
最近のポルシェ991や718、918等のアルミ合金とスチールの接着リベット工法ボディについて、メーカーの説明とは裏腹に、実際とは違う一面があるようです。
991は、クルマが997から肥大化し、ホイールベース、トレッドの拡大、エンジンの搭載位置のミッドシップ化(後駆動軸よりE/Gが前方化)して、より安全でトラクションアップを狙い、開発されました。
これを今までのスチールだけで作ろうとすると車重がアップし、走行性能も悪化し、燃費も悪化し、軽量化と乗り味を変えたくなかったので、スチールとアルミ合金素材の接着工法でボディが作られています。
アルミ合金のリベット接合は、衝突に弱く、バラバラに破壊されます。それで、接着工法と組み合わされています。
背景には、スチール鋼材の原価の高騰もあり、アルミの原価と変わらなくなってきている事もあるようです。
●航空機の接着工法については、
こちら。
●軽量化を進める自動車メーカーについては、
こちら。
●軽量多機能化に貢献するアルミニウム合金の接合技術については、
こちら。
997ボディと比較して、991ボディは、14%軽量化、ねじり剛性は、25%アップ、溶接ポイントが半分になり、その代わりに接着剤で接合ポイントが120m以上に及びます。
それにより、0箇所のリベットポイントも2,000箇所になりました。
メインキャビンがスチール製モノコック、前後のオーバーハング部がアルミ合金製で、航空機と同じリベットと接着剤での接着技術で接合しています。
先ずは、メーカー
サイトでの説明より引用
●継続的な開発。
軽量ボディとその修理においても同じです。
創造性は、ポルシェのひとつの大きな特徴です。つまり私達には、ボディショップにおいても立ち止まるという言葉はないのです。ここは、テストを積み重ねた洗練かつ軽量なスチールボディからマルチ素材ミックスと呼ばれるものまで、ポルシェが独自のボディシェルの連続生産を開発した場所です。異なる特徴として、軽量スチールボディが主にスチールとアルミニウムのコンポーネントを使用しているのに対し、マルチ材料ミックスのボディシェルはアルミニウムやカーボンなどさまざまな素材から構成されています。そのため、構造はいっそう複雑になっており、それは修理においても同様です。また、ボディシェルが先代モデルより約14%軽量化された現行の911(タイプ991)*によって示されるように、車両重量は大幅に軽減されています。それでもなお、私達は1gの削減を追求し続けています。では、マルチ素材ミックスはあなたのボディシェルの修理においてどのように関係するのでしょうか?
あなたが必要とするものに、私達はお応えします。私達はこれを“lightweight repair expertise”と呼びます。
●私達がポルシェ車を修理する際、数量は意味を成しません。
品質こそ、最も重要です。
車が損傷した場合、新しい車両テクノロジーはそれに適した新たな診断および修理作業を要します。新しい材料とアセンブリー方法によって、修理もよりチャレンジングなものになります。従来のスチールボディの場合、診断はストレートニングベンチのゲージで実施されましたが、マルチ素材ミックスボディは極めて低い測定許容差のためデジタル測定されます。溶接も、主要だった組み立て方式ではありません。徐々に接着接合とリベット固定に代わりつつあります。
911(タイプ991)*の例:タイプ997に比べて、溶接ポイント数が約50%減少しています。2,000ヵ所以上のリベット固定が(タイプ997:0)、120m以上の接着接合(タイプ997:12m)とともに使用されています。
このような極めて複雑な構造に対し、車両の設計および製造者以上に適切に修理を行える人がいるでしょうか?つまり、私達が専門技術において不足しているものはありません。ポルシェ車の修理において、60年以上にわたる豊富な経験を備えています。そして、私達が現状に満足することはありません。
構造コンポーネントに使用されている接着剤の硬化を確実にするため、全てのポルシェ ワークショップはサーモスタットを備えています。
実際、991Cupカー、991GT3、カレラなど、最近のポルシェは、全てこの工法で製造されています。
しかし、軽量化、高剛性化は達成されていますが、サーキット走行によるボディの経年変化の早さ、やれも酷いようです。
事故をしたら、その度合いにもよりますが、衝突時のアルミ製オーバーハング部の破損が酷く(衝突安全基準もあり)、キチンと直らないこともある様です。
991Cupカーも中古車が出てきていますが、シェークダウン時から、ボディが柔らか過ぎで、脚のセットも最弱にしています。レース内でも事故時もこの工法がネックで破損が酷く、規定値まで直しきれない話をよく聞きます。
ナンバー付きのGT3やGT3RS、カレラなどの一般車両も、新導入の4WSと変な電子制御のお陰で、当初から足が柔らかめのセットで限界時はピーキーな挙動を見せます。
サーキットでは、かなり危ない。
硬いセットができないのも、この為もあるようです。
事故時もCupカー同様に前後オーバーハング部が簡単に曲がり、規定値までなかなか直しきれない様です。長穴加工で、アライメントだけ合わせた修理車両もあるみたい。汗
今やBMWやBENZ、アストンマーチン、アウディ、フェラーリ、ランボルギーニ、国産などメーカーにより素材の組み合わせや接着または溶接工法が違いますが、これらを考慮してクルマの選択をしないと、経年劣化や事故時の修理回復性に大きな差がある様です。
この点までよく研究しましょう。
アウディやNSX等のオールアルミ製の溶接工法のスペーススレームは、強いことが分かってきました。
Posted at 2016/08/11 01:06:31 | |
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