SODEGAURA 3HOURS ENDURANCE RACE TYPE TRACK DAY
※今回のブログにはほとんどAZ-1の話が出てこない上にかなりの長文です。
※このお話の一部はフィクションですが、当チームに関する記載はほぼノンフィクションです。チーム員の苦情は受け付けません(笑)
プロローグ
2014/05/04 15:08 耐久レース開始から約98分
気持いい五月晴れの空の下、房総半島内陸の森の中では25台のマシンがアップダウンのあるコースを駆け抜けていた。
イーヨー先輩 :
『タリホー!』(目標視認)
ぶーちゃん、あの先のコーナーの白い奴。同じクラスのマシンだよ!
へぼブログ管理人 :
あっ本当だ。イーヨー先輩サンクス!
でもまだ少し距離があるから2周位はクルージング・スピード(巡航速度)で付いていくよ。後ろから来る上のクラスの大排気量マシンに注意してね。
えっ、すぐに仕掛けないの?
うん、あっちも全開じゃなかったら仕掛けた時にスピード上げられて抜くの手間取っちゃうかもしれないからね。
耐久レースは全開で走るんじゃなくてそれぞれのチームがターゲットタイムを決めて周回する事が多いから、まずは相手の走りを後ろから見て全開で走っているかどうかとか、苦手なコーナーはどこかとかを観察するよ。
ふーん、なんだか面倒だね。
うん、スプリントレースと違って勢い任せに仕掛けちゃってタイヤやエンジン、ブレーキをヘタらせちゃうとその後のペースに影響が出る事があるからね。
押す所と引く所のバランスが大切かもね。
そうなんだー。だから大排気量の速いクルマはさっさと抜かせちゃうんだね。あっ、ライバルの車が前を走ってるEVに仕掛けたよ。うわっ直線速っ!
ねっ、前のライバル車も抜く時以外はあまり上の回転使わないでセーブしてるみたいだね。うちらも抜こうか。
あれっ?ライバル車1コーナーの後の上りですごく車間が詰まったね。
ああそうだね。ホームストレートでかなり手前から減速して1コーナーに侵入していて、アクセルオンのタイミングもロードスターに比べて遅いからきっと上りで車速が伸びなくて車間が詰まったんだよ。
ふーん、て言う事はライバルの車は1コーナーが苦手みたいだね。他ではそんなに車間が縮まないもんね。
じゃあ仕掛けるなら1コーナーが良いって事?
おっ、イーヨー先輩分かっているじゃん。
後ろからも上のクラスの車が来てないし、次の週仕掛けようか。
最終コーナーの立ち上がりからレブ縛りを解除して、全開でコンバット・マニューバ(戦闘機動)に入るね、先輩踏ん張っててよ!
2014/05/04 袖ヶ浦フォレストレースウェイ
With Me Racingさん主催による3時間耐久レース、通称『マル耐』の第6戦に参加してきました。
この袖ヶ浦マル耐の特徴は何と言っても参加のハードルが低い事です。
一台のレーシングカーを仕上げて戦うのが通常の耐久レースなのですが、このマル耐は参加ドライバーが自分のマイカーでサーキットを走り、ドライバー交代の時はまた別のドライバーが自分のマイカーで車ごと交代して走る事が出来るという珍しいレースです。
ドライバー交代の時はタイム計測のトランスポンダーだけをピットインした車からピットアウトする車に付け替えるだけでOK。
もちろん一台の車でみんなで走ってもOKです。
しかもそれだけでなく、耐久に参加したいけど自分一人しかいない!と言う方のためにお一人様参加者が集まって当日編成されるお一人様チームがあるんです!
どうですかこのハードルの低さ。次回は今年の秋に開催予定なのであなたも是非参加してみませんか?
『興味はあるけどどんな雰囲気か知りたいなぁ』と言う方は見学のみもOKです!(入場料が少し掛かったかも1000円ちょい?)
詳しくは
→コチラまで
昨年に引き続き
『スクーデリア・ダメリーノ・ミラノ』(ミラノの色男チーム(笑)として参戦してきました!
チームメイトはおなじみのおっさんメンバー4人。
今回はスタート・ドライバーを白いロードスターのミッフィー助六さんが勤めます。
前回抜かれまくりのビート・ドライバー修善寺さんは今回リベンジの為に満を持してインプレッサWRXを投入。
タイヤもSタイヤっぽい奴を購入してGTウィングまで装着。
高笑いしながら低排気量のマシンをぶち抜いてやるとヤル気満々です!
そしておなじみへぼブログ管理人のロードスターですが、今回はナビゲーターとしてイーヨー先輩がこっそり同乗します。
以上3台での参戦となったスクーデリア・ダメリーノ。
チームメイトは4人なのに何故か今回は3台での参加です?
実はMG-FのKranzさんがレース一週間前に興奮のあまり赤城山に1人で練習走行に行った際、偶然居合わせた赤城の白い彗星とダウンヒル・バトルになりコーナーのさらに内側をショートカットして追い抜く必殺技を繰り出しました!
しかし着地時の衝撃でホイールを破損してしまい足回りにもダメージを受け(一部誇張アリ)車両修理の為、今回は残念ながら雑用係として参加です。
耐久レース最大の懸念であった
(故障しそうな)イギリス車の参加が中止となり、『
これで完走の確率がグッと上がった!』、『Kranzさん、グッジョブ!』とこっそり喜ぶ他のチームメイト達。
一台参加車両が減るというアクシデントにも関わらずチームのモチベーションは最高潮です!
(イヤ、KranzさんUKジョークですから(笑)
そして今回は写真撮影班として主任カメラマンの正ちゃんにプラスして一番弟子の濱ちゃんの2名体制でバシバシと写真撮影(主にキャンギャルのお姉さん)してもらいました。
ちなみに今回のブログの写真はすべてこのお二人の作品です。
正ちゃん、濱ちゃんいつも素敵な写真をありがとう!
と言う訳で3台で3時間を戦うため1人1時間の走行時間となりました。
作戦会議の結果、今回は経験値向上の為にスタート・ゴールドライバーを助六さんに務めてもらい、レースはじめと最後の各30分を走ってもらいます。
ニューカー投入の為インプレッサでまだ袖ヶ浦を走った事がない修善寺さんは、ターボ車ゆえのマシントラブル防止を考慮して30分スティントを2セットとしました。
そして自分はなるべくピットインでのロスタイムを最小限にする為、1時間の連続走行を行う事となりました。
他のチームはポルシェやIS-Fとかナンバーなしのレーシングカーとかがごろごろいる為、総合順位はあんまり期待せずクラス優勝を目指します!
そして13:30。助六さんが無事にローリングスタートを決めて耐久レースが始まりました。
耐久レースで絶対にやってはいけない事はリタイヤです。もちろん順位も大切ですが耐久レースは生き残りレースなので完走するのがまず第一。
どんなに速くてもゴールしなければ意味がありません。
この為16:30のゴールを目指してチームが一丸となって戦います!
14:00になり無事にミッフィー号はピットイン。セカンドドライバーのインプレッサ修善寺さんがブローオフバルブの音を鳴らしながらピットアウトしていきます。
そして次はいよいようちのロードスターの番です。アニキのメンテナンスを信頼しており、1時間の連続走行でも根を上げないタフなマシンとなっていますが、念の為ピットアウト前の最終チェックを行います。
こんな時でもイーヨー先輩はシレッとカメラマン達とお姉さんの所へ行ってました(笑)
以前はWith Meのキャンギャルをやっていた宇佐美さんですが、今はWith Me Racingで事務として働きながらレースに参加しようと虎視眈々と狙っている様です。
そして本日のレースクイーンのお二人です!
カメラマンのお二人から頂いた写真データの大半はお姉さんの写真でしたが(笑)その中からイーヨー先輩が厳選した2枚を掲載させていただきます!
それがコチラ!
さて、読者サービスも終わった所で(笑)いよいよコースイン。
1時間のロングスティントの始まりです!
イーヨー先輩、後ろからも上のクラスの車が来てないし、次の週仕掛けようか。
最終コーナーの立ち上がりからレブ縛りを解除して、全開でコンバット・マニューバ(戦闘機動)に入るね、先輩踏ん張っててよ!
うぁぁぁぁぁ最終コーナー横Gが急にキツくなったよぉぉぉぉぉぉ
そりゃそうだよ、今までセーブしてた横方向のグリップを目いっぱい使ってコーナーリングしてるからね。
脱出スピード高めてエンジンも全開にして少しライバル車との車間を詰めて1コーナーで仕掛けるよ。
ホームストレートエンドで軽くブレーキング。4速→3速。1コーナーへの進入姿勢を作ったらコーナーのクリップ手前からアクセル全開。
強い横Gの中、アクセルを早く踏んだせいでオーバースピード気味のままコーナーの外へ向かってどんどん膨らんでいく。
ぶーちゃぁぁん、コースアウトしちゃうょぉぉぉー
大丈夫。1コーナーはアウト側のグラベル手前にゼブラが拡張されている上に、上り勾配になるせいで少し車速の伸びが鈍るからぎりぎり曲がれる。
前のライバル車はアクセルオンが遅い為か上り勾配であまり車速が乗らない。こちらは全開のままレッドの手前で4速へ放り込みグングン近づいていく。
上り勾配の頂上にある緩い右の2コーナーのインを目指して少しだけステアリングを切る。
ライバル車がコチラに気づきインを閉めようとする。構わずアクセル全開。追いついた!
ぶーちゃぁん、ぶつかるぅぅぅぅー
ライバル車のリアイン側にノーズを入れる。接触を避ける為イン側のタイヤを少しだけコースから落としたけどここはロードスターなら曲がれる。
午前中の練習走行の時に同じラインを通って確認しておいたから。
半車身後ろのまま並んで2コーナーを過ぎると4速全開でストレートを下って行く。パワーを取り戻したライバル車がエンジン全開でロードスターを少し引き離し始めた。
ぶーちゃん、離されちゃったよ!
と言いながらチラッとこっちを向くイーヨー先輩。
ぶっぶーちゃん、悪い笑顔をしているよ。
ああ、分かってる。本当の勝負はこの先だ。
えっ!?ぶーちゃんブレーキブレーキブレーキ!
ああああああぁぁぁぁぁぁ
いつもは3コーナー入口で4速→3速へ落とす所を4速全開で進入。
ライバル車は3コーナーのずいぶん手前で我慢できず減速。追い抜きに成功する。
目の前にヘアピンの4コーナーが迫る。
曲がりきれずにコースアウトした車のタイヤ痕が何本も見えている。
ぶーちゃんハンドルハンドルぅぅぅぅああぁぁぁぁぁ
ステアリングは切らずにコースの外を向いたまま真っ直ぐブレーキ。3コーナーで付いた少しの横Gを逃がしながらさらにブレーキング。
オートエグゼの対向4ポッドキャリパーがワンオフで注文したブレーキパッドをローターに押し付ける。
ギュムギュムッ。4本のSタイヤが路面に食いつき離さない。
4速→3速→2速。ブレーキを少しだけ抜いてターンイン。
ふぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ
強烈なブレーキングGから旋回Gへ。イーヨー先輩のまあるい鼻が外側へ歪んでいく。
そう、確かにライバル車の方が排気量もパワーも上だ。下りの加速競争じゃ勝てやしない。
2コーナーの後に離されるのは分かっていた。
でも200kg以上軽いロードスターにSタイヤの組み合わせはブレーキングポイントが全く違う。
だから抜くなら3コーナーだ。
通常3コーナーに無理して4速で侵入してもラップタイムは変わらない。コースアウトのリスクが増えるだけだし、3速に落として侵入しても追い抜く事は出来ただろう。
だがこの時はあえて4速で侵入してレイトブレーキング。
あんなスピードで突っ込むのか!とライバル車に見せつける為に。
耐久レースだ、あんなのに付き合っていたらタイヤがいかれちまうとライバル車の戦意をそぐのが目的。
そうでないと4コーナー上りのパワー競争に持ち込まれる可能性があるからだ。
そうしたら泥沼のドッグファイトになってしまう。
まだ後20分以上走らなければならないのにそんな事をしていたらタイヤがたれてしまいどんどんタイムが落ちてしまう。
耐久レースは駆け引きだ。レース全体のペースを考えて抜かれる事があってもゴールした時に前にいればいい。
きっとライバル車のドライバーはそれが分かってる。そんな頭のいい相手で良かった。
そしてこんな駆け引きこそが耐久レースの醍醐味の一つだ。やっぱりレースはたまらない。
後ろとの車間が少し開いたことを確認してから、再びトップエンドを封印してレブ縛りをする。
油圧OK、水温OK、油温OK、デフとタイヤは少し垂れてきたけどまぁ大丈夫。クルージング・スピードなら問題ない。
横を見るとイーヨー先輩がグッタリしていた。
ふとコースサイドを見るとカメラマン濱ちゃんがサムアップしてからカメラを構えるのが見えた。
走りながら一機撃墜の記念に親指を立てる。
ぶーちゃんガソリンが厳しいよ!
んっ?いつの間にかイーヨー先輩が復活している。少々遊びすぎたか確かに残量が少なくなっている。
仕方ないなぁ。ガス欠になってはたまらないので、4速と5速を使ってエコランを始める。ダッシュボードのラップタイマーを見ながらタイムは最小限しか落とさない様に気を付けてライン取りも変えていく。
これもまた耐久レースの楽しみ?のひとつかも。
ベストタイムを出す為に攻めるのはもちろん面白いけれど、ターゲットタイムを決めてその中でコースのライン取りやシフトを変えて走ると驚くほど発見がある。
サーキット走行は奥が深い。やめられない。
そうこうしているうちにピットインのサインが出る。
良かった。無事に自分のスティントを走りきる事が出来そうだ。
イーヨー先輩がニヤッとしながら右手を上げる。小さくハイタッチしてお互いの健闘をたたえ合いながら、ピットロードへと入っていく。
ピットロードではスピードオーバーに気を付けながらチームのパドックを探す。
遠くでサインボードを振っている仲間が見えた。
無事にピットイン。トランスポンダーを付け替えてもらってインプレッサがコースへ飛び出していく。
これでレースの2/3を消化できた。後はチームメイトの二人に任せよう。残り1時間。
さすがに疲れてしばらく動けなかったが、充実感でいっぱいだった。
エビローグ
16:32 我がスクーデリア・ダメリーノ・ミラノは無事にチェッカー・フラッグを受ける事が出来た。
コースに各チームのメンバーが集まり参加者全員でのフォトセッション。
この時ばかりは誰もがいい笑顔。最高の瞬間だ。
うちのロードスターも頑張ってくれた。
今日もノートラブルで帰る事が出来る。本当に感謝だ。ありがとう。
そして最高の一日が終わろうとしている。
みんなレース結果に満足し、また次の耐久も出ようと笑いあった。
本当に楽しかった。お前らは皆ブラザーだ!
後片づけをしながら暮れていく夕陽を眺めていると、驚くほどの満足感に満ちている自分に気が付いた。
そうか、そうだったんだ。
サーキットをロードスターで再び走り始めて2年半。もうM2 1028は自分の思い通りに動いてくれる。まるで手足の様に。
自分がミスをしなければこのクルマは裏切らない。
ドライバーとしては才能がないし、まだまだヘボな自分だけど、きっと乗りこなす事が出来たんだと思う。
だからこんなに満たされた気持ちになれたんだろう。
今日限りでサーキットをロードスターで走るのは卒業だな。
ふと、そう思った。
次にサーキットを走るのはそう。AZ-1だ。
AZ-1はサーキットでどんな動きをするんだろう。
そう考えたらワクワクがとまらない。楽しみだ!
問題はサーキット仕様に仕上げてもらっているAZ-1がいつ帰ってくるかって事だけど、まぁ気長に待つ事にしよう。アニキの仕事には間違いがない。
去年の暮れに預けて、もう半年過ぎたけど(笑)
今までありがとう、M2 1028。
本当はラジアルタイヤに換えてノーマルサスに戻して街乗り仕様にしたいけど、アニキやってくれないだろうなぁ(^_^;
(了)