こちらは前回のLCコンバーチブルからの続きになります。
今や大排気量の自然吸気エンジンは次々と姿を消していますが、前回のレクサスLCには過給エンジンには望めないレスポンスとパワー感を感じる事が出来ます。
そこでレクサスにはもうひとつの大排気量で自然吸気エンジン車が存在する事を思い出しました。それも特大の排気量で、世界中で「この車でなくては」というヘビーユーザーが存在する唯一無二のランドクルーザーが兄弟車となるLX570です。
購入経路はロシアか中国経由と思われますが、あの国の将軍様も日本大嫌いな割にはこの車を愛車としている様子で、そのタフさは折り紙つきと言えます。

全長5080mm、全幅1980mm、全高1910mm、ホイールベース2850mm、車両重量2700kg前後という巨体を持ち、5662ccのV8は377psというヘビー級のSUVであります。他の車と決定的に違うのは、多くのSUVが乗用車と同じモノコックボディであるのに対し、このランドクルーザー/レクサスLXはトラックと同様にフレームを採用しているところでしょうか。
その高い艦橋に座ると、圧倒的な視界の良さが確保されている事が分かります。RXなどでは乗用車感重視の為にAピラー裏側のアシストグリップが省略されていますが、この車には装着されており乗降性の高さを感じます。

今のレクサスデザインでは無いものの、質感の高い落ち着いたインパネだと思います。私的には今のものより好みです。
先日のカリナンほどでは無いにしてもエンジン音は静かなほうだと思います。時折太いV8サウンドが心地よく、特別なモノ感を感じる事が出来ます。とにかく路上に出た時の「守られてる感」は他のどの市販車よりも高く、これこそが世界で長きに渡ってランドクルーザーが愛されている所以なのでしょう。この部分に関しては価格が倍以上のカリナン以上の安心感がある事を保証します。

レンジローバーが砂漠のロールスロイスならば、こちらは砂漠のセンチュリーという感じでしょうか。

285/50R20の割と乗用車的な扁平サイズのタイヤが標準です。ここはオフロード走行重視の場合は60扁平でタイヤの厚い18インチも用意されています。
で、最初に路上に出た際にタイヤからコツコツ感を感じ、空気圧の高過ぎを感じたので指定値に戻して再度出発しましたが、想像していたフワフワ感は少なくてしっかりしたロードホールディングでありました。同じ電子制御サスを持ちますが、エアサスではなくメカサスを持つところも本気モードでの耐久性を重視した上での選択なのでしょう。但しこの車重の影響もあるようでブレーキは多少強めの踏力が必要で、ステアリングレスポンスも敢えてワンテンポゆっくりした作りになっています。
その辺りも全て含めた上で、恐らく今の日本車の中でこれほどゆったりとした気持ちで走る事の出来る車は他に存在しません。その外界と隔絶された安心感は普段RXに乗る家人も絶賛した程で、アウトドアに縁が無い私のような使用環境でもその能力の高さを十二分に発揮出来る車だと思われます。

サードシートの無い5人乗りもオーダー可能なのは良いですね。
さて、このLXもそう遠くないうちにモデルチェンジが予定されているようで、その折にはこのV8・5700ccは消えるような気がします。そうなるとLSのV6ハイブリッドあたりに代わるのかも知れませんが、世界の厳しい道路での信頼性を考えたらこのV8を継続するべきではと思うのです。次のLXも、LSみたいな妙にスポーティに振ることなく、今の路線を守って視界の良さとオーソドックスなスタイル、フレーム構造で出てくる事を期待します。
因みに街中での燃費は恐らくリッター3~4㌔程度だと思われますが、タンクには90リッター以上入るので充分な容量かとは思われます。
決してオフロードではありませんが、街中をこの車でゆったりと走ってみると、同じレクサスのLS500などとは比較にならない程の贅沢感を感じました。それは先日のカリナンもそうですが、レンジローバーのヴォーグにも通じる部分であります。この癒され感を味わうには、やはりこのサイズが必要なのでしょう。
さて、昨今騒がれている知事の公用車問題ですが、それより上に乗っている民間の私が言うのも変だとは思いますけど、皇室でも天皇陛下、総理大臣は儀礼的な場面も多いのでセンチュリーに乗るべきだと思います。その辺のヒエラルキーを考えた場合、やはり地方の知事の車としてセンチュリーは相応しいとは思えないのであります。実際去年クラウンの代車でアルファードに一日乗りましたが、売れている車種は潤沢に開発費を掛けられるようで、市街地の乗り心地だけで言えばここ最近のクラウンを超えているように思います。それで充分ではないでしょうか。
そうなってくると、セダン好きな私でも「今の時代にセダンである理由って何だろう」と考えてしまいます。例えば私のジャガーXJなどは自画自賛ではありますが美しいスタイルだと思っております。で、そのデザインを表現する上では一見無駄にデカい大きさもセダンであることも必要不可欠な要素だと思います。他にもBMWのセダンなどはバランスの関係であの走りを表現する為の黄金比率としてセダンである必要を感じます。
そうした何か余程特別な理由が存在しないセダンは、今のパッケージングや効率優先の時代での存在理由を考えると更に難しい存在になったような気がします。
Posted at 2020/10/25 15:35:00 | |
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