「いってらしゃいませ」
ホテルのフロントで、ルームキーを預け、見送りをうける。
「カチ」 「うぃーん」 自動ドアを明け、男は外に出る。
2月の九州とはいえ、かなり暖かい
「さぁ~て・・・」
男はとりあえず歩き出した。
歩き出してすぐに「らー」の赤提灯が・・・
男は素通りした
なぜ?
そう、そこは某どん○さんから仕入れた情報で今回はパスをしたのであった。
男は道沿いにあるいていく
15分くらい歩いただろうか
赤提灯はパラパラと見受けられるが、ほとんどが居酒屋である。
「らー」の文字は見受けられない
男はたまらず、道路わきに停車中のタクシーの運転手に聞いてみる
「この近辺でラーメン屋さんってないですか?」
「こんな時間でやってるとこってないよぉ~」
「あっ あそこのホテルのよこのラーメン屋さんなら遅くまでやってるよ」
さっきそこをパスしてここまで歩いてきたのに・・・
振り出しに戻る なのか?
「そうですか じゃコンビニはありますか?」
「このまままっすぐいったらあるよ」
「わかりました ありがとうございました!」
男は悩んでいた・・・
このまま「らー」を食べずに帰るのか
それとも 念押しされた禁断のお店で食べるのか・・・
男の足取りが急に遅くなる
それはそうだ 「らー」を楽しみに、駅弁を我慢してここまできたのである。
「う~ん どうする 俺!」
おとこはつぶやきながら歩いていた
そのときである
どこからか
「
ぱらり~らら ぱらりらぁらぁらぁ~」
おとこは立ち止まる
「
ぱらり~らら ぱらりらぁらぁらぁ~」
男は耳をすます
しかし、建物に反響してどの方角から聞こえてくるのかわからない
男は交差点の真ん中に立つ
「
ぱらり~らら ぱらりらぁらぁらぁ~」
次の瞬間
「
ぱらり~らら ぱらりらぁらぁらぁ~」
赤提灯をぶらさげた軽四が100mほど先を男と反対方向に走っていくではないか!
「あっ」 男の体はすでに反応していた
走ったさ!
とど@走ったさ!
おおきなおなかを揺らして走ったさ!
走ったさ!
満面の笑みに、目には涙をためて・・・
そう 追いついたのは屋台のらーめん屋さんだ
「らーめん 俺の味」
渋いではないか!
男は運転席の自分より少し若いと思われる主人に手を上げる
主人は車を路肩にとめる
住宅街のどまんなかである
「ラーメンひとつ」
「はい ありがとうございます」
主人は調理にとりかかる
男は斜め後ろから調理に様子を見ている
「はい おまたせ」
でてきたのは・・・
普通のとんこつラーメンである。
しかし やはりシチュエーションが違うとやはりおいしい
「どんぶりは持っていってもらって結構ですよぉ」
と主人が言ったかと思うと、クルマを走らせて行ってしまった・・・
男は夜中の住宅街でラーメンを持ったまま取り残されたのであった
「まいっか」
男はらーめんをすすりながら歩き出した
おまわりさんがいれば、職質間違いなしである(苦笑
「ぷはぁ~ 満足!」
最後の一滴まで飲み干し、コンビニにむかって歩き出す男であった
つづく・・・
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Posted at
2010/02/25 00:20:00