よく「激戦区」という言葉を耳にします。
一番身近なところでは選挙の際に、同じ選挙区に有力な候補者が複数立候補している様子が浮かびますが、自動車マーケットでのDセグメントもまた激戦区という印象があります。
その激戦区のDセグメントの中に投入された新しいレクサスのISですが、先代モデルと比較して何がどう変化したのかは今後のレクサスのスタンスを知る意味でも大いに興味深いモデルでありました。
先日のお約束通り、実際にこのISに乗ってみました。

まずはハイブリッドモデルのIS300hです。

サイドシルの下部とは随分控え目な場所にハイブリッドのエンブレムがあったりします。

ハイブリッドでこのトランク容量はなかなか立派です。

先代に比較して、少し長くなったでしょうか。
さて、先ほどハイブリッドのエンブレムが「控え目」になったと書きましたが、このノーマルモデルのIS300hはこのモデルの中にあっても比較的大人しい控え目なグレードでした。ハイブリッドである事も決して前面に出さず、足回りも比較的穏やかな印象で、これが果たしてスポーツモデルかと言われれば疑問に思いますが、普通のユーザーが普通に乗る事を想定するなら充分にスポーティーに走ります。

このユニットは先のクラウンと共通だそうですが、4気筒のネガな部分を感じるシチュエーションは少ないものと思われます。ただ、あまりにも静かなので無味無臭のミネラルウォーター的な味を連想しない事もないですが…
このクセの無さをどう考えるかは人それぞれではありますが、完成度を増した先代後期のISってこんなに大人しかったかしら?と思いました。この安楽さはまるで小さなクラウンアスリートという印象すら持ちましたが、そこはそこでクラウンよりも剛性の高さがもたらすハンドリングはこちらが上です。
という感想を持ってディーラーに戻ると…

今度はガソリンモデルのIS250Fスポーツを用意して下さいました。
結論から申し上げて、こちらのほうが「車ってこういうモンだよな」と思わせてくれる秀逸な出来でした。マネジメントの切り替えで一番スポーティーな「スポーツプラス」を選択しても、先代モデルよりは多少足回りの硬さが消えた感もありますが、これは「柔らかい」のではなく「しなやか」と表現すべきなのでしょう。いつも申し上げておりますが、硬ければスポーティというのは大きな間違いで、ソフトでもいかに迅速に次の動作に移れるかが重要です。そうした意味では先代初期のISはただ硬さだけを感じたものですが、このモデルを仕込む上で相当走りこんだ成果を感じました。そしてこのFスポーツの迅速さは普通の街の中でも充分実感出来るもので、ノーマルのISよりも車がひとまわり小さく感じる程の違いがあります。
ハイブリッドとガソリン6気筒を比較するのは酷かも知れませんが、私的にはこの車のキャラクターを考えるとガソリンモデルのほうがしっくり来ます。

マフラーが出てるのもガソリンモデルだけなのですね。
今のDセグメントの車は激戦区だけあって、どのメーカーを選んでも後悔するようなことは極めて少ないと思います。そんな中で好むと好まざるとに関わらず、依然としてベンチマークはBMWの3シリーズであり、単純にスポーツサルーンとしての資質は新しいISを持ってしても3シリーズを凌駕する事は至難の業と言えそうです。が、完全なスポーツモデルではない以上、東京の道路事情を走る事や日常での使い勝手という要素を加味すれば、体育会系の3シリーズよりもISのほうがスマートに感じます。もし自分自身がこのサイズのセダンを買うとすれば、多分このISも有力候補になるかも知れません。
このISのライバルは、むしろドイツ御三家というよりもキャデラックのATSではなかろうかと思います。適度なユルさとスポーティの融合という意味で、この2台は何となく相似形を描くような気がします。そう考えると、やはり私なら数の少ないキャデラックでしょうか…
Posted at 2013/05/27 22:31:52 | |
トラックバック(0) | クルマ