東京都が国にたいしてイナーシャウェイトごとの区分によるトップランナー制度に噛みついたみたいね。大きな乗用車でもエコカーになれるという愚策を考えた大学の先生達と自動車工業会の関係者は猛省してほしいのですが。もちろん、業界の圧力に屈した国土交通省も同罪ですが。
日本の燃費制度の問題は行きすぎた重量車への配慮と実燃費と大きく乖離する燃費の試験法。JC08で多少は是正されるけど、エアコンオフ、カーナビオフ、急加速はしない、などあまりにも実際の使用状況と異なったテストが問題です。
アメリカのEPAではもっとも燃費が良いクルマはプリウスですが、街中燃費でも55MPG。だいたい22Km /Lです。同じクルマでも日本のカタログ燃費とはあまりにも異なっているのです。
2009年11月26日発売 自動車専門誌エンジンに寄稿 清水和夫著
天下の愚策
「エコカー減税」は天下の愚策だ。昨年秋の金融危機が引き金となり、麻生・前政権下で始まった「エコカー減税」と「エコカーの補助金」制度は、景気テコ入れと、苦境に陥った自動車産業救済のためのカンフル剤であった。テレビでは連日、子供を使ったメーカーのCMが流れ、「エコカー減税、実施中のいまが買いどき」と消費者を誘導している。
「エコカーの補助金」は、新車登録後13年以上を経た古いクルマを廃車にして新車を買うと25万円の補助金がもらえる制度で、これにも異議アリだが、ここでは飛ばす。
「エコカー減税」はじつは2002年から実施されており、ある一定の環境性能に応じて自動車税の税率を軽減してきた。2009年4月1日から減税対象が自動車税だけでなく、自動車取得税や自動車重量税にも適用されるようになり、前述の補助金と合わせると数十万円も得するようになったことで注目が集まったのだ。
現在、「エコカー減税」の対象は、低排出ガス車認定75%低減レベル(☆☆☆☆)で、かつ燃費基準を15%~25%以上達成している自動車、とされている。達成率で税率の軽減具合が変わる。輸入車で「エコカー減税」の対象車両がほとんどないのは、低排出ガス4つ星という壁が立ちはだかっているためだ。NOx(窒素酸化物)等は人体に有害だから、この前提条件には賛成する。
問題はもうひとつの条件、国土交通省が車両重量を細分化し、各カテゴリー別に設定した2005年度の燃費目標基準値にある。この基準値は、おかしなことに重いクルマのほうが10-15モードの試験法で有利になる数値に設定されているのだ。
軽量化が裏目に出る!?
欧米の燃費規制はメーカーの平均値なので重いクルマは不利になるが、日本では車重2トン近いミニバンやSUVまで「エコカー減税」の対象車になっている。たとえばメルセデス・ベンツE250CGIはガソリン・エンジンの輸入車として初めてエコカー減税の対象となったが、その対象は2種類ある日本仕様のうち、軽くて燃費のいいスタンダード・モデルではなく、重量が重くて燃費の劣る「アバンギャルド」という不思議なことになっている。もちろん、メルセデスに責任はない。
ある日本メーカーのエンジニアは「一所懸命に軽量化したのが裏目に出た」と嘆いていたし、エコのために軽くて燃費がよいモデルを買おうとしたら、エコカー減税額が少なかったという例は枚挙にいとまがない。
エコカー減税ではハイブリッド車や電気自動車が優遇されていることも気になる。ハイブリッド車や電気自動車は手段であって目的ではないはずだ。性能基準なのか、構造基準なのか。政府の環境対策は完全に混乱している。こうした間違った政策は自動車メーカーを健全な方向に誘導しないし、ユーザーも減税されないとクルマを買わない習慣が身についてしまう。エコカー減税などという近視眼的経済対策ではなく、CO2排出量に応じた優遇策こそ環境政策として正しいのだ。
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持続可能なモビリティ | 日記
Posted at
2010/05/19 07:47:26