アイドリングストップを多様することで節約が可能か?

2019年2月5日

アイドリング

最近の多くのクルマが装備するようになったのがアイドリングストップという機構。そのネーミングからも容易に想像できるように、アイドリングを停止する機構です。停車時にエンジンを動作させないことで無駄な燃料を使わないための装置ですが、その存在意義と構成要素には複雑な要素を含んでいます。

日本で売られるほとんどの新車に装備

現在、日本で売られているほとんどのクルマにはアイドリングストップ機構が付いています。グレード別で見ると、アイドリングストップが装備されないものもありますが、車種別でみればほとんどのクルマに付いているという状況です(記憶に残っている車種だとジムニー&ジムニーシエラはアイドリングストップがありませんでした)。

アイドリングストップを付ける意味はモード計測時の燃費を向上したり、排ガスの排出成分値を減らすためです。実走行時にエンジンを止めてしまえば、モード計測時ではこれらの値をよくするのは簡単なことです。モード計測時の燃費が向上すれば、減税対象にもなります。

減税対象となってアイドリングが停止すれば燃料が節約できるのでユーザーメリットも大きい……と思われがちですが話はそんなに簡単ではありません。実はアイドリングがストップすることでアップするコストもあるのです。

アイドリングストップ用バッテリーは高価

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アイドリングストップ状態になってもエンジンが止まるだけで、ナビやオーディオ、灯火類はそのまま働いています。エアコン作動時は温度を下げるためのコンプレッサーは停止していますが、ファンは動いています。つまり発電はしていないのに放電だけはしている状態なのでバッテリーの負担は非常に大きくなります。

アイドリングストップ時の電力を確保しなくてはならないのでバッテリーの容量は多く、アイドリングストップが終了しエンジンが始動したのちは迅速に充電しなくてはなりません。そのためアイドリングストップ用バッテリーは、通常のバッテリーに比べて2~3倍の価格設定となっていることもありますし、2個搭載となっている場合もあります。

過酷な条件で使われるアイドリングストップ用バッテリーは寿命という面でも不利で、劣化が早い傾向にあるようです。しっかりしたデータがあるわけではないですが、耳に入ってくる情報ではどうも早めにバッテリー上がりになることが多いようです。

節約できる燃料代ではバッテリー代が補完できない

アイドリングストップになれば、当然その分は燃料代が節約できるのですが、バッテリー代が高いのでその損益分岐点は微妙な関係となります。高速道路を使わずに毎日移動している営業車などならバッテリー代を補完できるかも知れませんが、週末に使う程度のクルマだとなかなか回収は難しいでしょう。

アイドリングストップはキャンセルするスイッチが付いていますが、イグニッションスイッチをオフにするたびにキャンセルし直さなければなりませんので面倒です。また、アイドリングストップ機能そのものをキャンセルする装置も販売されていますが、この装置を付けることはエコカーの要件を崩す改造になるため、あまりおすすめできません。


(諸星陽一)

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