2018年02月04日
頂き物②・・・DATとハイレゾの聴き比べ
家でも車でもDAT使い,しかも最近アナログディスクにもチャレンジし始めた,南国の達人からの「頂き物」。それは,3枚のCDと,ハイレゾデータが入ったUSBメディアだった。
前回のブログでは,何も考えずにそのうちの1枚を聴いたところ,自分の中に不思議な感覚が蘇るという反応があったことを記した。
で,今回はいよいよ,他のものと聴き比べた。
ところで自分は,本当にびっくりするくらいデジタル知識がなく,サンプリング周波数やらビット数のことなど,なんのこっちゃという感じなのだ。それがかえってよかったのか,全くの先入観なしで聴き比べができた。それぞれどんなCDなのかと言うことは,後になってから確認したことなので,聴き比べの段階では何も知らないでいる。ソースは,オフコースのヒット曲のベスト盤LPだ。
【1枚目】LPレコードからDATのA/Dコンバータを介し,それをPCに入れ,CDに落としたもの。その際に,ソニーの「スーパービットマッピング」という技術を駆使している。アップサンプリングもダウンの方もしていない,DATからの信号がストレートに記録されたものだ。
DAT:SONY PCM-R500(改)
ターンテーブル:ONKYO CP-1050 ダイレクトドライブ方式
カートリッジ:シュアM44G MM型カートリッジ 周波数特性:19Hz~20kHz
【2枚目】同様にLPレコードからMMカートリッジで音は拾うものの,その後,デジタルオーディオインターフェイスを介して,ハイレゾとしてPCへ入力したもの。
USBデジタルオーディオインターフェース:
Creative USB Sound Blaster Dijital Misic Premium HDR2(中華製 Amazonで8000円也)
【3枚目】2枚目のデータを,トラックごとに分けたり,ノイズ除去などしたりというソフトに数回通して整えたもの。
まず,1枚目の「DATを通した版」のものは,前回ブログで述べたとおり「自分の中に潜んでいた何か深いものを呼び覚ます『何か』が含まれた音」だった。厚みがあり,響きが豊かで滑らか。小田さんの声が実に深い。そして何より不思議な「何か」を含んでいて,これを自分は勝手に「出汁成分」と捉えた。
料理の例えだが,同じような味の料理を食べていても,その中にかつおだしや昆布だしの「成分」が含まれていることによって,日本人は心から充足できるというやつだ。このCDの音に関しては,おそらくそれは「アナログディスクの音」が自分にとっての「出汁成分」であり,それが忠実に再現されていたがために,自分の中での不思議な反応となった可能性がある。つまりは,素晴らしくできの良いアナログシステムで同じLPを聴くことがもしできれば,同じ反応が起こるかもしれない,ということだ。
次に2枚目である。あとから分かったことだが,これはハイレゾ機(?)を通したものだったのだ。ただ,中華製8000円である。でもスペック的にはこちらが上と言うことになるらしい。
で,結果としては,ハイレゾの惨敗ということとなった。
確かに音場は多少高くなるが,そういう問題ではなくて,厚み・熱さ・濃さ・太さ,全てが違っている。とにかく薄い。どれくらい違うかと言うと,アムロが乗る初期型のガンダムと,最後の方で出てくる量産型ガンダム(バンバン撃ち落される奴)の違い。
方式云々の前に,基本性能に雲泥の差がある。
なので,3枚目は言わずもがななのだが,それでも「これ,ハイレゾでっせ」と言って聴かせたら,かなりの人が騙されてしまうのかもしれない。
で,この比較試聴で何が分かったかと言うと,30年前の製品だが,「でも凄いものは本当に凄かったんだ」ということが一つ。最もオーディオが楽しかった時代。メーカーもさぞやりがいがあったことだろう。
で,次に何が分かったか,というと,後が続かない。いろんな問題点が,ごにょごにょと浮かんでは消えるばかりだ。
誤解を招くといけないが,自分は単なる「反ハイレゾ思想」の原理主義者・懐古趣味派ではない。世代的にはLPからCDへの過渡期を過ごし現在に至る,ごく普通のオーディオ好きオヤジだ。出始めのCDのデジタル臭プンプンの音には幻滅したものだ。でも今はCDを心から楽しんでいる。同様のことはハイレゾでも起きるような気もする。
それに今回は8000円だ。話にならない。でもこれが,59800円だとしたらどうだろう。それくらいの値段の装置を通ってきたのだから,いい音に違いないとして,受け入れてしまう人は少なくないのではないだろうか。
なぜなら,本当の音を知らないし,知ろうとしないからだ。
もっというと,ハイレゾならぬ「にせレゾ」だとしても,まあ便利だからいいやと,小さなメモリースティックやスマホみたいなのから何百曲もの音楽を「普通に」毎日聴いて,それで満足する。そういう人がマーケティングのメインターゲットとなる。
いや,それはそれでいいんだ,ニーズに合ってるんだから。ある人にとっては音楽はファッションだ。10000円のシャツのクオリティは必要ない,ユニクロで充分。本当に究めたい人は,もう一度ターンテーブル買いなおして,リスニングルームおっ建ててこだわればよい・・・・マーケティング的にはそれが正解なのだろう。
ただ,オーディオ的に今はまた,時代の「過渡期」なんだと思う。だからいろいろ混乱も誤解も淘汰もある時期なんだ。言葉の独り歩き・誤解・騙し(?)・・・それもそのうち落ち着いてくるんだろう。そうあってほしい。
そんな時期だからこそ,今回,達人から頂いた「30年前の機材を通した血の通った音」のプレゼントは,大切なことを指し示してくれているようだ。
じっくり音楽と向き合うことの大切さや,規格や形式やデータの見てくれに振り回されないこと,
本質を聴き分ける感性を磨くこと,雑誌や評論家たちに振り回されないこと・・・・・・・などなど。
そして今,願わくばであるが,ちゃんとしたアナログの音を,自分の知っている曲で聴いてみたい。それはある意味,とても怖いことでもある。
今持っている自分の装置を,ブン投げたくなる可能性はないだろうか。
ただ,カーオーディオに関しては安心だ。
なぜなら,車にはターンテーブルを持ち込むことはおそらくできないから。
追記:(今回の内容については,知識として自分の知らないことが多すぎ,それに基づいていろいろ述べているので,ひょっとして間違った内容も含まれているかもしれませんが,その場合はスミマセンと素直に謝る所存でございます。)
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カーオーディオ | クルマ
Posted at
2018/02/04 23:27:03
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