先日の続きになります。
さて、自分が乗る車(あくまでプライベート用)の条件は人それぞれですが、私の場合よほどの事が無い限り…
・まずはセダンである事…これは車の基本と考えます。
・後輪駆動…雪が降ったら乗りませんから。
・サイズは幅が1900mm、長さが5100mmを超えない事…都心の機械式駐車場に入れるサイズ。
・車両重量が2㌧を超えない事…パワーがある重量級の車は速いけどつまらないので。
・シリンダー一個あたり500ccを超えない事…理想は6気筒3000cc。余計な税金は個人では払いたく ないでござる。
・出来ればエアサス車が理想…普通は壊れると敬遠されがちですが、それは承知の上です。
ざっと思い浮かぶのはこんな所でありますが、上記の内容を全て満たしている車はなかなか難しく、今のXJ6が全ての要件に合致しているのはかなりレアなケースと言えます。で、今現在必要とはせずとも「現状でこの条件を満たす車はどれかな」と気になる事はしばしばあります。
そんな中で久々にその全てを満たしている車が新しいBMWの740iでありました。

全長5110mm(1cmオーバーしてますがOK)、幅1900mm、高さ1480mmと標準的なFセグメントの寸法です。スタイリングはBMWのサルーンである事が一目で分かるスタイルで、正直それほどの新鮮味はありません。知らない人なら先代と新型を見て判別が付かなくても不思議はありません。

リアも無難に纏まった感じですが、若干腰高な印象があります。
このボディには「カーボンコア」と呼ばれるアルミとスチールのハイブリッドに加えてカーボンファイバーが使用されています。写真で見るとピラー部分とサイドシルの辺りがカーボン製のようですが、それが効いたかこの740iMスポーツで1900kgと2トンを切っています。例えば我が家のXJはフルアルミボディで1600kg台とかなり軽量なのですが、この初期のアルミボディは強度はともかく撓りが少ない為に路面の入力がカキンカキンとストレートに伝わって来る場合があります。そうした意味でサルーンとしての乗り心地だけを見るならスチールハイブリッドもアリかなと思うのです。

今やBMWも伝統のストレート6搭載車種が少なくなりましたが、この740iには直6の3000ccターボで326psが載っていて8速ATと合わせてありました。注目したのは燃料タンクの容量が78Lとこのクラスにしては小さめで、恐らくは燃費の向上による小型化かなと思われます。

エンジンに火を入れると、マセラティ程の自我もなくレクサスほど寡黙でもありませんが、軽く控えめなひと吠えが快音でした。ここはやはりドライバーズカーの血が流れている車であります。

ダークブラウンのシートにはボディカラーのホワイトのパイピングが入っていますが、この感覚はどこかで見た何かに似ています。それはロールスロイスのゴーストですが、やはりロールスロイスを作った経験がこういう部分に生きているような気がします。
走り出してみると、パンチこそ少ないものの旧き良き時代の味を感じます。8段ATも昨今の燃費コンシャスなスルスル走るものと違い、ちゃんとカチッカチッとシフトアップが体感出来る気持ちの良さを持っています。
フットワークも先々代7シリーズとは異なり大変軽快です。決して重さで路面の凹凸を踏みつぶすタイプではなく、路面の入力をトコントコンと軽くいなすタイプのもので、サスがちゃんと仕事をしているのが分かります。BMWもこの代から4輪エアサスで、どことなく我が家のXJを思い出すような味付けにホッとします。タイヤサイズもオプションの前245/40と後275/35の共に20インチですが、オーバーサイズ感は全く感じませんでした。因みにこのMスポーツはノーマルの7シリーズと足回りも同じで、特にMスポーツ専用の足を持っている訳ではないようです。最近では珍しくなった4輪操舵も良い仕事をしています。
この上位モデルの750iにはV8の4.4ツインターボで450psのエンジンが載っています。740iとの重量差は100kgあり、当然ですがこちらのほうが従来的価値観の大型サルーンの味が強く感じます。で、これは個人の好みによる部分が大ですが、BMWに乗りたいのなら740iのショートをオススメします。とにかく外観以上に気合の入ったモデルでして、その原点回帰を一番感じたのがこの740iMスポーツでありました。もし今の現状で自分のプライベートカーを検討するなら、多少没個性な外観に目を瞑ってもこの車を選ぶと思います。

トランクのヒンジは相変わらずパンタグラフ式ではなく普通のものでした。
少し前のBMWは実際に乗ってみてもどこかにレクサスの影みたいなものを感じて「BMWよ何処に行く」という印象を持ちました。しかし今回の7シリーズに乗って、良い意味での旧さみたいなものを持って帰って来たように思います。その一方ではi8のような車も売っているのを見ると、エコなものとマニア向けなものの棲み分けが出来ていて、「環境の為に我慢しなさい」とはならない懐の広さを感じました。
ライバルは圧倒的な強さを誇るSクラスです。それに対して今回はかなり違う切り口で対抗していますが、その気合の入れ様は並々ならないものがありました。ビジュアル的にもこちらに乗っているほうが5歳は若く見えると思うのですが、いかがでしょうか?
Posted at 2016/09/27 16:07:19 | |
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