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2024年04月14日

多石でなくとも見栄えヨシ コロン商会 22型商館時計(薄型ケース) 明治20年頃

商館時計もそろそろ20個ほどになりましたが、段々と好みが見えてきました。
今回はそんな、自分の好みの一つに当てはまって買った個体です。







お馴染みコロン商会の時計です。
鍵巻き式でマークレス、「コロン」だけの物となります。



機械はこんな感じ。
3フィンガーブリッジとイングリッシュレバーは大好きな組み合わせ。
この後の龍頭巻きヤーゲンセンスタイルも大変魅力的ですが、よりクラシカルな鍵巻きもまた良い。
現状はテンプは無事ながら動きが渋い状態です。

今回の個体で特徴的なのは「ケースの薄さ」。
外径は55㎜なのですが、地板直径は49.7㎜の22型。
普通の商館時計なら、22型の機械を収めるケースは60mm近くになります。
一方こちらは僅か3mmほどしかケース厚が無く、ダイヤルも機械もケース一杯まで詰まった、隙の無いカッコよさがあります。

ちょうどこの記事を書く少し前、同じ特徴を持つコロン商会の修理済み個体がオクに出ていました。
そちらは更に大きな23型機械で外径58㎜らしく、地板直径が50㎜を超えるレア機の中でも更に希少とあって、そこそこの高値になっていました。
予算不足で手を引かざるを得なかったのが実に悔しい…
本機はそれの一回り小さい型と言えるでしょう。

そして年代的には、鍵巻きである事・マークレスのコロン商会である事から明治20年頃ではないかと予想します。
「コロン」のロゴは明治15年にスイスで商標を取っていますし、龍頭巻き・ダボ押し機構の出始めが明治23年頃になります。
なのでその間を取り、キリの良い明治20年あたりじゃないかと狙ってみました。


それでは整備に参りましょう。



まずは取出しから。
外見からして状態が良く、ビス類の欠品も無い様子。
ダイヤル裏には特に何も記載無し。
シングルサンクは窪みを付けた「風味」仕様。
香箱がブリッジ側に固定される鍵巻き式故か、地板の香箱裏は丸々抜けています。



ナンバーズマッチ確認。



地板を測ってみたの図。
49.7を2.2558で割り、リーニュに換算すると約22。つまり22型です。

リーニュって何?
何だろうね。

それはリーニエじゃない。
リーニュは古いフランスの単位で、アンティーク時計のサイズを表す時によく使われます。



鍵巻き式は巻き上げ機構が無くてシンプル。
故にすぐ裏面に取り掛かれます。
こうして見るとなかなか良い仕上げだなぁ。
地板は全面ペルラージュ彫りで、各ビスは研磨の上に青焼きされています。



イングリッシュレバー式のアンクルです。
ビス共々青焼き仕上げになっています。
しかし爪石はルビーではなく、別の金属が嵌っている模様。
実際の石数はあまり多くないようです。



香箱とブリッジのASSY。
例によって香箱はブリッジと一体化している構造です。
というか…香箱大きいですね。



蓋を取ってみると、ゼンマイは無事ながらちょっと短かそう。
アーバ付近を結構強引に曲げてある感じがします。
過去の交換時にこれしか無かったのかも。

丁度いいのがあれば更に交換してみましょうか。
そしてこれはまた別の補修部品となります。



この個体は、以前にもあったような油の固着が酷い状態。
テンプが渋いのも油のせいでしょう。
巻き上げてあるのにコハゼを浮かせてもゼンマイが解けず、鍵を手で回して解いた程でした。
原因はこの部分、ワンウェイ機構の固着。
かなりネットリしており、しっかり洗わないといけません。



という事で全バラ完了。
普段より念入りに洗いましょう。
ルビーは数えたら11石。
爪石があったら13石だったなぁ。

なお、商館時計への見方としては「見栄えは良いけど機械としては微妙」という評価があります。
今回はその典型例かなと思うのですが、個人的にはそれでOKだと思います。
何しろ見せる時計なのですから。

グラスバックで機械を見せるのも役割の一つですので、見栄えは重要なファクター。
それに機構の良さが少々伴ってなくとも、100年を超える時間が重みを補ってくれるでしょう。
目の前にあるのは100年以上生きた時計だ。
いや、一時ジャンクだったでしょ。





一方こちらはケース。
出品写真でも奇麗目で、凹みが無く七個模様もしっかり残っています。
更に珍しく、グラスバックのベゼルにコジアケの跡すら無いのですが…

削るなよ。

何て事をしてくれたんでしょう。
銀ケースをペーパがけする奴があるかい。
ベゼルとか、無駄にヘアラインっぽくなってるのが何か腹立たしい。

このケース、本体の状態の良さも然る事ながら、ボウまでしっかり銀製なのに。
多くのボウは真鍮か何かに銀貼り仕上げなんです。
ちゃんと磨かないといけませんなこれは。



ゼンマイは以前外したものが長めだったので、巾が合う事を確かめて交換してみました。



前よりか良いかしら。



ケースの磨きと共に機械を組み立て、いつもの通り動作確認。
この時点で結構イイ感じの値(タイムグラファーアプリにて)が出ています。
調整は組んでから。





無事完成。
ヘアラインもどきも無事消えました。
銀が柔らかい金属で良かった…



裏面もパリッとしてます。
側面にも凹みが無く、手持ちで一番良い状態のケースだと思います。



裏蓋を開けるとケースの薄さ(ベゼルと外周の迫り具合)がよく分かります。
石数は置いておくとして、大変見栄えの良い機械。
地板の全面ペルラージュにビス・アンクルの青焼きがアクセント。

最終的に日差-30秒程に調整でき、ビートエラーも小数点以下のようでかなり優秀です。
素性の良さ頼りとはいえ、一番良い仕上がりになったかも。
大きい香箱+長いゼンマイで駆動時間が長く、2日ほど余裕で動くようですが、その間にも2分遅れるかなと言ったところ。



今回は鍵無しの個体でしたので、以前から欲しいと思っていた鍵セットを買いました。
これには3番(英式の場合)が合うようです。
鍵巻きの個体はそれぞれチェーンを専用にして、フォブを鍵にしています。
またチェーンを仕入れたいなぁ…





最後は同じ特徴を持つコロン商会の2ショット。
大きい方が今回修理の個体です。

小さい方は初めの頃にメンテ済を購入したもので、こちらも同じく薄型ケースの鍵巻き・3FB・イングリッシュレバー。
但しブリッジ構成が左右逆になっており、輪列軸受けの地板側が全てルビーの15石だそうです。
ボウの銀貼りが痛み気味なのでちょっと気を使います。



さて…気付けば4月も半ばで、特に今日の仙台は初夏のような暖かさでした。
少々暑い位でしたが折角天気が良いので、バタバタとエクリプスクロスのタイヤ交換。
パジェロが去って駐車場が広くなり、作業は捗るもののやはり寂しい。

次の車は…今日の時点で大手をかけているところ。
数日中に結論が出て、上手く行けば月内にも決着がつくでしょう。
しかし納車は暫く先の予定。
入手が決まり次第、理由を含めて情報を出したいと思います。

後はそろそろ…今年用の扇風機でも再生しましょうか。
昭和40年代の機種をかなりストックしていますので。
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Posted at 2024/04/14 22:13:29

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