の出来だったと思うのですが、このエルグランドのシートは応接間のソファのようにフカフカに柔らかいことです。このエルグランドは勿論国内専用車ですが、同じようにアジア向けのティアナも柔らかさが強調されたシートです。
こうしたソフトなシートはチョイ乗りには楽ですが長距離をこなすと腰が痛くなる事があるのでいかがなものかと思うのですが…
同じ日産にセレナというミニバンがありますが、こちらは車の出来やパッケージング、コストパフォーマンスに優れた一台です。それより大きなエルグランドやアルファードは新聞のチラシで毎朝目にする東京の城東地区で販売されている3LDKの新築分譲マンションと感覚が似ているような気がします。私はこの車を運転しても面白くも可笑しくもありませんでしたが、その反面ではこういう車を欲する心情が少し理解出来たような気持ちもします。
ただ同時にこの安楽さは車の挙動の限界点を見つけにくい為に、高速で未熟なドライバーが勘違いして暴走しているミニバンが増えた理由も理解出来たように思いました。
Posted at 2010/08/29 17:29:12 | |
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