78プラド、久々に乗りました。
満艦から底辺(爆)まで以前はたくさん走っていた感のあるプラドですが、今となっては車庫保管の超極上の品もしくはレストア済みの美しい車輌しか存在しない、一種のコレクターズアイテムとなりつつありますね。
どっちにしても泥や岩とは無縁の”舗装道路完全引き籠り”仕様ではありますケド、良く考えればプラドという車、まったくもってその通りの使われ方が幸せでしょう。
やっと今、きちんと評価できるようになったとも言えます(爆)。
まだ新車で買えた当時は、「リジットなのに動かない脚」とか「ちっちゃいキンタマ(笑)」とか散々な言われようでした。
ランクルの名を捨てるべきだ、などと過激な意見もありましたが、メーカーの狙いはそんなトコロではなくて、舗装路”を”バシッと走れるランクルを模索した結果なのですね。
このニュアンスが重要で、舗装路”も”となると当然莫大な開発費用が掛かります。
オフロードのアシの動きと舗装路での走りを両立させるとなると、設計段階からミリ単位の検証を行い、ホーシングトレッドを拡げたりするともうメーカーとしては単一車種しか使えない特部品だらけの、ヒジョーに勿体ない車輌となってしまいます。
そんな贅沢なノリモノ、まあ在ることはありますがね(笑)。
オフロードや剛健さを求める向きにはナナマルシリーズがありますし、プラドは違った顧客層を狙ったのでしょう。
オフロードぽいワイルドなのが欲しいケド、本格的に走らないし走ったことないし、家族も乗れてヨメも運転出来て週末は高速道路を走ってキャンプに行ける様なヤツが欲しいな、みたいなカンジでしょうか。
事実、大当たりしてかなりの数が売れたというコトは、トヨタのマーケティングは正しかったというコトです。
久しぶりに乗りこんだ78プラドの運転席、なかなか十分にスパルタン。
四角いメーターナセルにナナマルテイストが溢れ返って、コレでオフを走らなきゃウソだ的な意見も当然と言えば当然(笑)。
当時、奇跡のディーゼルと言われた1KZは今の感覚でも静かにシュンシュンとアイドリングをしております。
ハイラックスサーフのように床がヤケに近い座椅子感覚ではなく、ちゃんとアタリマエに腰かけて座れるのは美点の一つですね。
セレクタをDに入れてアクセルを踏み込むと、少々の車重を感じながらググッと重厚な4ドアボディを押し出します。
一度動けば軽快と言う言葉も使えそうなほど、動力性能に不満はありません。
ぶっちゃけサファリDXのほうがよっぽど「遅い」(笑)。
回せばソレなりに少々ディーゼルノイジーな1KZですが、当時はガソリン?と見紛うばかりだったコトを思い出します。もっともBやTD、4DRのようにウルサイのが多かったですからね(爆)。
荒れた舗装のワイディングを2~3こなせば、あたかもショックアブソーバーを固めたサファリY60のような雰囲気でキレイに曲がっていきます。
跳ねてはらむような兆候もなく、少々太めのタイヤも相まって踏ん張りは十分。
ああ、トヨタさんはコレをやりたかったんだろうね、と思う瞬間ですが、同時に両輪が乗り上げるようなシーンでは進路が乱れてしまうのも事実。
次のプラドが独立サスになったのも頷けますが、Y60に乗り慣れていると少々ビックリする挙動でもあります。
次に禁断の河原へ(爆)。
トナリにこのプラドを最近手に入れたオーナーが居るので無茶はできませんが、小さなキンタマを思い出すだけでも慎重に成らざるを得ません。
人の頭大の石ころを乗り越えようとすると、明らかにブッシュで縛り付けてるような脚の動きで行き脚が止まります。石がまるで車止めのように作用してしまうのです。
シフトは4LのL、これ以上低いギアは無い状況でクローリングはサファリよりも遅いカンジもしますが、なんとも動かない脚にジレンマを感じます。
石に対して斜めに掛かるようにハンドルを抉りつつ、なんとか乗り越えました。
ノーマルのJB23ジムニーのような上体の揺すられ方です。
隣で若いオーナーが小動物の目でこっちを見てるので、ますます無理が出来ません(笑)。
それでもそのまま色々と楽しんでしまったのですが(爆)、もうちょっとだけ後ろ脚が動けばかなり楽になるだろうなというのが印象でした。
前後とも似た様なストロークで走り易いのは確かですケド、結果前には進みません。
まるでフロント独立+リアトラックリーフ車のようです。
テラノのようにストロークが短いのだけれど動きが良いので結果的に良く走る、みたいな前足ではないので、リジットである必然性は全く感じられませんでした。
舗装路に出てこんなにホッとするリジットアクスルヨンクも珍しいですが、隣のオーナー君もかなり安堵したようです(笑)。
やはり78プラドはランクルのオンロード版だと再認識しました。
矢のようにまっすぐ走り、さしてロールもせずに曲がっていく様は悪くはないです。
ただ、リジットの悪癖が少々残ってるのも事実で、日産漁船よりもずっと煮詰めが甘いです。
もっとも今回のプラドには少々ファットなタイヤを履いてるので、オーバーフェンダーなしで適正なサイズだと印象も変わるかもしれません。
しかしこの車体サイズはホントに丁度良く、狭い道の擦れ違いでもあまり苦になりません。
ちょっと背伸びした風なオーバーフェンダーを取り除けば、まったく無問題の取り回し性能でしょう。
しかも視点が高くて眺めも良いので、乗り易さは抜群です。
後ろの席も少々立ち気味だけどちゃんと膝前のスペースも広くて、デカい漁船ロングよりもずっと快適じゃないすか(笑)。
ハンドルを握って一番感心したのはその小回り性能です。ハンドルも切れてホイルベースも長過ぎず、ちゃんと日常ユースに適合しております。
その点あの漁船ときたら、マイクロバスよりも小回りが利かないってどーいうこと?(笑)。
しかも車幅が広く擦れ違いは一種の賭けだし、オーバーフェンダー付きは4トン車感覚(爆)。
日本の道路事情を完全に逸脱しております。
願わくば、サファリのホーシングは既に小型枠超えてるので車幅はイカンともしがたいのはヨシとして、ロングのホイルベースをプラド4ドアレベルまで詰めてハンドルも切れるようにして、鼻先には1KZの頑丈版みたいなのを載せてくれれば最高の汎用CCVが出来るのになあ、と、無い物ねだりもしてみたくなるぐらい魅力的(限定付き)な78プラドでした(笑)。
で、お値段聞いてびっくり。
150万円ですって!(爆)。
写真は資料映像です。上記の試乗車とは違いますけど、このお店敷居が高いんですよね~(爆)。