軽自動車は本当に維持費が安いの?N-BOXとフィットを比べてみた

2021年9月15日

軽自動車のNBOXと維持費の比較

クルマを所有すると諸経費や維持費がかさむということで、リースやカーシェア、レンタカー、サブスクリプションなどでクルマを使う人が増えています。一方、所有はしたいが費用は抑えたいという人々には、さまざまな費用が安いとされる軽自動車が根強い人気です。軽自動車と小型車では購入費や維持費にどれくらいの差が出るのでしょうか?

Nボックスとフィットをセルフ見積もりしてみた

FIT

軽自動車と小型車の購入費用を比較するため、ホンダの軽自動車「Nボックス」と小型車の「フィット」のセルフ見積もりを、公式サイトで行いました。車両本体価格が近いグレードにするため、Nボックスは「カスタム L ターボ(196万9000円)、フィットは「e:HEV ベーシック(199万7600円)をチョイスします。

条件は5月内登録(Nボックスは届出)とします。その年の軽自動車税は4月1日の所有者に課税されるため、4月2日に届出するとほぼまるまる1年、軽自動車税を負担しなくていいことになります。一方、自動車税は月割りになるので、4月に登録すると1年分、5月なら11カ月分が必要。軽自動車税、自動車税は1年単位の納付なので、登録(届出)翌年度は1年分の納付が必要です。自動車重量税は次の車検までの分、つまり登録(届出)時は3年分の納付が必要となります。

じつは登録(届出)関係で大きな差が出るのはこの2種類の税金(自動車税/軽自動車税と自動車重量税)ぐらいで、自賠責保険は37カ月で440円の差しかありません。また、軽自動車税/自動車税の差は2万5400円ですが、翌年度は軽自動車税も1年分の1万800円がかかるので、その差は1万7100円と小さくなります。重量税は重量で異なりますが、軽自動車は一律で年額3300円。フィットはe:HEV ベーシックの場合、車重換算だと1~1.5トンの間なので重量税は1万2300円、年額での差は9000円となりますが、実際にはエコカー減税により免税(0円)となるため、N-BOXのほうが逆に5600円高くなります。

というわけで、エコカー見積もりによる支払う税金の額の差(フィット-N-BOX)は年間で2万5400円-5600円=1万9800円です。このほか、自賠責保険料の差を加えても、新車登録時の諸費用の差額は年間2万円強と、さほど大きな差はありません。

それぞれの諸費用比較

軽自動車ならではコストメリットも存在する

必ずしもというわけではありませんが、一般的に軽自動車は任意保険の掛け金が安いとされています。任意保険は車種によって料率が決められていて、事故の多い(任意保険の使用率の高い)クルマは掛け金が高くなります。軽自動車は死亡事故や重度の後遺症をもたらすような事故が少なく、結果として掛け金が安くなっています。また、小型車や普通車は料率が17クラスと多いのに対し、軽自動車は3クラスで、一番上の3でもあまり掛け金が高くならないのも影響しています。

また、軽自動車はNEXCO三社の高速道路や首都高速の通行料金が普通車の約80%の金額に設定されています。フェリーなどの利用料金は多くの場合、全長で決まるため、やはり軽自動車はお得感があります。また、月極駐車場で軽自動車の料金を安く設定している場合や、コインパーキングも軽自動車専用枠が安い場合もあります。

ガソリン代などのランニングコストは?

一方、燃費については軽自動車が有利とは限りません。WLTCモード燃費を比べてみると、前出のNボックス カスタム L ターボは20.2km/Lですが、フィット e:HEV ベーシックは29.4km/Lと1.5倍近く燃費が良くなっています。排気量が小さいほうが燃費が良いというわけではなく、排気量と重量などのマッチングが良いモデルは燃費が良い、ということになります。今回、フィットはハイブリッドモデルだったのも一因でしょう。

また、軽自動車と小型車ではオイル交換時のオイル量なども差が出ます。軽自動車はオイル量が少ないので、オイル交換時の費用は安くなります。タイヤも軽自動車サイズのほうが安くなるパターンが多いようです。ただし、今回のNボックスとフィットの場合は、タイヤの種類によっては価格が逆転していることもありました。

そのほかにも、Nボックスは3気筒なのでプラグ交換時は3本必要ですが、フィットは4本必要になりますし、搭載されているバッテリーやブレーキパッドなども軽自動車のほうが安いのが一般的です。最近のクルマはアイドリングストップ機構が装備されるため、バッテリーの負担が上がって寿命が短くなり、バッテリー自体の価格も高いものを使う必要があるようです。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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