フォルクスワーゲンの主力モデルにして世界的ベストセラー車であるゴルフが、今回の7代目のモデルチェンジをした。
ぱっと見では先代と変わっていないようだが、その中身はプラットフォームから、新開発または大幅に改良されたエンジン・ラインアップ、インテリア、装備などすべて一新された。
ゴルフ史上最も環境性能に優れ、安全および快適装備が充実したクルマになっているという。
最大の特徴は、「MQB」と呼ばれる新しい共用プラットフォームが採用されたこと。これまで、例えばゴルフと「アウディ A3」、「ポロ」と「A1」など、同じVWグループ内でプラットフォームを共有するモデルが存在していたが、これは基本的に "同じクラス" の車種を造り分けするものだった。
ところがMQBでは、プラットフォームをいくつかのモジュールに分け、それらの組み合わせによりホイールベース、オーバーハング、トレッドが異なるモデルを造り分けることが可能だという。具体的にフォルクスワーゲン・ブランドの中から車名を挙げれば、「ポロ」から「パサート」まで、幅広いクラスの「横置きエンジン前輪駆動モデル」に対応できるというのだ。新型ゴルフとアウディ A3はこれを採用する最初のモデルとなる。
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新型ゴルフの車体サイズは、全長4,255mm × 全幅1,799mm × 全高1,452mm。先代のヨーロッパ仕様と比べると、56mm長く、13mm幅広く、28mm低くなっている。日本仕様の数値はまた微妙に異なるのだが、水平方向に大きく、垂直方向に低くなっていることは間違いない。ホイールベースも2,637mmに延長され、室内と荷室が広くなっているそうだ。サイズが拡大されたにも係わらず、車両重量は100kg前後も軽量化されているという。これは以前のプラットフォームよりも軽いMQBが採用されたというだけでなく、エンジン、ボディ、電装系など様々な部分の重量を削減したことによる。
搭載されるエンジンについては、ガソリンとディーゼルでそれぞれ2種類ずつ、計4種類が発表され、燃料の如何に関わらず全て4気筒直噴ターボで、アイドリング・ストップ機能とエネルギー回生システムが組み合わされていた。
まずはガソリンとしては、ベーシックな1.2リッター TSIは、最高出力85ps/4,300〜5,300rpmと最大トルク16.3kgm/1,400〜3,500rpmを発生し、ヨーロッパの複合モード燃費で20.4km/リッターを達成するという。5速MTのみの組み合わせとなり、最高速度179km/h、0-100km/h加速11.9秒と発表されている。
そして新開発の1.4リッター TSI。こちらは走行状況に合わせて4気筒のうち2気筒分のシリンダーの点火および燃料噴射を停止させる、気筒休止システムを搭載することが特徴。最高出力が140ps/4,500〜6,000rpm、最大トルクは25.5kgm/1,500〜3,500rpmで、燃費は1.2リッター・ユニットと変わらない、20.4km/リッターを記録。6速MTまたは7速DSGが組み合わされ、最高速度は212km/h、0-100km/h加速8.4秒というパフォーマンスを発揮する。
ディーゼルとしては、1.6リッター TDIの方が最高出力105ps/3,000〜4,000rpmと最大トルク25.5kgm/1,500〜2,750rpmを発生し、燃費は26.3km/リッター。5速MTまたは7速DSGとの組み合わせで、最高速度192km/h、0-100km/h加速10.7秒。これにはさらに環境性能に優れた「ブルーモーション」モデルも用意されるそうで、こちらは31.2km/リッターとさらに燃費が向上するという。
そして高出力版の2.0リッター TDIは今のところ7代目ゴルフの最強エンジン。最高出力150ps/3,500〜4,000rpmと最大トルク32.6kgm/1,750〜3,000rpmを発揮し、燃費は24.3km/リッターとなる。6速MTまたは大トルクに対応した6速DSGが組み合わされ、最高速度216km/h(DSGは212km/h)、0-100km/h加速8.6秒。ガソリン・エンジンなら3.2リッターV6にも相当する大トルクとコンパクトカー並みの省燃費。日本でも乗りたいという方は多いのではないだろうか。
発売後の来年には、さらに高出力なガソリン・ユニットや、逆に燃費に優れた1.4リッター・エンジンなど、バリエーションが拡大される予定だ。
パワー・ユニットの違いだけでなく、内外装の装備によってトリム・グレードは「トレンドライン」「コンフォートライン」「ハイライン」の3種類が設定されている。エントリー・グレードのトレンドラインでもエアコン、パワー・ウインドウ、電動ドアロック、可倒式リア・シート、空気圧モニターなどが標準で装備される。
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新型ゴルフは安全装備も非常に充実しており、マルチコリジョン・ブレーキ(衝突や追突の後でブレーキを自動的に作動させる)やACCアダプティブ・クルーズコントロール、フロント・アシストと呼ばれるレーダーを使った前方危険感知システム、車線から逸脱しそうになるとステアリングを修正してくれるレーン・アシスト、駐車時にセンサーで障害物を感知したり、車両の周囲360度をモニターに映し出すパーキング・システム、交通標識認識システムなどを標準またはオプションで搭載する。さらにこれまで「GTI」のみに装備されていた「XDS(電子制御式ディファレンシャルロック)」が全グレードに搭載される。
Posted at 2012/12/11 02:52:00 | |
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