
暖かくなったり寒くなったりの日々が続きます。車ネタではないですが、
先日ネットに懐かしいカセットデッキを見つけ、落札してみた(壊れたジャンク品)。
それはソニーのカセット・デッキTC-2260SDです。およそ50年近く前の、言わばビンテージ機種です。(当時7万円、若い頃、この中古を使ってました。)
全体的に経年による汚れや傷があり、外装を簡単に清掃してから…
このデッキが人気だった理由は、テープセレクターに「Fe-Cr」 フェリクローム・ポジションが付き、ソニーの当時最高峰のデュアド・テープが使えるようになった事でした。
高級機種としてデュアル・キャップスタンや一般パーマロイヘッドに比べ耐摩耗性が200倍高く、高域周波数特性の優れたF&F磁気ヘッドを装備し、FETによる直結ヘッドアンプを搭載していることでした。
さっそくF&Fヘッド等の状態を確認してみると、ヘッドは偏摩耗もなく、ピンチローラーも良好のようにみられます。
ところがさすがジャンク品。動作確認してみると早巻き・巻き戻しはできたけど、再生ができません。巻取り側リールが回転しないため、テープが再生時にキャプスタンに巻き付きテープが損傷します。
高級メカのデュアル・キャプスタンがかえって悪さをしてます。
さっそくバラします^^笑)。。
裏ブタを支える6本のビスを外し・・・
左に電源アンプ・基盤部、右にメカ部とセパレートレイアウトです。
サイドの木製化粧ケースを外し・・・
ヘッドアンプ系のシールドケースも外します。
外装とメカ・基盤系を分割します。昔のデッキは構造がシンプルで理解しやすいです。
再生の時に巻取り側リールが回らない・・ということは、キャプスタンからの動力が伝わっていないためです・・・と思い(診断)、赤矢印の先のアイドラープーリーが機能していないだろうと・・。
青マル内のプーリーとキャプスタンとの接触状況が?疑問です。
巻取り側キャプスタンを外して、アイドラープーリーの動きを検証してみます。
赤ライン左上のスプリング支持部と右下アームの根元は、本来一直線になりアイドラープーリーの中心は赤ラインの線上にあるべき姿が・・ズレてます^^!)。

真上から、左側のユニバーアーム部の根元とスプリングの赤ライン上に来るようにアイドラープーリーを動かすと、妙に硬くて動きがおかしい?。
結果的には左の赤マル内の本来可動部分が経年で固着してた。
ユニバーサルアーム等メカ部を分解して、アームを取り出しここを潤滑剤で処理して、滑らかな可動を確保してみました。
案の定アイドラープーリーを抜いた黄色マル内の軸受けの位置は修正されて、キャプスタンとアイドラープーリーを介して、再生側の巻取りプーリーはクルクルと回り修理完了。
この16φのアイドラープーリー純正品ではないと思う。
恐らくこのデッキは何人かの方の手に渡り、途中このプーリーを作成して修理したのだと思います(アルミ削り出しの凝った造りですがね)。
ついでに、各基盤のコンデンサーやトランジスターの足を点検して、ハンダも40か所ぐらいを乗せ直しした。
この2週間、ついでにこのコの劣化したベルト等の消耗品交換のため、Yオクやアマゾンでパーツ収集・交換。けど案外安くて数百円です。

赤マル内はゴムタイヤ部分を新品に交換したアイドラープーリー。
右の黄マル内は、今回不具合のあった再生・早送り用プリーで左はラジアル角検出用の磁気センサーとテープ・カウンタープーリー用ですが、ここのゴムベルトも新品に交換してみました。
それによりテープカウンターの誤差も少なくなり、オートシャット・オフやメモリーカウンター機能も回復しました。
このデッキのセールスポイント、緑枠はクローズドループ・デュアルキャプスタン。
真ん中のオレンジ枠内はF&Fヘッド。
音楽信号を録音・再生するキモですが、この子は50年近く経過しているとは思えないほど状態は良いです。
ヘッド周りやキャプスタン・ピンチローラーも無水アルコールでクリーニングして・・。
古い機種なのでピーク・レベルメータではなくて、VUメータだけど、そのレトロ感と、これを使ってエアチェックしていた若い頃を思い出しました。懐かしいなあー。
実際デュアドテープに録音されていた、ギタリスト・渡辺カズミやナベ定のジャズは、驚くほど新鮮な音がB&Wのシグニチャーから再生された。
50年も経過した、ソニーのカセットデッキの真価が発揮され嬉しかったです。(時間をかけて直した甲斐がありました。)
このデッキのスペックは→ https://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/player/tc-2260sd.html
現在、このソニーのデュアド・カセットテープは当然絶版ですが1本数千円で取引される、超人気商品。・・・いやーこの音なら解るなあ。