前章を受けて、不良債権について書く。
本章は一節ずつ、ひとつのエントリとして計5本に分けて綴ることにする。
そうしないと、お読みいただく諸氏が寝てしまうからだ。
本章では今更だけど、うちの嫁にもわかるように、不良債権の怖さについて、改めてお浚いしておく。
諸氏におかれましては、その概念についてご存知だったら、飛ばして次節から読んでくれ。
※嫁は、こと社会福祉の方面については、私よりもずっと見識が深い。
上記のように修辞したのは、単に彼女が経済方面について疎いからというだけであって、他意はない。このことは、彼女の名誉のために強調しておこう。
1.不良債権発生のしくみ
不良債権とは一言でいえば、“踏み倒されたお金”だ。
お金を貸したら返してもらわなきゃいけないし、モノを売ったりサービスを提供したら、代金を貰わなきゃいけない。
それを返してくれなかったり払ってくれなかったりしたら、お金を貸した人の労働や、モノを仕入れたり作ったり、サービスするためにかけた手間賃なんかも、同時に回収できなくなる。
貸したお金や払ってくれなかったお金が大きすぎると、時にはお金を貸した側、代金を貰う側が倒産する。
何故なら、お金を貸した側も、彼等自身に対してお金を貸したり、モノを売ったり、サービスを提供してくれた相手に対して、お金を返したり、代金を支払ったりしなければならないからだ。
たとえ貸したお金や代金が少額でも、借り手や買い手が沢山いて、それが一度に返せなくなったりお金を払ってくれなくなったら、貸し手や売り手はやっぱり倒産する。
世間ではこれを、連鎖倒産という。
これは個人や法人だけの話ではない。
自治体であれ国家であれ、信用による売買取引を行う以上は、ついて回る問題だ。
2.リーマン・ショックと欧州危機
不良債権のあおりを受けるのは、その規模その額によって、個人から国家まで多方面にわたる。
例えば先のアメリカ、住宅サブプライムローンが良い例だ。
中古住宅を買った個人がお金を払えなくなり、代金を回収できなくなったローン会社が破綻した。
ローン会社にお金を貸していた(正確には債券を買っていた)リーマン・ブラザーズは、貸したお金が不良債権となり、返金してもらえなくなって倒産した。
当社発行の金融資産を買うなどして、住宅ローン資金の提供元となっていた投資家の資産内容も連鎖して、ガタガタになった。
ここで大事なのは、先に述べたように、投資家というのは、個人や一般法人だけではない、ということだ。
リーマン・ショックにおける投資規模でいえば、個人や一般法人よりも、保険会社などの機関投資家、自治体や国の中央銀行といった巨大組織のほうが、圧倒的に巨大だった。
リーマン・ショックでは、これ等巨大投資家の資産価値が、一気に激減した。
例えば国家においては、PIGS…ポルトガル、イタリア、ギリシァ、スペインなどは、この海外債券分野への投資が、身の程知らずというほど多かったので、大変なことになった。
投資母体である中央銀行の資産が激減したため、政府への信用がガタ落ちし、これ等の国の国債が暴落した(国債の価値は、その国の国力で決まる)。
暴落により、これ等の国の国債を買う人はいなくなった。所有していても価値がないからだ。勿論、既にこれ等の国の債券を保有していた国や企業、個人の資産価値も大いに影響を受けた。
何より国債の発行元であるこれ等国の政府は、国債を買ってもらえないことで、国の運営資金が枯渇した。
これが後の欧州危機である。
特に、もともと借金まるけだったギリシアにおいては行政サービスが停止し、国外からモノを売ってくれる法人もなくなり、国民生活はひどいインフレにさらされた。
同時に国内の資産価値は暴落した。
ギリシア政府は自身を機能させるために、外貨獲得に奔走し、ドイツ第4帝国≒欧州中央銀行に融資を依頼した。ために自国島嶼を結ぶ輸送インフラなど、国家の命脈さえも第4帝国に売りさばかざるを得なくなった。
それだけではなく、国内最大のピレウス港をシナに売り渡し、一帯一路という名の中華覇権主義に手を貸すことも厭わなくなった。
ギリシアだけではない。
ポルトガル、スペイン、イタリアなども、自国のエネルギーインフラや通信インフラを、債務返済資金調達のためにシナに売却した。
そして現在もシナは、これ等国々の市民生活を、共産党の命令一つで破壊することを可能にしているのだ。
3.不良債権の怖さ
このように、不良債権も度を越した大きさになると、世界の秩序さえ破壊しかねない事態を招くことがある。
現に上でも述べたように、ギリシア危機を通じてドイツ第4帝国は一気に勢力を拡大し、ギリシアをアフリカやシリア難民の収容キャンプにしてしまった。
シナは一帯一路の一大拠点として、ギリシア最大港を手に入れた。この港に人民解放軍をのせた軍艦が入港すれば、欧州は文字通り、喉元に刃を突き付けられることになる。
昨今欧州がシナの言うことにやたら従順なのは、何もシナが欧州製品のよいお客さんでいてくれるから、という理由だけではない。先述のエネルギーインフラ買収問題含め、地政学的な見地から、欧州はシナに対して強く出にくくなっているのも事実なのだ。
リーマン・ショックや欧州危機は、元をたどればアメリカのローン会社が、返せる当てもなく担保も差し出せないDQNに金を貸して、回収不能となったことから始まった。
それが、数国にわたる資産暴落をまねき、結果として国際関係の力学さえ捻じ曲げてしまった。
金融グローバリゼーションの時代においては、たとえDQNひとりの行為といえども、その歪んだチカラが、資本主義体制を震撼せしめることもある。
バタフライ・エフェクト…寒い時代だとは思わんか?
次節よりはいよいよ、世界を震撼なさしめるおそれのある不良債権たち-その発生可能性について綴っていく。
-つづく
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Posted at
2017/09/11 01:49:22