10月後半は月が明るくなる時期ですが、天候は前半より恵まれていて、
銀河や星雲を撮影することができました。
タイトル画像はその成果ではなく、ボツ作品です。
これを撮影したのは満月の3日後の23日夜で、自宅の玄関横で行なった天体
撮影ソフト(N.I.N.A.)と新しいPC用のバッテリのテストの対象でした。
前回のテスト(8/28)では、手持ちの20000mAhのUSB-PDで45W出力の
ものを使ったのですが、SS=420sを30枚撮ったところで、燃料切れでした。
その後、45WのUSB-PD出力があり、容量が倍の40200mAhのバッテリを
購入。
今回は望遠鏡のフォーカス・ノブに取り付けたモーターによるオートフォーカス
もテストするため、小型の18W USB-PD 10000mAhのバッテリから12Vを
取り出します。
赤道儀はDCジャックのついた12Vバッテリで駆動。撮影カメラ、ガイドカメラ、パソコンを新しいバッテリが面倒見ます。
AFも子午線越え(対象が子午線を越えるときに赤道儀が180度反転すること)も
上手くできて全自動撮影で70枚が撮れたのですが、ヒーターで追いつかないほど
夜露が降りてしまい、使えそうな30枚を合成したのがタイトル画像です。
本題に戻って天体撮影ですが、後半最初は15日の夜でした。
この日は今月で最もシーイングが良く、月をライブビューで拡大した時の揺らぎが小さめでした。
上弦の月から2日後になります。
ついでに土星も。前回(6日)よりも出来が良いです。
惑星は拡大倍率が、銀河や星雲よりずっと大きいので、出来はシーイング次第です。
この夜、ドームでは焦点距離2000mmである銀河を撮影し、土星の後、玄関横では焦点距離450mmの屈折鏡に、
Z 6IIを取り付けてカリフォルニア星雲を撮りました。
明るい星雲なので、通常のカメラでもしっかり写すことができます。カメラレンズですばる(プレアデス星団)と
一緒に撮ることもできます。すばるの左の方にあるので、一度トライしてみてください。
QBP-IIフィルタを使い、ISO1600、SS=360sを40枚撮って合成しました。
星雲の構造まで見えてしまうと、炎かナメクジのように見えます。
さて、これと並行してドームで撮影していたのは、きりん座というマイナーな星座にあるIC342というフェイスオン銀河です。
距離は1000万光年弱と、M101の半分以下なので実際の大きさはM101よりかなり小さい銀河。
SS=420sを3日かけて150枚ほど撮影し、100枚を合成しました。
よく見かける銀河の写真は、大抵、背景の星がこれほどゴチャゴチャしていませんが、この銀河は天の川銀河面に近いので、
前景の星やダストが多く、とても淡い銀河です。銀河は宇宙全体にほぼ一様に分布しているので、天の川銀河面方向にも
あるのですが、天の川銀河で隠れていたり、この銀河のように見えにくかったりでメジャーではありません。
最後はタイトル画像のアンドロメダ銀河のテスト撮影と並行して撮影を始めた星雲です。
シーイングが悪い日が続くので、焦点距離を2000mmから585mmにして明るめの星雲を撮りました。
カシオペア座の「ハート星雲」(IC1805)です。この光学系で撮るのは初めてになります。月明かりがあるので、
デュアルナローバンド・フィルタ(L-eXtreme)を使い、4晩かけてSS=480sを200枚強撮影しましたが、使えたのは
約半分。合成して処理すると、これまででベストな画像に仕上がりました。
ここまで寄ると暗黒帯や赤い星雲がうねっている部分まで見えるので、「ギザギザハート」ですね(古いか?)。
この星雲を撮った夜では25日がシーイングが安定していました。
その時のガイドの様子が下の図です。
今回は光学系の焦点距離が短く明るいので、2000mm F8の反射鏡よりもガイドは安定しています。
オフアキシスガイダーといって、撮影カメラとその直前のガイドカメラが光学系を共有する方法を取っています。
撮影カメラ(ASI6200MC Pro)のピクセルピッチが3.76um(micron)、ガイドカメラ(ASI174MM)が5.86mmなので、
0.6px以下のガイドエラーが目標になります。この例では0.3px以下なので十分許容範囲です。
赤道儀の調子も戻って、撮影したい天体があるのですが、スッキリ晴れません。
雲が出ない夜に出動して広く星空も撮ってみたいですね。
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Posted at
2021/11/01 20:20:19