
まずは屈強なるサブマリナーに対して敬意を。
そして、全自衛隊員に敬意を。
サムネの写真は耐圧試験で破断したモデルだそうです。
こちらについては記載元をお伝えします。
http://majo44.sakura.ne.jp/trip/jam/10.html
沈降時の艦内状況について
さて、先に書いた通り1Mpaであってもカエルや昆虫は生きていたことを僕はこの目で見て知っています。
恐らく、乗務員もこの程度ではまだ意識はあったと思います。
実際の艦内圧力がどれほどだったかは不明ですが、洋上の支援艦と交信ができる意識レベルとするとそこまで酷い圧力には上がっていなかったと思います。
さて、浸水から圧壊までの状況についてどうだったのか
圧壊したと思われる深度は400~600m程度とされていますが、スレッシャーの実用深度が400mとすると設計最大耐圧深度は1.5倍と仮定し600mとして考えたいと思います。
■艦内気圧(浸水時)

艦内の気圧システムは機密なので正直よくわかりません。
ですが、これは知っています。
圧力は高い方から低い方へ流れる。
これはかなり前にジェットエンジンを作った時に燃料ポンプから燃焼室に気化燃料を送る際に使った現象です。
同じように高圧の水をたかが0.1Mpa程度の空気が押しのけて上に上がるなんてことは出来ず、水流に圧倒されたはずです。
※圧壊による大規模破壊の時は空気は抜けれたと思いますが、浸水時は配管からと仮定しているので配管内を高圧水流を無視して空気が逃げることはできなかったでしょう。
もしこれが正しければ、艦内気圧は浸水量とともに上昇したと思います。
■気圧変化に伴う人体への影響(浸水時)
まず最終的には酸素中毒が挙げられます。
酸素はもともと毒です。
高圧酸素に暴露された場合は
中枢神経がやられ痙攣が生じます。
肺は肺胞が機能しにくくなり呼吸困難に陥ります。
眼球については一部において網膜剥離を引き起こしたりします。
また鼓膜は非常に痛むか破裂したと思われます。
どれくらいの艦内空気が圧縮されたかは不明ですが、最後の数十秒においては人が正常に生きていられたかどうかというと、正直わかりません。
■人体への影響(圧壊時)
船体は0.1秒程度で内側に向け圧壊したと考えられていますが、
もし仮に600mで圧壊したのであれば60気圧、工場のコンプレッサーの10倍の圧力が一瞬でかかることになります。
空気又は海水が一気に人体の穴という穴から入り込み、内臓や肺を破壊し、脳も破壊したことでしょう。
しかし人の体内は大半が水で満たされているため頭蓋骨の破壊などといったことは起らないと思います。
どちらにせよ非常に悲惨で壮絶な状況だと思います。
■艦内温度(圧壊時)
原子力潜水艦ということもあり25度くらいじゃないかなって思います。ここら辺すみませんよくしりません。
仮に25度として、圧壊時の圧力は6Mpa、
圧壊時の温度は理論上では1500度(乾燥空気 ゲイリュサックの法則)となるが、実際にはそこまでは上がらず、上がったとしても0.1秒未満。
1400度のバーナーの火を一瞬当てた程度では火傷などしないのと同じでこの温度は特に影響はないものと思います。
ですから「潜水艦 圧壊」と入れると焼け死ぬとか出ますが、それは当てはまらないと個人的には思います。
これらの事を踏まえて考えていくとまた新しい視点から彼らのおかれた状況が見えてきたりします。
①漏水発生時 09:09
●艦内状況

漏水が発生した深度は400m程度と考えられています。
この時の水圧は4Mpa。
業務用コンプレッサの5倍~7倍の圧力です。
気圧の低い艦内(0.1Mpa)では圧力が一気に抜けて、
細い亀裂状態であればスプレー状の浸水とったでしょう。
水中電話で「漏水のような轟音は聞こえなかった(Wikiより)」
というのは頷けます。
これは発表された内容と一致します。
非常に冷たい水が噴霧状に出たのではないかと思います。
(海水温4度として-150~-175度、配管内部では4度となるが噴霧のため評決したミストが飛び散ったと推測)
ミスト状の海水が基盤に入り込み原子炉制御回路をショートさせたのではないかと推測します。
これには氷結する際に真水と塩分の濃い部分に分かれ、熱量は真水(純度高)に大きく持っていかれる為、氷結→真水 通電率が高い高濃度塩水→ミストで漂う
という状況になったのではないかと。
●乗組員への身体的負担

機関室は安全確保のため隔離されたでしょうから気圧はみるみる上昇したと思います。
さらに最悪な事にいったん氷結した真水は艦内温度により揮発しさらに気圧をあげたでしょう。
そのため、ダメコンも非常に効率が悪くなったと思います。
酸素中毒による意識レベルの低下、下手したら気絶、または死亡していたかもしれません。
現にスレッシャーは漏水を止めることはできませんでした。
●バラストタンク(浮き)への空気注入不可による沈降継続

潜水艦はこのように船体のバラストタンクに水を入れたり空気を入れたりしてバランスを取るようです。
スレッシャーは緊急浮上の為バラストタンクに空気を入れようとしました。
潜水艦ではバラストタンク内の空気圧が最大潜航深度以上にならなければ排水は出来ませんから相当に圧縮された空気が用意されています。
貯蔵タンク内は15Mpa程度(液化している圧力)あるんでしょうかね?
スレッシャーのタンク容積とブロー用エアタンクの容積がわかれば計算できますが…
とはいえ相当に超高圧な空気が押し出される→空気温度が一気に低下する→氷結
が発生して管を詰まらせてしまい排水不能に陥ってしまいます。
もしも緊急浮上ではなくゆっくり加圧していれば結果は変わっていたかもしれません。
次回は圧壊時まで行けれればいいなって思います。
Posted at 2020/11/21 03:11:10 | |
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2020年11月19日

これでこの話で第3回目となります。
ひたすら調べて妄想して…
死ぬかと思った(いえ死にませんから)
さて、それではいよいよスレッシャーの本題に入ります。
まずスレッシャーなのですが、もうここまで来る時に調べたよって思う方もいらっしゃると思いますが復習という事で。
と、その前に加圧ポンプ注文しました!!
やはりどうしても自身の目で確かめたいんです。
今回頼んだポンプは水深700m、
スレッシャーが圧壊したと思われる深度と同等の水圧かかけられるものです。
でも問題は耐圧容器…
φ200㎜の容器で考えていたのですが、この容器の蓋にかかる力は
10×10×3.141592653589793…(3.14でええやん(;´・ω・)
計算すると22トンの力がかかってしまって…
とても想定外でした!!!
困った・・
では本題ですね。
スレッシャー沈没までの経緯
海上支援艦スカイラークは支援艦とします。
フィートはmに換算
07:47:深度400mへ潜行を開始する。
07:52:深度120mで水平状態になる。支援艦に連絡、異常や漏水はなし
08:09:予定深度の半分に達した(深度200m)
08:25:深度300mに到達
09:02:低速で巡航を行い、右20度下方5度へ進む
09:09:機関室で配管のろう付けされた継ぎ手が破断(訳注:以下推定)
ダメコン実施、機関室内に靄が充満。
全速力、昇降舵最大、バラストタンク・ブロー(排水)を行い浮上を試みる。
浮上の為の圧縮空気は気圧低下で数秒で凍結、配管に詰まりタンクの排水
を不能とする。
漏水が基板をショートさせ原子炉が自動停止。艦は推進力を失う。
09:13:艦長は水中通話器で状況を報告する。
「小さな問題が発生、上昇角をとり、浮上を試みる」
機関室の浸水で艦は艦尾を下にして沈降を続ける。
バラストタンクの再ブローを行うが、凍結により失敗。
この時点で支援艦は圧縮空気が漏れる音をスピーカーから聞いた。
09:15:支援艦よりスレッシャーへ制御可能かを尋ねる。返答はない。
09:16:スレッシャーから雑音混じりの通信を受け取る。
記録では「900 N」とされている。
真意は不明。制御不可能を示すNの可能性も。
09:17:再び通信を受け取る。一部は「試験深度を超えつつある...」
と聞き取れた。
水圧の増加により破損した管からの浸水が広がる。
09:18:スカイラークは高エネルギーによる圧壊が発生した際の低周波ノイズを
検知する。
すなわち、圧壊が生じた。
系列について詳しく確認したい方はwikipediaでご確認ください。
怖いですね…
僕が最も気になるのは、浸水時の状態です。
深海深度での浸水時は洋上艦とは異なり、空気の逃げる隙はありません。
空気が艦外に出るのは内部圧力が吊り合ってからになるので…
ですから、空気圧はどんどん上がっていったと思います。
圧壊時、生きていたのか、既に死亡していたのか…
圧壊直前の1分前、すくなくとも9:17分までは生存していた。
では一体どんな状況だったのだろうか。
ここが一番気になるのです。
その為いろいろと調べさせてもらいました。
ですが、一番気になる艦内気圧の変化についてはどこも記載がないため自ら実験・検証するしかないということになりました。
※実験については耐圧容器の目途が付かなければ簡易実験で行うしかありません。
しかし、実験を行わなくても僕は知っています。
1Mpa(水深100m相当)でカエルや虫が生きていられたことを。
徐々に加圧していく分には大きな問題はなかったです。
ですが、彼らはどうだったでしょうか?
僕らは高い山から車で降りてくると急激な加圧により頭痛や耳が痛みますよね。
深海での浸水による急加圧。
酸素酔いは生じていたことでしょう。
神経・呼吸器系に障害をおこし痙攣を起こし最悪死亡…
圧壊の瞬間に死亡したのか、圧壊前に死亡していたのか。
どちらが幸せだったかという下衆なことは考えませんが、船が破壊される瞬間まで生きていたかどうか…
次ではよりリアルな状況を考察したいと思います。
Posted at 2020/11/20 20:21:01 | |
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2020年11月19日

さて、昨日の続きですが、その前に…
実は昨日紹介したara san juanの沈没現場の
3Dモデルが最近公開されたので紹介しますね。
このスピードには驚きです。
https://www.lanacion.com.ar/politica/reconstruccion-3d-asi-esta-el-submarino-ara-san-juan-en-el-fondo-del-mar-nid2246842#/
潜水艦ってこんなにぐしゃぐしゃになるんですね…怖!!
ARA SAN JUANでは乗員は圧壊前に死亡していたようですが、スレッシャーではどうでしょう…
実はスレッシャーの怖いところは…
圧壊直前まで生きていた懸命に浮上しようとしていた
という点なんです。
そこが僕を大きくひきつけたところです。
スコーピオンという潜水艦も沈没してますし、
ロシアは潜没大国としか言いようがないくらいに沈没しまくってます。
が、これらよりもスレッシャーが僕を引き付ける理由はそこに至るまでのヒューマンドラマが…
きしむ船体の音、暗闇の艦内、急激に上がる気圧、そして圧壊。
一気に7Mpaもの圧力がかかる恐怖。
7Mpaといってもパッとしませんよね…
そうですね、人差し指の爪の上に乗りましょうか?
あなたの手のひらに7トンの物を載せましょうか?っていう次元です。
平均的な成人男性の体全体に1260トンの力が加わります。
※この表現には語弊があります。
こんな圧力が一気に一瞬でかかるわけですから…
乗員は恐怖だったでしょう。
沈降は止まらず、浮上も出来ない、
暗闇の中船体は軋み、死の境界が近づいてくることはサブマリナーならわかっていたはず。
圧壊深度到達が何を指すかを…
そんな事を考えながら読み進めてもらえると光栄です。
Posted at 2020/11/19 21:42:02 | |
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