
最初に。
ネタバレは極力避けますが一部避け切れないこともあるので、これから観ようという方はこのエントリは読まないことをお勧めします。
なので先に結論を言っておくと、
「一度だけでいいから映画館で見てくれ!」
何故ならあのハリーポッターも指輪物語も、スクリーンでは大迫力だったのにTV画面だと「いかにもCG感」が鼻についてもったいないことになったと私は感じているので、シン・ゴジラもそうならないとは言えないからです。
すでに鑑賞された、語りたくて仕方ないという方はぜひどうぞ一緒に再興奮しましょう。
しかしこのエントリは超個人的な感想なので「それは違うだろ」と言いたくなる点があるかとは思います。そこは生ぬるくスルーをお願いいたします。
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んで。
土曜日に観て今日は水曜日ですが、まだ頭からゴジラが離れません。
私にはそれくらいインパクトが強かったです。
一回しか観てないので、シン・ゴジラの全体像を感想にすることはできませんが、ひとまずの特徴を箇条書きに挙げますと。
1.潤沢なおっさん俳優の見本市
2.自衛隊によって強調される絶望感
3.内閣腐というパワーワード爆誕
4.古典文学並みに削ぎ落されたストーリー
5.鉄道が縁の下の力持ちすぎ
まず1つ目ですが、日本中の名俳優がこれでもかこれでもかとスクリーンに出てきます。
その数たるや、「こんな名優がこんな端役!?」と呆れるレベルで、もはやウォーリーを探せ状態。
小学生の頃から恋愛ドラマよりもおっさんが集団でわっせわっせするドラマのほうが好きだったニブ子には、心落ち着く光景でした。
2つ目の自衛隊は、機能美のデモンストレーションを見せつけくれるのが萌えポイントです。
美しく編隊を組んで、一切の無駄を省いた動きを見せるコブラ。
多摩川河川敷にびっしりと居並ぶヒトマル式様方の雄姿。
会議室の様子では、迷彩服の色で統幕長がどの自衛隊出か分かるヒントが映し出されていたり、海幕長の「我の全力を投入すべしと考えられる」の一言によって醸し出されるプロフェッショナル感。
装備品だけが機能美ではない、作戦に携わる隊員全員が機能美として描かれています。
いかん、これ以上は制御できないので以下、中略。
3つ目は腐女子の神髄がいかんなく発揮された結果、一部同人界に生まれたBUZZワードです。
私も「相棒」2代目によって三次元BLの世界に片足突っ込んだ以上は、あの細部に散りばめられた妄想地雷を踏み抜かずにはいられませんでした。
自分ではメンクイだと思ってたんですけどね…泉さんにその香りを嗅ぎ取ってしまったので、「中身メンクイ」に看板を架け替えねばなりませぬ。
火のないところに煙を立てる、それが腐女子の本懐です。
4のストーリーですが、相当に説明を削ぎ落した結果、スピード感溢れる、一切の澱みがない映画となっていると感じました。
途中ダレてしまいがちの、恋愛を臭わせるような会話も絡みもなければ、誰一人として感情的になるような場面もありません(水ドン除く)。
セリフも専門用語が飛び交い、それを説明するような野暮なことは一切しません。それでも何となく理解できるように作られています。
それが逆に功を奏し、古典文学のような「行間を読む」事が観客に要求され見た人それぞれに補完が行われて、「その人だけのシン・ゴジラ」が出来上がる仕掛けがしてあるような感じでしょうか。
映画の行間を読むという特殊な作業が必要になるおかげで、映画には描かれていないドラマや背景、進捗などが簡単に想像出来る…というのは恐らく珍しいことだと思います。
最後の鉄道に関してですが、鉄分が多くない人でも「ぅおおおお!?ぇえええええっ!」となるシーンが最後に用意されています。
ガチの鉄っちゃんが「あれは本当に可能か、可能ならどれほどの効果があるのか」を考察した記事をWEBに挙げていますので、ご興味のある向きはお読みになってみて下さい。
過去60年に渡って蹂躙されるのみだった鉄道が、重要な任務を遂行する光景は胸のすく思いになる人もいらっしゃるでしょう。
多分、あの部分はスピンオフでもう1本映画が撮れるんじゃないかと、私なぞは思ってしまいます。
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最終的に、私は「シン・ゴジラは傑作だ」と思います。
過去のゴジラは敵なんだか味方なんだか良く分からないオチになることが多く、造形もニャンコ的な顔つきになって可愛かったりしました。
それはそれで好きだったのですが、シン・ゴジラを見てからはこっちの方が本来のゴジラに近いんだろうと考えが変わりました。
そういうちょっとした価値観の変化をもらえるのは、良作映画の条件のひとつだと思っております。
Posted at 2016/09/14 10:20:57 | |
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