前回の4月のCRRのときに最後だと言ったのですが、ネタが見つかったので今回も話のネタを準備してましたw (⌒-⌒)ところがGSS鈴鹿の全体プログラムが半日と短くなったこともあり、今回は
話す時間なし! (゚◇゚)~
ということで、当日は話せなかったネタをここに書いておきます。
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2018年09月CRR講習「タテの限界、ヨコの限界」
グリップの限界は4輪同時に来ない。だから限界を使うということは、4輪全てのグリップを使い切るように、ハンドルやブレーキ、アクセルを使い調整する。 簡単にするために前後に分けて考えてみる。
タテの限界は、アクセルとブレーキ操作なので簡単に到達する。しかし
ヨコの限界は、ハンドルとアクセル、ブレーキの操作に加えて、慣性力(横G)が関わってくるので単純ではない。
では、限界をどうやって知るのか?
それは、車の動きの変化、操作に対する反応が変わることで感じ取れる。急な操作によるいきなりの限界は予測不可能でも、小さな操作で徐々に出る限界には対応できる。
タテの限界
速度を出して、ブレーキを力いっぱい踏めばフロントタイヤが限界に達する。その状態でハンドルを切っても反応がなく、車は曲がり始めない。 リアタイヤが先に限界に達したときには、リアが振られる動きになるが、フロントタイヤが限界内なので、ハンドルをまっすぐに保持していれば姿勢は乱れない。
ヨコの限界
コーナリング中は、タイヤで横Gに対抗している状態であるが、前後同時にグリップ限界は来ない
・フロントが限界:ハンドルの反応がうすい、ハンドルを切り増しても手ごたえがついてこない、アンダーステア(向きが変わらない)
ー>アクセルOFFでフロント荷重を増やす、ブレーキを緩めてフロントの仕事を減らす、ハンドルをまっすぐに戻し強いブレーキで速度を落とす、一瞬に強く切り増してすぐ戻す
・リアが限界:オーバーステア(リアが流れていく)、
ー>ハンドルを進行方向に合わせる(カウンターステア)、アクセルONでリアの荷重を増やす、逆ハンドルをあててフロント荷重を増やして反対向きの横Gを発生させてリアが流れるのを止める、ブレーキを強くかけて止める
前後バランスが取れている限界(コーナリング中)
車の姿勢が変わらないが、コーナーRが膨らんでいく(グリップを使い切った最速状態)
ー>膨らみ続けない様に微妙にアクセルを調整し続ける、ハンドルを戻しながら膨らんでいくコーナーRに合わせていく
複雑なタテとヨコの限界の組み合わせ
コーナーが近づくコーナーアプローチでは、まず減速してタテの限界に近づく、その後は減速を緩めながらコーナリングを始めて、グリップの限界に沿ってヨコの限界を使う、コーナ脱出が見えてきたら加速を始めて旋回を弱くしながら、最大の加速に移行する。 これは円状の限界グリップで表現される。
難しいのはタテの限界とヨコの限界(限界グリップ)の円をなぞる動き。
限界グリップを使う、Gの変化が円をなぞっていく動きには、『小さな操作が必須』
例えば、コーナーアプローチでブレーキを一気に半減させれば、まずタテGが減る。その後にハンドルを切るような操作であったなら、Gグラフではまず前後方向に動いてから、横方向に動き出す直線的な動きになってしまう。
また、もしハンドル操作が大きいときには、ブレーキが残っている状態で、つまりフロントのグリップがリアよりも大きい状態で旋回の横Gを強力に加えていくとリアが先に限界を超えて、オーバーステアが発生する。 そうなればスピンを避けるために、カウンターステアをあてるか、さらに速度を落としてフロントのグリップ力を強くしてリアの動きを抑え込むしかなくなり、コーナー中の速度が落ちてしまう。
小さな操作をするためのきっかけ
コーナーアプローチで、手前に目印を増やす。クリッピングポイントへ向かう目印よりも前に、コース上に目印を作り、いったんそこへ向かって車が旋回を始めたら、次のクリップへ向かう目印へ。Gをグルっと回しこんでいく感覚がつかめたらOK
リアを安定させる
コーナーアプローチでは、フロントに荷重が乗るのでどうしてもリアのグリップが相対的に小さくなる。つまり、オーバーステアになりやすい。それを解消するには、リアのグリップ力を増やす操作がいる。例えば、ブレーキを緩める、アクセルをあてるなど
フロントの利きを強める
コーナー脱出では、フロント荷重が抜けやすく、予想以上にコーナーRが膨らんでいくことになりやすい。その解消には、フロントのグリップ力を一時的に増やす。例えば、アクセルを一瞬戻したり、ブレーキを一瞬かけたりする。
また、一瞬ハンドルを強く切り増して戻す(ソーイング操作)もある。タイヤの舵角を増すことには減速の効果もあってそれでフロントグリップが若干向上する。ただし、必要以上にハンドルを切るので、ハンドルを戻さなければスピンしたりイン側へ突っ込むことになる。
理屈の上では、サイドブレーキを使ったり、リア駆動車でエンジンブレーキを使用することでリアタイヤで減速の仕事を担い、フロントタイヤの役割から減速を避けた上でのグリップ向上を狙うこともある…が、ドリフト以外では見かけないテクニックである。
慣性力で向きを変える
ブレーキング時には、前方への慣性力が車体に加わっている。これがリアタイヤを操る源になる。
車体がまっすぐならばまっすぐに減速するが、車体の向きがまっすぐではない場合には、リアタイヤにはフロントタイヤを追い越していくように力がかかる。それがリアのグリップ限界以上であれば、リアタイヤは旋回外側へ向かって動き始める。
この慣性力がイメージできていれば、S字などの振り返しで一瞬減速を入れてすばやく向きを変えることや、路面変化に対応して向きを変えたいとき/変えたくないときへの利用が考えられる。
誤解されがちな現象としては、進入時にフロントのキャパを越えてのアンダーステアが、速度が落ちてフロントグリップが戻ってもリアがグリップ限界を超えたままならばオーバーステアになってしまう。その結果はアンダーステアとオーバーステアの別の現象が出るが、どちらも強すぎるブレーキによるバランスを超えたフロント荷重が原因であることも考えられる。
タメをつかう
車を操作するときには、それまでの動きから一気に変化させるのではなく、次の動きに移る前にタメを使うと言う。タイヤがつぶれているのか、車の姿勢変化を落ち着かせるのか、微小な動きから始める形なのか、現象はともかく、操作する上ではタメという表現を使う。ようするに、車は急な動きの変化にはついてこれない。
アクセルとブレーキ
限界走行では、アクセルとブレーキは、速度調整の道具ではなく、荷重バランスを調整する手段。
荷重バランス調整では、じわっと微小に、瞬間で強く、わずかなバランス崩れを維持する、などの使い方で手数を増やす
コーナリングで限界を使うポイントは、
・限界は4輪同時には来ない
・限界を超えつつある状況を察知して対応し続ける
・大きな操作では限界を使えない
・慣性力になれる
・タメを意識する
どうしてグリップは円なのか
車が一定の状態で走っているときは、タイヤのゴムは上から路面に降りてきて、押しつけられて、また上に上がっていく。回転しているタイヤと路面の速度が同じときには、ゴムは単に上下に動いているだけ。グリップ力は、ここでゴムが引っ張られ、捻られることに抵抗して反発することで発生する。だから前後方向も横方向も同じ強さなので円になる。
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2018年09月CRR講習「タテの限界、ヨコの限界」
以前のもの
2018年4月CRR講習「初サーキット走行の心得」「コーナリングの自己診断」
2017年9月「サーキットを楽しもう」(鈴鹿サーキットの走り方)
2017年4月「タイムの縮め方」
2016年9月「コーナーでの目線の置きかた」
2016年4月「ブレーキの使い方」
CRR用に私が作ったものなのでご自由にどうぞw
反論や異論は、大歓迎www そういう意見交換、情報交換で知識が増えるしっw
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ドラテク | 日記
Posted at
2018/09/27 08:35:09