新車の慣らし運転は本当に必要なのか?メーカーの事例と共に解説!

2020年12月2日

慣らし運転

現代のクルマは新車時の慣らし運転が不要だと言われます。自動車メーカーでも不要だと言っているところもあります。しかし、多くの人は新車を買っていきなり全開にするなんてことはやらずに、慣らし運転を考えるものです。さて、本当のところ慣らし運転は必要なのでしょうか?

自動車メーカー、インポーターはどう言っているか?

私達、自動車ジャーナリストが呼ばれる新型車の試乗会でときどき耳にする言葉が「今回の試乗会に間に合わせるために、関係者総動員で慣らしをしました」といったようなセリフです。これを聞くたびに、なーんだ、やっぱり慣らしするんじゃん、と思います。慣らしは不要というニュアンスのところでも、こんなセリフは出てきます。では、慣らしはしたほうがいいのでしょうか? 正解は次のようなものではないでしょうか。
・やらないよりやったほうがいい。
・やらないからといって、必ず不具合が出るわけではない。
・やった効果が明確に感じられるとは限らない。


国産メーカーが何と言っているかを調べてみると、明確には必要とは言っていないが、1000~1600km程度までは急発進、急加速、急減速、エンジンの高回転使用を行わないように指示しています。

国産車ではトヨタの説明が一番わかりやすい

トヨタは慣らし運転について、次のようにコメントしています。
“慣らし運転の必要はありません。ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。お客様が新しい車に慣れられるための期間を慣らし運転の期間と考えてください。”
特殊なクルマを除き、この言葉がすべてだと言えるでしょう。現代のクルマにおいて、もっとも慣らしが必要なのはドライバーなのです。

同じメーカーであってもモデルチェンジごとに操作系が変更されるのはよくあることです。エンジンの始動方法しかり、ATのポジションや操作方法しかり、です。ちょっとした間違いが大きな事故の元になることもあるので、新車を買ったらまずは自分の身体が慣れるまでは慎重に、確認しながら運転することが大切です。

慣らし運転の記事でよく話題に上るのが日産 GT-Rです。GT-Rは非常に細かく慣らし運転の方法が記載されています。エンジン回転だけでなく、必要に応じてミッションを手動操作することも指定されています。こうした手順が指定されるのは、高性能であると同時にさまざまな機構が精密かつ複雑であることが理由に挙げられます。GT-Rがそうだというわけではありませんが、複雑で高機能なものは、操作しないと操作系にアタリが付かないだけではなく、早期に操作してきちんと動くかどうかをチェックし、不具合があれば早めに対処を行うことが大切だということもあります。

輸入車などは慣らし運転について、取り扱い説明書に詳しく記載されている場合もあります。ドイツ車をはじめとした欧州車は、アウトバーンを高速で走る可能性があります。せいぜい120km/hまでしか出せない日本とは使われ方もずいぶん違います。エンジンの出力の20%しか使わない状況と90%まで使うのでは慣らし運転の必然性も変わってきます。

1カ月・1000km点検運転で慣らしは終了?

慣らし運転

メーカーが推奨する慣らし運転が終わったころがちょうど初回点検になります。通常、初回点検は無料で、1カ月もしくは1000km走行のうち、先に訪れたほうのタイミングで受けるのが一般的です。では1カ月プラス1週間経ってしまった、1100km走ってしまった…と悩む人もいるようですが、まったく問題ありません。2倍の2カ月や2000kmになったからといって、クルマが即座に不具合を起こすことはないと考えるのが順当です。ただし、初回点検を無料で受けるには初年度登録から50日以内などの条件があるので注意が必要です。といっても、51日目に行ったら有料にされた…などということはまずないと思います。

慣らし運転が終わり、初回点検を受けたから「さあ、全開で!」というのも、普通はあり得ません。そもそも全開できる場所など公道にはないのですから。速度を上げて走るにしても“徐々に”を基本としましょう。サーキットの走行会に持ち込みたい…というような特殊な場合でも、サーキットでは徐々にラップタイムを上げるのが基本です。何周かしたら、ホイールナットを始め、各部に緩みがないかなどを確認しましょう。エンジンの慣らしも大切ですが、さまざまな部位のボルト、ナット、ネジなどの緩みを確認することも大切。これは一般道でも同じです。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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