「9月には車検だよ」と車屋さんからリマインドが届き、クアトロポルテIVのオーナー業の第1スティントを走りきれそうです。特にトラブルも経験せずに過ごせてよかった。
で、マセラティ。
ネコパブ通史本や越湖さんムック本を読んでもいまいちピンと来ないので、自習の為に市販車の系譜を軽くまとめてみました。「第◯期」はモデルの切り替わりベースで私が勝手に区切っただけです。
第一期:1947-1956
市販車メーカー転身に向けた助走
戦前はレーシングコンストラクター稼業でしたが、この頃には創業家マセラティ家はO.S.C.Aに移籍し、オルシ家がマセラティ社を経営。
市販車メーカーへの転身を模索し、レーシングカーをベースにした超高級スポーツカー「A6シリーズ」のバリエーションをハンドメイド少量生産していた時期で、全体的に丸っこいデザイン。
たいして特徴も無いので見分けが付かない
第二期:1957-1965
レース活動撤退と超高級スポーツカーメーカーへ
1957年発売の「3500GT」が売れたことでついにレース業から足を洗い、超高級スポーツカーに専念するマセラティ社。とは言え、台数はこの期間全部でも5,000台ぐらいと相変わらずハンドメイド規模のまま。
デザイン担当がP.フルアやG.ミケロッティやヴィニャーレなので古臭い上、
だいたい似通ったシルエットなので見分けが付かない。
第三期:1966-1976
「スーパーカー」時代のマセラティ
経営がオルシ家からシトロエン社に代わっても超高級スポーツカーメーカー路線は変わらず。オルシ時代に開発が始まったギブリを除く各モデルは、例のハイドロニューマチック機構を搭載したことが仇となり信頼性は大変らしい。
デザインがG.ジュジャーロとM.ガンディーニになったのでとにかく格好良くなったのは特筆すべきポイントですが、
だいたい似たようなシルエットなので見分けが付かない。
第四期:1976-1993
ビトゥルボ展開の光と陰
オイルショックでシトロエン自体の経営がヤバくなり、見捨てられたマセラティを拾ったのがデ・トマソ社。
「お値段そこそこでコンパクトなマセラティが買える!」をコンセプトに発売した「ビトゥルボ」が20,000台弱売れて一息ついたものの、その低い生産品質が「宇宙一壊れる」と言う暗黒神話伝説を生み出してしまい、シリーズ後続モデルがさっぱり売れない展開に。
ドア枚数とエンジン種別で膨大なバリエーション展開をやりまくった為、まったく見分けがつかない。
第五期:1993-2004
ポスト ビトゥルボ期の残光と雌伏
デ・トマソ社長が病に倒れ、経営はフィアット社に移動。
ビトゥルボ系をリファインしてブランド運営は続けつつ、フィアット社の資金力で生産設備改革に取り組むガマンの時期。もちろんクルマはさっぱり売れない。
モデル数がすっきり整理されたことで
「ドアが2枚のヤツ」「4枚のヤツ」の見分けが付くようになった。
ちなみにデザインはM.ガンディーニとG.ジュジャーロが手掛けたので文句無しに美しいです。
第六期:2005-
やっと世間並みになれたかも知れない
3200GT・4200GTの終売でデ・トマソ傘下期の遺産と訣別し、ようやくフィアットプロデュースの新時代が正式に幕開け。
超高級車マーケットに復帰しつつ、K.オクヤマやM.テンコーネによる現代的なデザインでブランドイメージも一新。ようやく色々噛み合ってきた感じがします。
モデル数が少ないので見分けるのも割合簡単。
こうやって振り返ると、それぞれの時期に似たような見た目の車を続けて発売してばかりで、よほどのマニアじゃないと見分けが付かないのでは?
一番ひどいのは1981年〜1997年の16年間。
発売された全モデルがひたすらにビトゥルボ顔で、3200GTが本当に久々のブランニューデザインと言う始末(ちなみに中身はまだまだビトゥルボ)。
その一個前のブランニューデザインって1970年台デビューのボーラあたりだし、なんなら初代ギブリとその辺り大差ないので1966年まで遡る悲惨さ……ミケロッティ嫌いなんでメキシコとかキャラミなんて子は知りません。
と言うわけで
「マセラティの歴代市販車デザインは75年間で4つ程度の雛型に集約される」に尽きるかと。
・3500GTの系譜
・ギブリやボーラの系譜
・ビトゥルボの系譜
・現代マセラティの系譜
あとはだいたい派生モデルと言い切ってもあながち間違いではない程、ブランドとしての展開幅の狭さだとか経営リソースの限界だとか、長年苦労が絶えないブランドと言えると思います。多分イタリア車メーカーで一番の虚弱体質(笑)
とは言え、今はそこそこ落ち着きましたね。
多少の波があるとは言え、ステランティス筆頭のラグジャリーブランドの社内地位はしばらく安泰だと思うのでそろそろ軌道に乗ると良いなぁ。
もしかして創業以来「安定経営」なんてほとんど経験していないんじゃなかろうか。
来年からはフォーミュラEにも参戦が決まっているし、そちらも頑張れると良いね!
Posted at 2022/08/06 19:30:12 | |
トラックバック(0) |
マセラティ | クルマ