
後期ATターボ86のエンジンセッティングが完了しました。結果はブースト0.6でダイナジェット322馬力に。十分なパワーですね。
限られた時間での初期セッティングは、シャシダイ6時間、実走6時間かけて、アクセルコントロールが出来て踏み切れる車になりました。
1速で始まったホイルスピンはATなのでアクセルオンのまま3速まで続きます。この時や荒れた路面でのアクセルワークは、電スロのセッティングで踏める、踏み切れる状態まで改善。電スロ制御次第で、同じエンジン、同じパワーなのに、ドッカンターボにも、マイルドターボにもなるんですね。とても勉強になりました。私はドライバーとして、手足のようにコントロール出来なければ意味のないパワーだと思うので、この部分はホントに時間かけてワガママ出しながら煮詰めました。これからのセッティングはダイナモの上よりも実走、ドライバーありきだと思いました。パソコン一つで車の性格を変えられる凄い時代ですね。
追記
ブログコンセプトは仕事を取るためでもありませんので、興味のない人はスルーしてくださいね。
さて、追記ですが
86のターボ化で感じたことがあります。私としては今回の作業が86ターボ車の初仕事だったわけですが、
もう何台もされているところの方がデータがあると思いますので、一からの勉強で取り組んでいます。
ボルトオンターボ化エンジンやその他のチューニングでも、壊れないこと、壊さないことを、一番に進めます。
急がば回れで、石橋を叩くように、ですが、不安は尽きないものです。
それほどのデータがないので、事前情報でブーストがどれくらいが許容範囲なのか、壊れにくいエンジンなのか、が
一番重要になってきます。
そういう情報収集をしていくと、エンジンセッティングをメインでされている方やメーカー営業の方などは、まず壊れないですよ、と言われていました、なるほどーと思いました。ですが、私の知人周りではターボが1台、スーチャーが2台、NAが2台、エンジンが壊れていました。
ではなぜ壊れるのか?エンジン強度が問題なのか?過給器つけて大丈夫なのか?
から情報収集を始めていくと、
壊れていない車のほとんどが街乗りの車、壊れているほとんど車が少しサーキットを嗜む車、に分かれました。
サーキットで壊れるのはなぜ?ですが、
ほとんどのケースは車両の管理不足が要因と思えてきました。
参考例は、
1.オイルが純正オイルだった。
2.30分の走行枠をずっと走っていた。
3.エンジンのセッティングが不十分だった。
などです。
1や2は、オイルや水、温度や負担が、その物のキャパシティを越えて、そのことに気づかずに走って、壊れてしまう。
3は、チューニングしているにも関わらず、十分なセットアップが出来ていずに、壊れてしまうケース。
でした。
車は人それぞれ乗り方が違いますし、技術も、技量も異なります。
純正オイルでも壊れていないよって人がいても、条件が変われば、結果も変わります。
車を冷やさずにずっと走っていれば、耐えられないところから壊れます。
車のコンディションをチェックして、自分の使い方に合った条件に整えることが不足していたと、思われることばかりでした。
ただ、こればかりはなかなかわかりませんし、知識が必要になるので、サーキットを走行する人は、整備工場やチューニングショップと、深くいうと、どういう人と、どう付き合っていくか、まで至りそうです。
で、今回のターボ86に話を戻しますと、セッティング過程で、NAエンジンベースのセンサーが車についていますから、ある範囲を越えると過給側の信号が拾えなくなります。ということは、純正センサーで無難に制御できる範囲は、ブーストで0.5くらいまで、パワーでMAX280馬力くらいまででしょうか。ここから先のパワーは、純正ECU改でいくには、センサーを交換しなければ対応が厳しいようです。計測用にブーストをあげてパワー計測は出ますが、実情的に使い得る範囲はノーマルエンジンの場合、260馬力くらいまででしょうね。ボルトンターボで230馬力って話も聞くので、ターボをつけただけで、壊れないように、真面目にセッティングするところは、正直はパワーを上げられない、というか上げないと思います。
今回ダイナジェット(ローラー)で320馬力は出ていますが、壊れないためにエンジンの基本キャパスティを上げておこうと、ピストン、コンロッド、ヘッドガスケットを交換しました。壊さないため、壊れにくいように、エンジンのキャパシティを上げたんですね。もちろんエンジン本体だけでなく、ラジエーター、各オイルクーラー、ドライブシャフト、各温度管理計器までして、オーナーさんのお許しあってこそですが、壊れない、壊さないことを目標にしてデータを取ったので、私も情報を探していた人間ですので、ネットに転がっている情報の一つとして、これを書いています。
高回転ではインジェクター容量が足りませんでした。直噴側ポート側合計8個のインジェクターが100%使い切った状態になりました。HKS製の容量アップのインジェクターがあるのを知らなかったのと(商品の記載はスーチャーのページに書いてあるので読んでなかった)、トラストのターボキットは、ノーマルインジェクターで足りると聞いていたからです。そこまでのパワーを求めていなかったので、単純にそうなのか、、とインジェクターはスルーしていました。
無知ゆえのデータですが、EVCでブースト圧0.6でも高回転では足りなかったので、恐らく0.5でも不足すると思います。真剣にターボ化される人は要注意です。
熱対策ですが、エキゾーストのアウトレットが電動ファンシュラウドのそばを通ります。トラストのデモカーもそうですが、この部分のパイプは剥き出しのままなんですね。そうすると、ファンのプラスチックが溶けていました。高機能なバンテージはお金もかかりますので、お客さんへの申し出は気が引けますが、ATやデフも排気管の熱にさらされるので、全部対策しました。
様々な過程を踏んで、対策に対策を重ねて、シャシダイセッティングをすると、ベースエンジンがNAで、今回選んだピストンもNA用をヘッドガスケット調整しただけでしたので(理由はタービンサイズからして、ターボ用ピストンを入れると、その他部分が合わなくなると思ったからです)、ノッキングが酷かったです。
それを、すべて取り除いて、安全セーフとして入る補正は切ると怖いので、残したまま、細かな部分を煮詰めてセッティングをしました。ダイナモ上でノックがなくなっても、実際に走らせると出る領域もあったので、そこの部分もセッティングエンジニア同乗で、煮詰めました。本当に時間がかかります。
今回のセッティングは良く目にいって、80%の完成でしょうか。
とりあえずインジェクター交換して、その他の部分も手直しして、ブースト1.2くらいまでダイナモ上ではかけてみたいと思います(するかどうかは分かりませんが)、普段は0.6で乗ってもらう。こういうのが一番良いかなと思っています。データ取り中なので結論は変わるかもしれませんが。まとめとして言いたかったのは、ECU制御は3、4回くらいかけて煮詰める必要があるくらい、このエンジンと過給器は大変です。大変を乗り越えた方が面白い車に変身すると思います。遠いところでセッティングをするのではなく、ECUだけは比較的近いエリアでやるのが一番だと思います。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2018/02/03 02:49:04