
事前に練習があまりできなかったのですが、今回は、富士で最近2連勝中の、N0(エヌゼロ)レーサにピットクルーをお願いして準備万端です。「連勝の運を分けてくれ」と言うと、「あいよ~」と快く分けてくれました。そいういえば、今までを振り返ってみるとワタシのピットクルーはすべてJAF戦とか、草レース(賀集戦とか)の優勝経験者ばかりでした。峠出身者は、「自分のことが自分でやる」が原則で、自分が走りたい人ばかり。あんまり人のお手伝いとか好まない人が多いのですが、ありがたいことです。
今回はクラブマン1、クラブマン2合同の1クラスでなんと21台。タイムの違う車が入り乱れることから、必勝の対策は車検ポール。朝4時台に筑波に到着、若干フライング気味で受付を済まし、ダッシュで荷物を降ろすと、見事に車検ポール獲得。車重1120kg。ちと重過ぎか。待機場所に先頭で車を並べて、後は予選を待って先頭で全開するだけです。ところが、予選30分前に車に戻って目が点に。ピットロード前に3台も車が並んでいる。1戦~2戦までの秩序良いオフィシャルの誘導と比較すると、まさに「やったもの勝ち」の横入り(と感じた)。「かっち~ん」と来た。追い討ちをかけるようにさらに1台前に入る。
緒戦で予選中に前の車を抜こうとやっきになり、ライトオンまでしてベストを振った反省から、今回は 「周りを見ながらスペースを作ってクリアを取る」 「前の車にかまうな」 「大人になるんだ...」 心のなかで唱えます。コースイン。そして、やっぱり我慢できなかった(笑)。1周目で2台を抜き、タイムアタックに入るも、2周目の最後、最終コーナで前の車に追いついてしまう。青が振られるのを見ながら、インへ突っ込むも寄せられて芝を踏みながらブレーキ。最終を落としたことにより、2周目、追い抜いた次の3周目もベストを失う。そして、フリーとなった4周目の10秒325がベストとなる。
予選中、初めて電光掲示板にて自分のポジションを確認。44の番号が一番上にあるのを確認するも、2位が前回予選TOPの100号車。余裕は無いハズなので、引き続き全開走行を続けるもベスト更新ならず。
幸運にもゲットしたポール、予選の暫定結果を見てびっくり。1分10秒台を出した車が14台。TOPのワタシのタイムから、実に0.59秒の中に14台も居る。1秒以内で見ると17台!なんと21台中17台が1秒以内です。決勝レースの混戦必死です。そして、記憶の限り、ひょっとして初めてかもしれないポールポジション。スタートで失敗すれば、他車のタイムを見れば勝てる保障はナシ、モチベーションを高めようにも前に抜く車はナシ。今までに経験したことの無い初めての緊張が襲ってきます。プレッシャーというやつです。
フォーメーションラップでは、スタートの練習をするも、回転数上げて、サイド下ろして、クラッチつなぐ...あれ?順番違~う!こんなことではダメだ~!
そして運命のスタート。スタート直後の記憶というのは、後で思い出そうとしても良く覚えていなかったり、間違って覚えていたり、時間や距離の感覚がずいぶんと狂っていたり、後でビデオや外かするら見た動画や写真を見て、あれ?と思うことが多いような気がします。記憶には「短期記憶」と「長期記憶」というのがあって、「短期記憶」は「長期記憶」に置き換わらない限りせいぜい数十秒で失われてしまうのだそうです。レースの直後は、短時間に多くのことに対応しなければならず、目まぐるしく変わる環境に反射的に動作するような状況が続くことから、正確な記憶が残りにくいのではないかと思います。そんな中での回想です。
フォーメーションラップが終わり、最後尾がグリッドについてシグナル点灯となりますが、グリッドが前になればなるほどこの待ち時間が長い。最高尾がグリッドにつくまでスタートは無いわけですので、ミラーで後方を確認します。気の早い車の何台かはすでに回転を上げて臨戦態勢。全ての車両がグリッドに付き、最後尾の青のRX-8(ペースカー)が停止する。アクセルに軽く足を乗せながら回転を上下させる。赤信号点灯、クラッチを軽くつなぎダンパを沈ませる。消灯。
やや回転が低いがクラッチのつなぎが早すぎて若干ホイールスピン。「中の下」くらいのスタート。どちらかというと失敗。左後方の100号車を確認するも位置を把握できず。後方から50号車が迫る。あきらかに加速が違う。間違いなくインに入られるタイミング。1コーナが迫る。右へ車を寄せる。まさにブロックと言うに相応しいブロック。多分後ろの車は相当ブレーキを踏んだ。ごめんなさい。3速に入れ忘れて5発くらいレブる。ターンイン。リアが出る。カウンタを当てる。失敗したが追突は無い。
1コーナ立ち上がり、後ろの50号車は若干離れた。50号車以外の周りの車が全く見えない。ほぼインベタで1ヘア進入。温まらないタイヤを気遣いながらコーナを抜けたところで、後方よりクラッシュ音。ミラーで状況は確認できない。そして、なぜか100号車が後方へ現れる。ほぼ単独でホームストレートへ帰り、1コーナを抜けると、後方は50号車に入れ替わる。
こちらはペースが上がらないが、後ろがバトってくれたおかげで後方と約3秒の差。結局、このまま15週の一人旅を続けることに。後方との距離を確認しながら、「安全」に「安全」に走る。闘志のかけらもない、尻尾をまるめて一目散に逃げる臆病な犬のような気持ちでした。最後の2周では勝利を確信したためか、2位の車に1秒近く詰められる始末。
走行直後は、守りに入ってしまった走りに納得がいかない気持ちで一杯でしたが、時間が経って、優勝してうれしい気持ちをだんだんと感じています。まわりの人が、「おめでとう」と言ってくれること、自分のように喜んでくれることが嬉しい。ネットの掲示板で報告を受けてくれる引退した昔の仲間にも自分の優勝が何かの刺激になってくれれば嬉しいと思う。今振り返ると、予選で3台抜いた前向きな闘争心(?)が、この結果につながったのだろうと思う。実力拮抗するなかで、まさに薄氷の上で掴んだ優勝。価値が大きいと今になって「ひしひしと」感じる。
上の 「エンブレム」 というクラスには化け物みたいな人たち(注:化け物なのですが、いい人ばかりです)が大勢いて、1秒以上も早いタイムで走っています。ドライビングも、精神的にもまだまだ鍛えて、本当の意味で一緒に走れるようになりたいです。
最後に、ピットクルーに「そんじゃ運返して~」と言われて、今回のラッキーは取り上げられてしまいました。次は通用しなさそうです(笑)
Posted at 2009/09/07 23:53:49 | |
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