
”家庭の事情”により、最後にサーキットを走ったのが2013年。良きパパとしての模範囚を勤め上げ、どうやら ”恩赦” 的な時間が許されるようになってきました。たまに会社の往復に使い、オープンで秋風を楽しむとか、すっかり上品なキャラに転向してしまった愛車のMX5を、再びスポーツ走行ができるように更生させるのです。油脂類はブレーキフルードも含めて全交換、パッドも前後とも日本から大事に持ってきた在庫の中から ”まだ厚みのある” パッドに厳選して交換しました。
2016年10月15日、Barbagallo Race Way で開催されたフリー走行 Tuning Day に、実に3年半ぶりに復活しました。最後に走った2013年3月(夏)と比べると、11月は春でまだ気温が低いです。タイヤもネオバを入れて、アラインメントも取って、前回と比べると圧倒的に有利な条件です。しかしながら、ウデが落ちたのか3年前に出した1分15秒2を超えることができません。リベンジとなった 本日11月12日、ついに1分14秒8でベストを更新することができました。条件的に1秒は縮めないとダメだと思っていたのですが、まあ、15秒台が14秒台になったので気分的にはとても満足です。
タイヤとパッドのみ交換の、ドノーマル車、自分ではそれなりに頑張ったと思うのですが、同じMX5など他に走っておらず比較の対象もなく早いのか遅いのかも良くわかりません。ちなみに、周りを走っている車は、フェラーリ、ポルシェ、ホールデン・コモドア(V8改 370馬力)、ランエボ、インプ、S14、S15、R34 GTR、R31、BMW335iクーペ、筑波とそんなに変わりません。
そんな中で、前回、ちょっと気になる車が走っていました。白い4ドアのセダンで、ちょっと見た感じはウチの嫁さんが乗っている ニッサン・ティーダ みたいな感じのファミリーカー。若干スイフトにも似ているかもしれない。「まあ、誰でも、どんな車でも走れる走行会だから、一人ぐらいファミリーカーで参加してのんびり走っている人が居てもおかしくないかなあ」 と思って見ていたら、トップスピードが約 180km になる裏ストレートでアチラの方が速いのです。チギられたのです。外から見ていて コーナリング もしっかりしている。「あれだけ走れるのであれば、ファミリーカーベースでも、足とかも弄ってあって、乗り手もそこそこなのだろう」 と思っていました。
今日、サーキットに行ってみると、前回 気になっていた“白いファミリーカー”が止まっているではありませんか。通り過ぎる時に ジロジロ、戻るときに ジロジロ、私にとってはフロントグリルについているエンブレムを見たことが無く全然知らないメーカの車です。
当方の挙動不審に気づいたためか、先方のドライバーが友人を連れて寄ってきました。ドライバの名前は ジェイミー、南アフリカ出身であるがルーツは英国の白人青年です。長身痩せ形、ちょっとチリチリの赤毛。 「先月も来てたよね」 「ブレーキいじってんの?」 と私に聞きます。なんでも 「見たことの無い新参者の MX5 が鬼のような突っ込みのブレーキングで走っている」 と噂になっていたようです。
なぜかパッドに対する質問は無く、ロータがノーマルであることにびっくりした後、「キャリパーは?」 「ブレーキホースはメッシュではなくってゴムのままか?」 「マジでスタンダード(英語でノーマルのままという意味で使われるらしい)なんだ、信じられね~」 などと、若干ズレてはいるのですが、走り屋コンバセーションが始まりました。
ジェイミーの友人のスティーブは、BMW355iクーペ(300馬力超)のブレーキ挙動がおかしくジャダーが出ていることをブツブツ言いながら、MX5 とラップタイムが同じことにショックを受け、MX5 の ボンネットをのぞき込みながら エンジン位置と前輪車軸の位置、バランスの良さについて語り始めます。
「ところで」 と、気になっていた “白いファミリーカー” について質問してみました。ユーゴの自動車メーカ “シュコダ” の “ファビア” という車だそうです。“ファビア” は フォルクスワーゲン の ポロ とプラットフォーム を同一としていて、彼が乗っている車のエンジンは 1.4リットルで、ボンネットを開けると本当に小さいエンジンなのですが、 純正スーパーチャージャーで 180馬力くらい出ているそうです。ほとんど改造はしていないそうなのですが、これで私が MX5 で本気で出したタイムの1秒落ちで走ってしまいます。
昔はWRCとかにも出ていたそうで、私が知らなかっただけかもしれませんが、日本車以外で、こんなに走りの質の高い車が安価で普通に販売されていることにショックを受けました。日本で走っている時は、やっぱり安価な日本車で走っている人が多くって、欧州車とバトルというシチュエーションがあまりなかったように思います。日本車には無い変わった性格を持った車に出会った、面白い経験でした。
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2016/11/12 23:13:45