
幕張メッセで開催していた東京モーターショーが東京ビッグサイトに移ってから2度目となる今回。
リーマンショック後からというものの、そのショックたるや相当な打撃だったワケで、そうなるとモーターショーにも影響が大きく出ていたのが前回のこと。簡素化されたり、展示スペースなどがコンパクト化されたショーだったわけですが、今年は多少“質素傾向”が和らいだような気がします。
それと同時にここのところ時代性なども反映してか、EVだハイブリッドだ…とエコ車が中心とした出展が続いたワケですが、今年はスポーツ系の展示車、あるいは発売予定車が目立ったことに気付きます。
やはりこのところの円安に振れ始め、各社業績を大きく改善したことで
ようやく一服感がついたのでしょうか。
それに伴ってクルマ本来を楽しむ、あるいは楽しめる余力が多少出始めたようで、
日本の自動車メーカーも元気を取り戻してきた証がわずかながらに感じます。
特に元気印を感じたのがダイハツとホンダ。
あまりにも完成度の高さ故に!? 長い事モデルチェンジに悩み続けていたコペンが
ここへきてようやく方向性がまとまったようで、
2014年中頃?には2代目へとバトンタッチできるようになったようです。
ショー出展車がどれだけ市販車へとフィードバックされるかは分からないものの、
外板パネルが容易に自分で着せ替えできるというデモがステージ上で行われておりました。
デモを見る限り特に強い力を必要とせず、女性の力でも容易に脱着できているわけで、
風圧で吹き飛んでしまわないのか? というくらい軽々とこなしているんですね。
ただ、こういったアイデアは今に始まったことでもなく、
過去にもマツダでも何度かショーモデルとして発表されてはいます。
1987の東京モーターショー出品車のショーモデル“
MX-04”が提案されていたワケですが、
それについては、つい先日開催した
ロードスター清里ミーティングで
ゲストにお越しいただいた現マツダデザイン本部長の前田さんが
新人時代に手がけたという話を伺ったばかりです。
1989年の東京モーターショーではAZ-1の
ショーモデル「AZ550」などにも
同様の着せ替えパネル案があったわけですが、
やはり法律の壁なりがあってか着せ替えパネルについては市販化は見送られたけれども、
次期コペンが実現できたら、これまた大きな一歩かもしれませんね。
このところ電気自動車専従メーカーになったんじゃないか!?
なんて思われてもおかしくなかった日産は、
今回は一転してスポーツ重視の出展となっていました。
東京モーターショーに合わせて狙ったかのように、
ニュルの市販車最速ラップタイムの記録を更新した
GT-R NISMOの
オンボードカメラの映像が自慢げに流されたり、
数十年振りにダットサンブランドを復活させ、インドで展開していることもあってか?
初代シルビアや510ブルを彷彿とさせるような、
少々古典的? なクーペのショーモデル「IDx」をメインに置くなど、
“元気だった頃の日産”を彷彿とした出展を感じます。
今年で創業80周年になる日産にちなんだ出展ではありますが、
想定以上に苦戦しているEV事業の陰の台所事情が
ほんの少し見え隠れしているようにも感じました。
ホンダについてはこのところ報道でもあるように、
次期NSXコンセプトや次期ビートのコンセプト「S660」の出展もあり、
1990年代の良き時代のスポーツ路線復活がかなり具体的に見えた内容となっています。
この流れに乗ってマツダも“AZ-2”とか考えて欲しいもんですが、
なにせイマイチ流れに乗れなかったりタイミングの悪い会社ですから、
相変わらずビジネスチャンスを逃しているなぁ…なんて
ホンダをはじめ各社のブースを見ていて改めて思ったのでありました。
さて、それでは、その流れにイマイチ乗れていないマツダは…というと(失笑)。
えぇ…これがですね、ある意味浮いてます。
ショーカーあるいは将来市販化を見据えた出品車がなんとゼロ!!
確かに現実路線ではありますし、確実に手に入るクルマばかりの展示ではあるんですが、
東京モーターショーに来た!という特別感は残念ながらマツダブースではゼロです。
プレスデーの展示車は全車統一がとれた“ソウルレッド”一色のみ。
つまり、CX-5、アテンザ、アクセラが展示されていただけでした。
一般日はフルラインアップが展示されるでしょうけど、
いずれにしてもディーラーと変わらない展示車が
ただ並んでいたことだけに、なんら変わりはありません。
事前にマツダはワールドプレミアが1台あるとのことで、
不意打ちの隠し球を期待してはいたものの結局のところ、これまた現実路線でありまして…。
それがこのアクセラCNG。
以上!! こ、これだけすか…。
スズキのプレスブリーフィングをスッ飛ばして場所取りして待ってみたのに、
これでは甲斐がなかったワケで…。
次期デミオなり、次期ロードスターなりのコンセプトモデルの1台くらい
欲しかったなぁ…と思ったのでありました。
さて、東京モーターショーのプレスデー、
私としては、別の大きな目的もあって、むしろコチラの方が楽しみにしています。
マツダのデザイナーであり、NCロードスターのチーフデザイナー中牟田さんと
毎回必ず久々の再会をして、お茶なり会場なりを回ってイロイロと
ここでは書けない&他では話せない話をしています。
今年の東京モーターショーの出展についても話しましたが、
やはり内外プレス含めて“少々寂しいのでは…”といった声があがっているようです。
せっかくマツダも業績が急回復していることだから、
もうちょっと何とかやりようがなかったものか…と思いますし、
他の日本のメーカーのような“明るい流れ”に乗り切れていないところが
なんとも残念に感じたのでありました。
さて最近、中牟田さんはショーモデル含めてクルマ全般のデザインを見ているばかりか、
今年の東京モーターショーのブースや、
販社のショールームの店舗デザインまで手がけているのだとか。
つい最近、大リニューアルが行われた
関東マツダ 洗足店も彼の監修による物なんだそうです。
画像を見せてもらいましたがブラックを基調とし、ウッドのフローリングはもう、
その雰囲気はとてもマツダのディーラーとは思えないほどで、まるでレクサスみたい!?
今までのお客さんの足が遠のいてしまうんじゃないか? というくらい上質!!
そのうちクルマを見に行くのではなく、店舗を見学しに行ってこようかしら(笑)。
会場内の喫茶店で中牟田さんとお茶をして引き上げようと思ったら、
ちょうどロードスター元主査の貴島さんと、RCOJの水落さんにバッタリ遭遇。
ひさびさに顔を合わせたこともあり、再び席に戻ってまた長話になってしまいました(笑)。
朝から夕方まで続いたプレスブリーフィングなどバタバタと追われて、
あっという間に初日は終了。
2日目は改めてゆっくり回ってみようかしら。