
ネタが無いので、今回は私的な哲学を複数に分けて書いてみます。最低でも2回、もしかしたら、もっと増えるかもしれません。
尚、今回はあくまで、私個人の考えなので、異論反論があっても「あー、ウラジミールはそういう考え方で車弄ってるのね」という程度に思って頂ければ幸いです。
かれこれ3カ月かそれくらい前くらいでしょうか。
みんカラのとある方(メッセージが残っていないので、もう誰だか分かりません)から、メッセージを頂きました。
初めての車がGE7(GE6じゃありませんよ)で、これからチューニングしていきたいので、何かアドバイス欲しいです~、とか、そんな感じの内容でした。
私も伊達に走っている訳じゃないので、こういうメッセージを頂けることは、大変に嬉しいですし、名誉でもあります。
詳しいやりとりは忘れましたが、どうも免許をとって、そんなに時間も経っていない様子の、その方。
あれやりたい、これやりたい、とメッセージを2、3やりとりしたのですが、どうにも嫌な予感がしてなりませんでした。
というのも、出てくるパーツの名前が、パワーアップ系のものばかり。
GE7はECUの書き換えに困るような事は言っていましたが、それを除いても吸排気やら、サブコンやら。足廻りやブレーキなど、他の系統のパーツの名前は一切、出てきません。
免許を取って日も浅いのに、いきなりやる内容じゃあないだろう、と私は思ったわけでして。
聞いていると、どうもスポーツ走行がしたくて、ストリートから入っていくつもりのようだったのですが、やっぱり、順序がおかしい。
この言っている内容でパワーアップしたら、車がついてこれない。このままじゃ限界が低すぎて危険じゃないか、と。
まして、ドライバーは天下無双の若葉マーク。テクニックでチューニングの不足を補うことなど、全く期待できません。
これじゃあ、自殺と変わらない。こいつはまずいと思った訳です。
なので、まずはブレーキパッドと可能ならローターも交換し、足廻りも軽く弄ってボディを補強して、その状態で腕を磨いてからパワーアップに踏み切りなさい、とこんな感じで何度か伝えたのですが、全く聞く耳もたず。
チューニングショップに足を運んで話を聞いてきたんですが~、なんて言い出す始末(プロに聞いたなら俺に聞くなよ、と思ったのは秘密)。
でもプロに聞いたという割には、主張に何ら変化無し。
パワー、パワー、パワー。
埒があかないので「貴方の仰られたチューニング内容なら確かにパワ―は申し分ないけど、低速スカスカだから進入速度あげてコーナーでも高回転保てる車にしないとウルセーだけで退屈な車になるよ、だから吸排気は後回しにして、純正の貧弱なブレーキを替えて、へなへなのボディを補強する。余裕があったら脚も替える。パワーは腕と感覚を磨いてからでも十分、間に合うから後回しにしなさい」と、ざっとこんな内容のメッセージを送ったら(実際はもうちょっと丁寧に書いてます)、返事が無くなりました(笑)
で、前置きが長くなりましたが、私が言いたいのはこの方への批判ではなくて、チューニングという物についてです。
まず、「チューニングするなら、車を止める方法(=ブレーキ)を最優先で考えて(改善して)欲しい」と私は思っています。
これは私の信条に近い、哲学のようなものです。
止まらない車は、神風特攻隊に志願するよりも危険です(余談ですが、神風特攻隊は敵を発見できなくて基地に帰ってきたケースが結構あります)。
みんカラを見ていると、↓こういうの、決して珍しくはありませんよね。
「初めてのチューニングです!マフラー替えたらいい音がします!速くなりました!」
良く見ますよね。
自分の愛車が前よりも速くなったら、格好良い音を出すようになったら、そりゃあもう、嬉しいじゃないですか。
そうですよね?みなさん。
ノーマルの「ぼへぇ~」とか「ぶひゃぁ~」っていう間の抜けた排気音じゃあ、気合も入りません。
でも速くなったということは、止まるのはそれだけ、難しくなったということと同義です。
これに、更にインチアップしたりする人、大勢いますねぇ。
「初めての社外ホイールです!格好良くなりました!」
同サイズならいいんですが、インチアップはちょっと問題です。
オート○ックスとかは適当なので、客の言うまま注文して、納品されたら「ハイお終い」ですが、ちゃんとしたチューニングショップとかだと、インチアップの際にはブレーキ交換も勧めてくれます。
だって、危ないんですもの。
まぁ、初めての人にそれを理由に説教を始めても、それはそれで酷な話。
でも怖いのは、それにさらに名前も聞いたことのないタイヤのレビューが一緒に上がっていて、
「国産タイヤは高いので、アジアンタイヤにしました!グリップはしませんが、安いのでよしとします!」
インチアップして、さらにグリップしないタイヤ…ますます止まらないだろ!と突っ込みたくなります。
インチアップをするならせめて、パッドくらい替えて欲しいと私は思う訳で。
でも、町中を走っていても、みんカラで徘徊していても、「マフラー+インチアップで終了!タイヤはアジアンでOK」なんて車はゴマンといます。
別にアジアンタイヤが悪いとは言いませんが、高品質が期待できないのは言わずもがな、です。
ホイールの隙間から見えるキャリパーを見ても、社外品の鮮やかなブレーキパッドが見えるケースはあまり、無いように思えます(あるいは、単にダストで汚れてるだけ?)。
…あんた、イザって時にその車を止められるのかい?と。
パワーアップして、インチアップして、安いタイヤを履いて、乗車定員めいっぱいまで乗せて、その状態で高速道路を走って、見通しの悪いJCTに差し掛かったら、そこは大渋滞の末端でした…なんて時に、ノーマルブレーキで果たして時速100kmから停止できるだけの能力はあるのかどうか。
う~ん、仮に止まれるとしても、後ろからそんなのが接近してきたら、想像するだけでゾッとしますねぇ。
チューニングには順序とバランスってものが在ると思うんですよね。
その順序については次編に譲りますが、限られた予算、少ないお小遣いでチューニングしていくのは難しいものです。
理想と現実とのギャップは開く一方です。
だけど、最低限の安全を確保した上で、やるべきことに着手すべきではないか?と。
格好良い音を出したい。
格好良いホイールを履きたい。
速く走りたい。
その気持ちは良く分かります。
車種によっては、ノーマル状態じゃあオフ会に行っても相手にされない、なんて話も小耳に挟みます。
だけど、その前に必要なことは、ドライバーと乗員が、その「格好良い」状態でもちゃんと、止まることが出来るのかという点。
繰り返しになりますが、止まらない車なんて、自殺と変わりません。
まして、大切な家族や友人を乗せていようものなら、それは他人を巻き込んだ、はた迷惑な心中です。
車に必要なものは3つです。
「止まる、曲がる、加速する」。
この3つのうち最低限、止まるが出来れば、最悪の結末は多少なりとも遠ざかるはず。
止まることは、他の2つよりも優先的に手をつけるべき点なんです。おざなりにしてはいけない点なんです。
止まるけど曲がらない車も困りものですが(笑)、止まるけど加速できない車は、かったるいだけです。追突されない限り、死ぬことはありません。
次回は本題である「チューニング哲学・順序編」に入ります。